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日産「アリア」が納車開始! 第1号車オーナーはどんな人? 受注状況は?

2022年03月10日 16:31  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
日産自動車が新型クロスオーバーEV(電気自動車)「アリア」の納車を開始した。まずはオンラインで受注を開始したアリアだが、記念すべき第1号車を受け取ったオーナーはどんな人なのだろうか。なかなかのお値段となるアリアの売れ行きは? 納車セレモニーを取材してきた。


○購入者に聞く「アリア」の魅力



日本の伝統美と先端技術の融合を目指したアリア。納車セレモニーに登壇した日産 常務執行役員の伊藤由紀夫さんによると、その魅力は「ラウンジのように広くて心地いい室内空間とEVならではの静粛性。そして異次元のプレミアムな走り。それだけでなく、プロパイロット2.0やプロパイロット リモート パーキングなど、ぎっしり詰め込まれた最先端技術による新感覚、新次元のワクワクした体験」などなど挙げればきりがないようだ。



アリア第1号車のオーナーとなったのは、千葉県在住の中村真司さん、中村明子さんご夫妻。大手電機メーカー勤務の経験を持つ真司さんは、アリアの第1号車オーナーになるくらいなのでかなりの日産好き、クルマ好きかと思いきや、実はクルマには全く興味がなかったそうだ。


中村ご夫妻の所有車はトヨタ自動車の「カローラスパシオ」。発売当初に購入し、所有歴は26年ほどに達するというが、その間の走行距離はたったの約6万キロだという。



「妻は新しいクルマを買おうと10年以上前からいっていましたが、私の答えはいつも同じで、『そんなものは必要ない、もったいない』という感じでした」(以下、カッコ内は中村真司さん)



ではなぜ、アリアの購入を決めたのだろうか。きっかけは、災害時の備えとして蓄電池を探していたとき、EVから給電できることを知ったことだったという。それからEVのことを調べる中で、2年前に出会ったのがアリアだった。



「『東京モーターショー2019』で日産がコンセプトカーを披露したときの写真を見たのですが、まず、エクステリアは機能美という言葉がぴったりで美しいと思いました。ディスプレイが圧倒的な存在感を出しているインテリアデザインも大好きです。さらに、運転席と助手席の足元がつながっていて、広い空間ができていたこともよかった。また、長時間の運転が得意でない私には、プロパイロット2.0はとても魅力的でした。このクルマは絶対に欲しいと思いました」



明子さんとは「アリアの最初の購入者になりたい」とよく話していたそう。その理由を尋ねると、「新しいもの好きということもあって、人がまだ持っていないときに持ちたいという願望が非常に強かった」と笑顔を見せた。


工場でアリアに試乗したという中村さんに印象を尋ねると、「とにかく自分の思い通りに走るクルマというイメージ。『カローラスパシオ』のときのように、駐車場に置いてあるという感じではなくなりそうです。今週末にはさっそく、軽井沢にアリアで出かけようと思います」

当初の目的であった災害時の蓄電池としての活用については、「アリアと同じ容量の災害時用の蓄電池を買おうと思ったら、とてもこの値段では買えないので、効率は非常にいいですね。こう考える方がどれくらいいるかわかりませんが、そうした用途で活用できるのもアリアのウリになってくるのかなと思います」


○マーケ担当に聞く「アリア」の販売状況



今後も納車が続くアリアだが、現在までの受注状況はどうなっているのだろうか。オンライン販売についての顧客の反応も気になる。日産 チーフマーケティングマネージャー(電気自動車)の柳信秀さんに話を聞いた。



まずはオンライン販売について。アリアは専用の会員サイト『クラブアリア』に入会することで購入検討、予約注文、商談などをデジタル上で行うことができるが、こうした新しい取り組みを始めたのはなぜなのか。



「コロナも大きな理由になるかもしれませんが、そもそもディーラーには『行きづらい場所』というイメージがありました。これまではディーラーに行って商談をして購入するという流れでしたが、おそらく今後、特に若い方は実車を見ずに購入していただけるようになると思います。メーカーとしては、お客様に合わせた取り組みをしていくことがとても大事だし、そうした新しい取り組みは新商品が出たときにこそやる価値があると考えています」(以下、カッコ内は柳さん)



現時点では正確な受注台数を明らかにしていないとのことだが、顧客層を見て驚いたことがあったという。



「もうちょっと年齢層が高めになると思っていたんですが、40代~50代のお客さまが想像以上にいらっしゃったのは我々としても驚きでした。その中には日産以外のお客さまも想定以上にいらっしゃいました。デジタルで敷居が低かったからこそ、来ていただけたのかなと考えています」


比較的若い層に売れているということはユーザー若返りのチャンスでもある半面、これまでの顧客層が取り残されてしまっている可能性はないのだろうか。



「我々の販売ネットワークは全国にありますし、これまでのお客さまとは常にコミュニケーションを図っていますので、その点は心配していません。逆にいえば、デジタルに慣れてさえいただければ、コア層のお客さまにも楽にクルマを買ってもらえる環境を作れるかもしれません」



最後に、今後のEV普及について聞いてみた。



「ライフステージに応じてお客さまが求めるクルマは変わると思います。『アリア』であれば、ある程度はお金があってクルマ好きな方が多くなると思いますが、ファミリー層でいえば『セレナ』『ノート』『オーラ』が主力商品です。これらのクルマは、ファミリー層のライフスタイルに合った商品だから受けているわけなので、お客様のスタイルに合ったクルマを今後も一生懸命に売っていくことが大事だと思います。ただ、EVを若い皆さんに買っていただくには、教習車がEVなればいいのでは、とも思います。そういうアプローチはどこかでやりたいですが、今はまだできていません。でも『EVネイティブ』といいますか、生まれて初めて運転したクルマがEVで、最初に買うクルマもEVみたいな世界を夢見て、我々は取り組んでいます」



「東京オートサロン2022」では、日産ブースを訪れた豊田章男トヨタ自動車社長が「Zには負けませんから」と語り話題を呼んだ。最後に柳さんに「トヨタには負けないか」と聞いてみると、「EVで、ということであれば負けません!」と笑顔で答えてくれた。



安藤康之 あんどうやすゆき フリーライター/フォトグラファー。編集プロダクション、出版社勤務を経て2018年よりフリーでの活動を開始。クルマやバイク、競馬やグルメなどジャンルを問わず活動中。twitter:@andYSYK。 この著者の記事一覧はこちら(安藤康之)