2022年03月07日 19:31 弁護士ドットコム
自治体職員らでつくる自治労連(日本自治体労働組合総連合)は3月7日、東京都内で記者会見を開き、コロナ禍で業務量が増えている保健師ら自治体職員の労働実態調査の結果を発表した。
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調査に回答した5府県5政令市の全てで、保健師らが過労死ラインとされる月100 時間を大きく超える残業をしていた。
会見に同席した大阪府の保健師は「午前1時ごろに退勤しても公用携帯が鳴る時もある。人手が圧倒的に足りない」と過酷な勤務状況を報告し、労働環境の改善を求めた。(ライター・国分瑠衣子)
調査は2021年12月から2022年1月にかけて都道府県と政令指定都市の加盟労働組合に対し行い、大阪府や神奈川県など1府4県、静岡市や名古屋市など5市から回答を得た。
新型コロナウイルスが感染拡大した第5波(2021年7月から9月)の時間外労働の実態を聞いたところ、回答した全ての自治体で「過労死ライン」とされる1カ月100時間を大きく超える時間外労働が確認された。
保健所やワクチン担当の部署の中には、1カ月の平均時間外労働が128時間に達していた職場もあった。京都市では第5波の2021年8月に1カ月で298時間の時間外労働をした職員もいたという。「1カ月の所定労働時間が155時間なので、職員は約3人分働いたことになる」(自治労連担当者)。
会見では第6波で感染が拡大している大阪府の保健所の状況も報告された。大阪府では現在、保健師が公用携帯を自宅に持ち帰り、家で電話対応しなければならないひっ迫した状態だという。「夜中でもコールセンターからの転送電話や、救急隊員の電話でほぼ眠ることができないという声もある」(大阪府関係職員労働組合)。保健師の中には過労で体の不調が続き、小学生の子どもが不登校になったというケースもある。
オミクロン株が急拡大した今年1月の保健師の勤務実態も報告され、午前8時46分から翌日の午前4時8分まで働いた職員や、11連勤した職員もいた。「過労死ラインを軽く越えている状態で早急に対策をとる必要がある」(同組合)
オンラインで登壇した大阪府の女性の保健師は「2交代勤務を求めているが職員数が足りず、2年間この状態が続いている。未明に帰宅し、午前3時ごろ食事をとり、ようやく眠りについたら電話が鳴ることもある。本当は府民個人に合った新型コロナの対処法を考え提案したいが人手が不足している」と話した。
女性はもともと精神保健の担当だ。「新型コロナの対応に追われ、難病支援など精神保健の業務に手が回りにくくなっている。一刻も早く改善してほしい」と訴えた。
自治労連の石川敏明書記長は「メンタルヘルスに不調をきたしたり退職に追い込まれたりする職員もいる。野放しになっている長時間労働の対策を講じる必要がある」と話している。