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乃木坂46、中西アルノさん大炎上を巻き起こした「捏造投稿」の法的問題

2022年03月07日 10:31  弁護士ドットコム

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アイドルグループ乃木坂46の5期生として加入し、29枚目のシングル曲のセンターポジションに抜擢されていた中西アルノさんが活動自粛することが3月3日に発表された。


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公式サイトでは、運営側のコメントとして「SNS上にて様々な憶測や、投稿が飛び交っている状況をうけ、本人に事実確認を行ったところ、一部の発言に関して本人のものであることが確認できました」としている。



中西さんのコメントも掲載されており、SNSで日々の鬱憤を吐き出していたことや、個人間のSNSを通じて、カメラマンを募集する被写体モデルをしていたこと、そして、その方法に危険を感じて、開催されている撮影会に参加していたことを打ち明けている。



一方で、「当時使用していた募集用のSNSアカウントで、私が投稿しているように見えるわいせつな画像や、そういった発言は断じて私自身のものではありません」として、SNSなどで広まっていた「パパ活募集」や「下着販売」の投稿などを否定しているとみられる。



運営側は「一部SNS上での投稿は、画像を使用してあたかも本人であるかのように捏造し、事実と異なる発言をしているものも存在しております。そういった行為に対しては、断固として抗議し、法的措置を含む対抗策を取ってまいります」ともコメントしているが、どんな法的問題に発展する可能性があるのか。河西邦剛弁護士に聞いた。



●刑事、民事の両面から問題になる可能性

今回は情報が錯綜しているが、過去のSNSの投稿について、本人が認めたものと認めていないものがある。性的な投稿については、認めていないが、捏造投稿の場合、どんな問題があるのか。



「本人の画像を使うなどして、性的な内容の投稿をすることで、社会的評価を下げていれば名誉毀損罪にあたる可能性があります。警察が動けば、刑事事件に発展します。罰則は3年以下の懲役もしくは禁固または50万円以下の罰金です。



芸能活動に影響があれば偽計業務妨害罪に該当する可能性もありますが、捏造投稿がデビュー前になされたものだと立件は難しいかもしれません。



また、民事においても発信者情報開示をすることで、投稿をした人物の氏名や住所を特定し、損害賠償請求をすることができますし、性的な捏造投稿であれば違法性は十分認められます」



●中西さん自身の「ひどい投稿」や、運営の責任をどう考えるか

逆に、中西さん自身が今回のコメントで、「SNSでは、日々の生活の鬱憤を吐き出すことで心身のバランスを保とうとしていました。今顧みると、ひどい投稿が多く、本当に悔恨に苛まれます」と打ち明けているが、どうなのか。



「これらの投稿が、誰かの社会的評価を下げていれば侮辱罪や名誉毀損罪になりますが、SNS上で人が不快になるような投稿を行うこと、それ自体は犯罪になりません。



SNSは誰でも手軽に使えるツールでありながら、使用する本人にとっての影響も大きいツールです。自己防衛という観点からも、学校教育を通じてSNS利用の『影響』や『怖さ』についても伝えていくことが大切だと思います」



「運営はなぜ事前に把握できていなかったのか」と批判する声もあるが、どう考えればいいのか。



「アイドルビジネスの主な顧客はファンであり、ファン獲得にはメンバー個人だけでなく、グループのイメージも影響してきます。メンバーサイドで、お互いにファンの期待するイメージを壊さないようにと一定のルールを作り、お互いにメンバー同士で守ろうとしているグループもあります。



今回のような加入前のプライベートでのSNS利用を運営が確認することは、行き過ぎれば個人のプライバシーの問題にもなります。



ですが、新規メンバー採用の権限は運営サイドにあり、既存のメンバーは採否に口出しできません。そうであれば運営側が、必要な範囲内での聴き取りや過去のSNS利用の確認が必要な場合もあり得るでしょう。デビュー後に発覚では未成年である本人にとっての影響も大きなものになってしまうので」




【取材協力弁護士】
河西 邦剛(かさい・くにたか)弁護士
「レイ法律事務所」、芸能・エンターテイメント分野の統括パートナー。多数の芸能トラブル案件を扱うとともに著作権、商標権等の知的財産分野に詳しい。日本エンターテイナーライツ協会(ERA)共同代表理事。「清く楽しく美しい推し活 ~推しから愛される術(東京法令出版)」著者。
事務所名:レイ法律事務所
事務所URL:http://rei-law.com/