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チャコット本店が渋谷から代官山へ移転オープン カフェやコスメで新たな顧客接点に期待

2022年03月11日 18:22  Fashionsnap.com

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「チャコット代官山本店」外観

Image by: FASHIONSNAP
オンワードグループの「チャコット」が、渋谷公園通りの地で長年親しまれてきた渋谷本店を閉店し、新たに旗艦店「チャコット代官山本店」を3月12日にグランドオープンする。地下1階から5階までの全6フロア構成で、延床面積は約2465平方メートル。アマチュア・プロのバレエダンサーをはじめとした既存のチャコットの顧客層だけではなく、バレエやダンスに馴染みない人々にもウェルネス・ライフスタイルの観点からブランドの世界観を訴求する。

業界を牽引してきた老舗「チャコット」
 チャコットは1950年に「青志社」として創業し、トゥシューズ、バレエシューズの製造販売を開始。1974年にチャコット株式会社に商号変更し、1990年にオンワード樫山のグループ企業となった。バレエ・ダンス用品、フィットネス用品、社交ダンス用品、アートスポーツ用品、コスメティック用品の製造・販売、ダンススタジオ経営、衣裳レンタルなどを展開。現在では、直営店26店舗、直営スタジオ10店舗を運営している。
 チャコット渋谷本店は1978年に渋谷公園通りにオープンし、バレエシューズ、コスチューム、フィットネスウェア、コスメなどを販売するフロアのほか、「チャコット渋谷スタジオ」を併設。今年2月末をもって43年の歴史に幕を閉じた。チャコット代官山本店では、創業以来のコア事業であるバレエに加えて、フィットネスウェアライン「チャコット・バランス(Chacott BALANCE)」とビューティライン「チャコット・コスメティクス(Chacott COSMETICS)」の展開を拡大する。
カシヤマ ダイカンヤマから「チャコット」に刷新 新旗艦店が公開

 チャコット代官山本店は、昨年12月まで商業施設「カシヤマ ダイカンヤマ(KASHIYAMA DAIKANYAMA)」が営業していた建物で、内装をリニューアルしグランドオープン。カフェやレストランを併設し、生活シーン全般に向けたトータル提案をする。各階には、3Dペンアート作家 津野青嵐によるトゥシューズをモチーフにした作品などを配置し、館内全体でアートが感じられる空間を演出。バレエの演目に沿ったテーマを月替わりで設け、同店全体でさまざまなコンテンツを展開する。3月は「眠れる森の美女」、4月は「白鳥の湖」をテーマに掲げる。
【地下1階 Cafe / Studio /Shop】

 地下1階は美と健康に焦点を当てたモノ・コトを提案。スイーツ&カフェスタンド「カフェ コトー(Cafe COTEAU.)」では心身を美しくするメニューとして、スムージーやフレンチサンドウィッチ、チーズサンド、ギフトにも最適なバレエ衣裳をモチーフにした焼き菓子などを提供する。

 少人数制のヨガ・ピラティスレッスンが受けられるセミプライベート空間「バランス スタジオ(Balance Studio)」では、ヨガやピラティスを中心としたプログラムを週に50クラス以上用意する。

 館内に計3ヶ所あるショップフロアのうち、地下1階では美しさと健やかさを提案するアイテムを揃え、チャコット・コスメティクスの中でも普段使いがしやすいアイテムや、チャコット・バランスのフィットネスウェアなどを並べる。代官山限定アイテムとして「チャコット・キッズウェア」を発売する。
【1階 Ballet Studio】

 バレエスタジオには足にやさしく踊りやすいバレエ専用の床を設置。シャワールーム、パウダースペースも完備する。ピアノ伴奏によるレッスン、著名な講師陣を迎えたレッスンなど多様なプログラムの開催を予定している。
【2階・3階 Shop】

 トゥシューズ、バレエシューズ、レッスンウェア、ステージ衣裳を子ども用から大人用まで豊富に展開。チャコット店舗の中で最大の取り扱い数となる。常駐するフィッターが最適なシューズ選びをサポートするほか、世界のダンサーが愛用する英国・フリード社のフィッターによるオンラインフィッティングにも対応する。

