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Kis-My-Ft2メンバー分析 第2回:千賀健永、純粋な感性を持ち合わせる表現者 発信力と実行力を兼ね揃えた柔軟さ

2022年03月04日 06:01  リアルサウンド

リアルサウンド

Kis-My-Ft2

 昨年CDデビュー10周年を迎え、3月4日からは『RIDE ON TIME』(フジテレビ系)での密着放送がスタートするKis-My-Ft2。それぞれが得意な分野で活躍しながらも、ここぞというときにはチームワークを見せる、自由なようで強固なグループだ。その個性豊かな活動を軸とし、魅力をまとめてみたい。第2回は千賀健永。


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 「東京に来たらデビューさせてあげるよ」。ジャニー喜多川の一言で、地元・名古屋から東京へ引っ越した千賀。しかし、CDデビューが叶ったのはその言葉から約8年後のことだった。これは、千賀のつかみネタだ。


 とはいえジャニー喜多川は、千賀の才能を見抜き、認めていたのだろうと思う。たとえば2007年には、千賀をはじめにダンスが上手いメンバーを集めたユニット“舞闘冠”を結成している。その上で、千賀自身が「キスマイもやりたい」と自ら道を選んだ。そうしてKis-My-Ft2のデビューが決まったのが、2011年というわけだ。


 幼少期からダンスに触れ、そのスキルと豊かな感性で、グループの振り付けを担当することも多い千賀。彼が振りをつけた楽曲は、いずれも高い人気を誇っている。決して「千賀が振りを付けたから」という甘めのジャッジではないことは、他グループファンの支持からも分かるだろうし、一度でも目にすればきっと、納得するはずだ。


 さすが、ダンスの基礎がしっかりと根付いているのだろう。たとえば「COUNT 7EVEN」では、楽曲のジャンルに合わせた動作をきっちりと持ってくる。なおかつ世界観をよくとらえているため、ストーリーが見えてくる振り付けだ。「Tonight」では、メンバーがまとまりよく、格好良く見える構成。7人が連携し、グループである強みを提示した上で、難しくもキャッチーなダンスに仕上がっている。そのほか「I Scream Night」では、頑張ればファンもマネができる、まさに今流行しているダンスチャレンジをいち早く取り入れた形。ともに楽しめる一体感のある振り付けは、ファン心をくすぐる。


 アーティスティックな才能は俳句でも花開き、2018年の『プレバト!!』(TBS系)内の『冬麗戦』では涙の優勝を果たしている。そのとき、彼が詠んだ句は実に印象的だった。


「雪原や 星を指す大樹の骸」


 朝から夜への時間の流れに、星を夢見る大樹の最期という、悠久の時を重ねている。今なお、彼が詠んだこの物語に、ふと思いを馳せる日がある。それほど美しい句だ。何を見て何を感じ、どう感性を磨けば、これほど美しく幸せな結末、儚くも壮大な物語を思い描くことができるのだろう。興味深いほどに純粋で、優しい感性の持ち主である。


 だからこそ、素直に涙を流せるのだろう。ほかにも、ピアノに挑戦し、放送ごとに上達を見せる『UTAGE!』(TBS系)、そして10周年の記念に出演した『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)ーーこらえきれず、千賀の瞳から涙があふれる場面を何度も見た。純粋な心はもとより、たゆまず努力をし続けてきたからこそ流せる涙なのだろうとも思う。


 バラエティに積極的で、自らオチを引き受けることも多く、どんな姿も包み隠さない千賀。しかし元来、アイドルであるからこそ「ファンにはかっこいい自分を見せたい」という思いがしっかりとある人だ。だからこそ派生ユニット“舞祭組”が結成された当時には内心、葛藤があったとも語っている。


 近年注目されている、美容に対する並々ならぬこだわりや深い知識、実行力も、格好良く美しくあるための努力。折に触れ、彼はコンプレックスを口にするが(そうした人間的なところ、口にできるようになるまでの葛藤も、魅力のひとつなのだろう)、彼にとって美容は好きな自分でいるための努力であり、純粋に好きなこと。美容について語る彼は、活き活きとして楽しそうだ。その優しく穏やかな話し方に癒される人は多いだろうし、千賀自身がありのまま「好き」を発信し、さまざまを受け入れ、否定しない姿勢は現代的でもある。


 昨年、新型コロナウイルス感染症から回復したあとには、すぐにYouTubeコンテンツを通し自らの言葉で経験を発信。柔軟な思考と、いつも忘れない「誰かのため」という心がけ、ここぞというときの行動力とスピード感、そして情報社会における発信力とアンテナ。これらを兼ね備えた千賀は、今後ますます需要が高まる可能性を秘めている。


 そしてデビューから10年が経とうとも、ファンやメンバーが「千ちゃん」と呼ぶ姿を見ていると、精神年齢は早くからずいぶんと大人であったようにも思うが、やはり最年少はかわいいのだろうと思う。プロフェッショナルでありながらも、純粋さと無邪気さを残す、変わらないでいてほしい人。そして、発信すること、表現することを、どうかずっと続けてほしいと願う。千賀の存在、そして千賀から生み出されるさまざまは、いつも誰かを笑顔にし、励まし、感動させるものであるから。(新 亜希子)