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日曜劇場『DCU』主題歌を歌うLizabetとは? 小林武史も絶賛、祈りのような歌声と希望や哀しみに寄り添う強い意思

2022年03月09日 12:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 TBS系日曜劇場『DCU』の主題歌「Another Day Goes By」が注目を集めている。


(関連:【動画あり】Lizabet、歌声に込められた強い意思


 『DCU』はTBSとハリウッドの共同制作で制作されたオリジナルドラマ。水中の捜査に特化した架空の組織「DCU(Deep Crime Unit)」が、水にまつわる事件・事故とそこに隠された謎に迫るウォーターミステリーだ。


 主題歌を歌っているのは、英国人とベトナム人の両親のもと、香港で生まれ育った16歳のアーティスト、Lizabet。3歳から音楽活動を始めたという彼女は、11歳のときには中国で最年少となるオーケストラとの共演を果たすと、その後アジア地域で30公演以上のソロパフォーマンスを披露。香港では、The Jackson 5を育てたことでも知られる故ボビー・テイラーとも共演するなど、多方面で活動してきた。


 そんな彼女が日本で初めて姿を現したのが、『DCU』の主題歌である「Another Day Goes By」だ。1月16日のドラマ放送スタートに合わせてアーティスト情報が解禁されると、シリアスかつ熱いドラマにマッチした楽曲と繊細な歌声で話題を集めた。1月31日には楽曲の配信と同時にMVも公開され、ドラマの最終回を間近にした3月9日、デビューCDシングル『Another Day Goes By』(3曲入り)がリリースとなった。


 「Another Day Goes By」でLizabetとタッグを組んだのは、数々の日本の代表的なアーティストのプロデュースを手がけている小林武史だ。「アジアをはじめ、世界に新しい風を巻き起こすであろうアーティストになるだろう」(※1)とLizabetを絶賛する小林が今回作り上げた楽曲は、キーボードやストリングスによって進行する神秘的なサウンド。楽曲が進行するにつれ、一歩一歩たしかに歩み続けるような控え目なキックや荘厳なコーラスが加わり、静かながら壮大な展開を見せる。包み込むような音は慈愛を感じさせる一方で、その中には切なさや静かな決意が漲っているかのようだ。


 作詞を手がけたのはLizabet本人。〈Another day goes by/I think of you and cry/Don’t know if I’ll survive/Without you by my side(また1日が過ぎ/あなたを想い涙します/生き延びられるのかわからず/あなたが傍にいないまま)〉〈Wanna be in your arms Ooo/It’s breaking my heart(あなたの腕の中にいたいと/心が壊れそうで)〉と途方もない哀しみを描く。一方で、彼女が持つ深みのある低域の歌声や、続く〈I’ll get through it all/Even if it hurts/(I’ll ) see you once more(全てやり遂げましょう/傷つくとしても/もう一度あなたに逢えるように)〉〈I’ll try to stay strong/I’ll try to move along(強くいられるよう/前に進めるよう)〉という詞から感じられるのは、まっすぐな意思の強さ。なめらかなストリングスと祈るような歌声が美しい楽曲だが、そこで描かれる意思は固く、リアリティがあり、したたかだ。


 Lizabetはリリースに際するコメントで「Another Day Goes By」について「愛と悲哀について、そして何より、希望と困難を乗り越えようという想いを込めています。今を生きる私たちは、多くの困難に向き合っていますが、だからこそ、前を向いていたい…」(※2)と綴っている。彼女のしなやかな歌声と透明感のあるファルセットによって表現される詞が切実に響くのは、何よりも彼女の強い想いが込められているからに他ならない。


 シリアスさを感じさせつつも慈愛に満ちた、決意を思わせる楽曲は、困難を極める現場で、危険を顧みずに事件解決に挑み続ける捜査隊の姿を描いた『DCU』の内容にも合致する。ドラマで描かれる希望や哀しみに寄り添うLizabetの歌声が、各話を飾っている。


 カップリングとして収録される「Reaching for the Stars」は、同じくLizabetと小林のタッグで制作された楽曲。伸びやかな歌声で奏でられる穏やかなバラードだ。1番サビの終わりに加わるギターや2番Aメロに加わるドラムが、Lizabetのボーカルに寄り添うようにドラマチックに展開する。3曲目に収録されている「Swallowtail Butterfly」は「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」(YEN TOWN BAND)の英詞カバー。原曲よりもミニマムな音に再アレンジされることで、Lizabetの息遣いがより近くに伝わるサウンドになっている。英詞になることで滑らかな印象を与える幅広い音域のメロディは、低域と高域のどちらにも異なる魅力があるLizabetの歌声にぴったりだ。


 珠玉の歌声で深い愛や希望を歌うLizabet。彼女が表現する想いは、これから楽曲を通してさらに多くの人々に届き、今を生きる者たちの心に染み渡っていくことだろう。彼女の豊かな歌声が今後どのような想いを歌っていくのか、注目したい。


※1:https://www.sonymusic.co.jp/artist/Lizabet/profile/
※2:https://topics.tbs.co.jp/article/detail/?id=14726


(村上麗奈)