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リンク&コーがビョークとウルティアの残留に続き、若き王者と帝王の継続も発表。全5台体制に/WTCR

2022年03月09日 20:21  AUTOSPORT web

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マ・キンファの起用を発表していたリンク&コー・シアン・レーシングは、改めて既存の4名続投を表明した(写真は2021年ラウンチ時)
WTCR世界ツーリングカー・カップのチャンピオンチームとして、新たに地元中国出身のF1経験者マ・キンファの起用を発表していたリンク&コー・シアン・レーシングは、3月第1週に改めて2017年にWTCC世界ツーリングカー選手権“最後のシリーズチャンピオン”に輝いたテッド・ビョークと、南米出身の若きタイトル候補、サンティアゴ・ウルティアの残留を発表。さらにその翌週には、史上最年少王者獲得から連覇を果たしたヤン・エルラシェールと、その王者の叔父でもある“帝王”イヴァン・ミューラーの継続起用もアナウンスし、2022年は全5台体制に拡充することが決定した。

 エントリー名を変化させた2台ずつの『リンク&コー03 TCR』を投入し、実質的な4台体制を敷いてきたシアン・レーシングだが、北欧スウェーデンに拠点を置くチームは吉利汽車(ジーリー)傘下となったボルボの体制を引き継ぐかたちで、近年はツーリングカーの世界戦で中国製マニュファクチャラーのファクトリーチーム運営を担ってきた。

 そのシアン・レーシングと長きに渡って関係を築いてきたビョークは、2021年の厳しいシーズンを終えランキング9位となった後、11年目を迎えるチームとの新年度に向け「逆襲を期す」との決意を口にした。

「僕が世界で最高のひとつと見なしているチームのために、引き続きレースを戦えるのは素晴らしいことだ。そして僕らは最高の状態を維持し続けるため、必要なすべての条件を備えている」と続けたビョーク。

「さらにサンティ(ウルティアの愛称)との協力を継続できることも非常にうれしく思う。我々は素晴らしい関係を築いており、お互いに強みも弱みも知っている。そして新たにマ・キンファを迎え入れるのもチームの強みになるだろう。彼は多くの経験を積んでおり、一緒に働くことを楽しみにしているよ」

 一方、このシアン・レーシングでのWTCRデビューから3年目を迎えるウルティアは「2021年のランク5位を上回る戦績を目指す」との意気込みを語った。

「こうしてリンク&コー・シアン・レーシングの一員として、WTCRに戻り一緒にレースを戦うことができ、とてもうれしくて光栄に思うよ」と語ったウルグアイ出身で現在25歳のウルティア。

「3年連続で最高のチームに戻ることができて光栄だし、チームメイトとしてテッドとともにレースを続け、さらにマ・キンファをチームに迎えることもうれしく思う。今年の目標は勝利であり、僕自身チームのために最善を尽くすつもりだ」

■最高のドライバーを擁することは「WTCRのタイトルを守るための強みであり、必要なこと」

 リンク&コー・シアン・レーシングのチームマネージャーを務めるフレデリック・ウォーレンは「サンティアゴとテッドは、今季もFIA WTCRタイトルを守るという我々の目標の鍵であり、彼らとの協力を成功させ続けることを光栄に思う」とコメントした。

「我々はふたたび、世界でもっとも過酷なチャンピオンシップの新シーズンに向かっている。そして、ディフェンディングチャンピオンとしての我々には、このオフにも心と体が休まる暇はなかったよ。シーズンのすべてのセッションで最高の状態を維持する必要があり、もちろん2022年もそうするつもりだ」

 さらに、体制継続なら残るシートは1席か、帝王ミューラーのマネジメント昇格か、さまざまな観測が為された最後のピースに関して、まだ追加の1台がどのような体制でエントリーするのか、どのようなペアリングでシリーズに挑むのかは明かされていないものの、ウォーレンは3月第2週に入りエルラシェールとミューラーの続投を明言した。

「世界で最高のツーリングカードライバーの5人を擁することは、WTCRのタイトルを守るための強みであり、必要なこと」だったと強調したウォーレン。

「ヤンとイヴァンは、プログラムの開始以来、我々のチームに不可欠な存在であり、彼らが引き続きともに戦ってくれるほど幸せなことはない。プレシーズンテストを前にすべてのピースをまとめ、4月に開幕する実際のチャンピオンシップに間に合わせる必要がある」

 引き続き、3年連続のチャンピオン獲得とチームのタイトル防衛に向け、25歳のエルラシェールも新しいシーズンに「強い意欲で臨む」と決意を語った。

「ディフェンディングチャンピオンとして挑んだのは2021年が初めてだったけど、今季はさらにもう1年、その経験を積むことができる。これは僕のモチベーションを本当に駆り立てる要素だね」と続けたエルラシェール。

「心身ともに充実していて、準備はできていると感じる。僕自身最長となる在籍4年目のチームにいられることもうれしい。連覇したからといって楽になることは決してないし、3年連続タイトル獲得に向けさらに激しく戦うつもりさ」

 一方、ガブリエル・タルキーニの引退で名実ともにWTCR史上最年長ドライバーとなったミューラーも、自身17年目の世界戦に向け「新鮮な気分」で臨む。

「世界選手権デビューからそんなに経ったとは思えないね(笑)。2022年に臨む心境は最初の年と変わらないとさえ感じる。チームとしてこの5年間で長い道のりを歩んできたが、この期間に達成した結果は他に類を見ないものだ。でもまだ、物語は終わっていない。今季の目標もこれまでと変わらないよ」