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なにわ男子、ジャニーズの伝統も継承する多彩な世界観 見どころ盛りだくさんなライブパフォーマンスの魅力

2022年03月09日 06:01  リアルサウンド

リアルサウンド

なにわ男子

 なにわ男子の初ライブ作品『なにわ男子 First Arena Tour2021 #なにわ男子しか勝たん』が3月7日付オリコン週間ミュージックDVD・BDランキングで初週売上25.2万枚を記録し、初登場1位に輝いた。同作は、デビュー前のジャニーズJr.としては異例の、全国8カ所を巡る単独アリーナツアーの様子を収録したもの。加えてライブ中にデビューが発表された記念すべき瞬間がおさめられていることも話題のひとつ。メモリアルとなった映像を振り返りながら、グループのライブパフォーマンスの魅力について触れてみたい。


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■ジャニーズの伝統、フライングの演出も継承


 デビューから快進撃を続けているなにわ男子の7人。グループでの活動に加え、映画やドラマ出演など個々の活動もめざましいが、やはり彼らの一番の魅力は独自の世界観で楽しませてくれる歌とダンスのパフォーマンスだろう。同作は“関西ジャニーズJr.”のなにわ男子としてのツアーを映像化したものだが、特筆すべきはデビュー前とは思えないパフォーマンス力だ。


 関西ジャニーズJr.時代から関ジャニ∞、ジャニーズWESTらと一緒に大阪・松竹座の舞台に立ち続けていた彼ら。物理的に距離が近い会場であるだけに、ファンのリアルなリアクションがダイレクトに演者に伝わってくる。身近にファンの反応を感じながら、パフォーマンス力を身につけていったように思う。先輩たちがデビューし、巣立っていった後は自分たちが先頭に立ち、ファンと向き合ってきた。松竹座で培った嬉しい経験も、悔しい経験も全て現在の彼らの糧になっているのではないだろうか。


 ライブの演出を主に担当しているのが、西畑大吾だ。グループのプロデュースを手がける大倉忠義(関ジャニ∞)と一緒にステージを作り上げてきた。今回のツアーで西畑は、ジャニーズ伝統の演出を絶やさないためにワイヤーを使ったフライングで登場してみないか、と大倉から提案され、チャレンジすることを決断。ジャニーズの伝統を継承した、正統派アイドル路線を歩むなにわ男子だからこそ託された大きな役割であるように思う。メインステージから中央ステージまで高さ15mの上空を優雅に飛ぶ7人の姿に、会場のファンからは熱い視線と大きな拍手が巻き起こった。またステージ衣装に携わっている長尾謙杜の卓越したデザインとセンスも、ライブのクオリティを高めている大事な要素だ。今回は地球をイメージしたスパンコールを使った華やかな衣装をはじめ、和風のコートからの早変わりスタイル、バンダナ柄のカラフルな浴衣など、メンバーをより輝かせるために考え尽くされた衣装でライブを彩った。


■多角的なアプローチでファンの心をつかむ


 今回のライブのセットリストは、グループのオリジナル曲のほか、ジャニーズの先輩たちのヒット曲で構成されており、ジャニーズJr.のライブならではの豪華なランナップだ。先輩グループの楽曲はダンス、歌とも高度なテクニックを要求される難曲揃い。しかし、ただ先輩の楽曲を披露しているだけではなく、見事に彼ららしさをプラスし、なにわ男子のスタイルとしてパフォーマンスしていることに驚かされる。


 そしてオリジナル曲で見せる多彩な表情も、彼らの持ち味だ。キラキラの王子様風、ポップでキャッチーなはっちゃけた姿、キレキレのダンス、クールなパフォーマンスなど、幾通りもの表情で楽曲の世界観を表現している。そして圧倒的な歌唱力でグループを牽引する大橋和也をはじめ、ボイストレーニングでめざましい成長を見せた高橋恭平、グループ結成時から人知れず地道な努力を欠かさない道枝駿佑など、メンバー全員の安定したボーカルセンスも彼らの大きな武器だ。さらに、メンバーは関西出身ならではのテンポのあるトークスキルを備えており、西畑を中心にライブでは毎回ファンの記憶に残るMCを展開している。お笑い番長として知られる藤原丈一郎の洗練されたワードチョイスによる絶妙なテンポのツッコミも見事だ。加えてジャニーズJr.時代から西畑を良きパートナーとして支えた大西流星は、ファン目線でかわいさに徹底的にこだわったグッズプロデュースを手がけることで、メンバーとなにふぁむ(ファンの呼称)の絆をより強固なものとしている。このようにファンの気持ちを多角的なアプローチでつかむパフォーマンスは、彼らならではのものだろう。


■デビューを経て次なるフェーズ、“NEXT STAGE”へ


 昨年放送された連続ドキュメンタリー『RIDE ON TIME』(フジテレビ系)や、Amazon Prime Videoにて配信中の『なにわ男子 デビューまで1100日のキセキ natural』など、ライブの舞台裏を追ったドキュメンタリーから伝わってくるのは、デビューを目指す彼らの等身大の姿だ。ステージ上で見せるキラキラしたアイドルの姿とは一転、悩み、苦しみながらも強い志を胸に、ひたむきに努力を続けるストイックな彼らだからこそ、つかみ取ったデビューだったのだと思う。


 同ライブでも披露された、道枝が作詞を担当し、なにわ男子の絆を歌詞に綴った「Time View~果てなく続く道~」。〈どれだけ夢を見てきただろう〉〈不安が募って壊れそうになっても 横を見れば 君がいるから〉。デビューを機に、夢の階段を1段上った彼らはすでにもっと先を見据えているように思う。なにふぁむとともに、まだ見ぬ“NEXT STAGE”へ着実に歩を進める彼らの次なる挑戦を楽しみに見守りたい。(北村由起)