 2階フロアでは、初めて履いたトゥシューズや、思い出のあるトゥシューズを、出演した舞台の写真やチケットと共に1枚のフレームに収めるサービス「トゥシューズ メモリアルアート(Toe shoes Memorial Art )」を実施。種類はボックスタイプ、フレームタイプの2種類で、価格はいずれも税込2万4750円。注文から1ヶ月程度で完成する。

 3階フロアのエレベーター近くには、代官山本店限定の回収プログラム「キッズレオタード バトンリレー(Kid’s Leotard Baton Relay )」のボックスを設置。不要になったチャコット製子ども用レオタードをリユース、リサイクルに活用する。回収した子ども用レオタードは年に数回、リユース商品としてチャリティー価格で販売される。

 このほか、オンワードグループのランジェリーブランド「Chut!インティメイツ」の店舗スペースを併設する。
【4階 レストラン「コトー(COTEAU.)」】

 「FRESH FRENCH」をテーマに、エレガントかつエキゾチックなメニューを提供。月毎の演目テーマに沿った料理やスイーツをラインナップする。
【5階 Press room / Photo shooting】

 舞台演出で活躍するメイクアップアーティストとプロのフォトグラファーによる撮影プランを展開(予約制)。基本料金は衣裳レンタル・メイク・撮影代などを含めて税込3万8500円。

 プレスルームのロングテーブルは、カシヤマ ダイカンヤマ時代のバーカウンターを活用。商談などの対応にも使用されるという。
「バレエ界に新たな変化を」新旗艦店で目指すもの

 チャコット渋谷本店は40年以上にわたりアマチュアからプロまで多くの人々に親しまれてきた。招聘されて来日した著名なバレリーナが渋谷本店を訪れていたことも多く、チャコットの取締役  𠮷野卓巳氏は「バレエ界では観光名所のような場所だった」と振り返る。一方で、特徴的な外観の同店に対して「外から見るとやや入りづらい印象」と言った声を耳にすることもあったことから、代官山本店ではバレエをより身近に感じられる店舗構成を意識。地下1階のグランドフロアにカフェやコスメ売り場を配置することで、バレエに馴染みのない人でも立ち寄りやすいようにした。チャコットの店舗の中では最大規模の品揃えで、𠮷野氏は「新たなお客様との接点を作り、チャコットが率先してバレエ界に新たな変化をもたらしていきたい。これだけ幅広いカテゴリを網羅し、品揃えが豊富なバレエ用品ショップは世界的に見てもあまり無いので、これまで渋谷本店を利用されていたプロの方々にもきっとご満足頂ける」と自信をのぞかせた。
 なお、オンワードホールディングスは昨年3月、エクセルが所有するチャコット渋谷本店の土地・建物を売却(譲渡先非開示)。昨年8月には代官山の商業施設「カシヤマ ダイカンヤマ(KASHIYAMA DAIKANYAMA)」の土地の信託受益権を合同会社FOに譲渡している。チャコット代官山本店での初年度の売上高などの目標数値についてはコメントを控えた。
 チャコットはバレエ用品において約半分の国内シェアを有しているが、少子高齢化に加えてコロナ禍が重なりバレエ人口は年々減少傾向にあるという。こうした厳しい市場環境の中で、「祖業としてのバレエは今後もしっかりとやっていく。バレエ用品業界での寡占化は進めていきたいと考えている。残り5割がある中で狭いパイはきちんと獲得する」(𠮷野氏)。今後の構想として海外展開の加速も視野に入れており、将来的には中国・東南アジアの富裕層を開拓するほか、台湾をはじめとするコスメラインが好調な地域での更なるブランド認知向上を図っていく。

■チャコット代官山本店グランドオープン:2022年3月12日(土)延床面積:約2465平方メートル営業時間:スタジオ 9:30~22:00 ※日曜日 9:30~21:00 ※年中無休 年末年始を除く ショップ 11:00~19:00※年中無休 年末年始を除く カフェ 9:00~19:00※年中無休 年末年始を除く レストラン 11:30~22:30※休業日 毎週水曜日 年末年始を除く ■公式サイト