トップへ

「積み重ねていった先にチャンピオンがある」MotoE、2年目のフル参戦に挑む大久保光

2022年03月03日 19:50  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

MotoEに参戦している大久保光(AVANT AJO MotoE)
日本人ライダーとして初めてMotoEにフル参戦した大久保光。先日、2022年シーズンも継続参戦が発表されたばかり。MotoEとは、どんなものだったのか? そして2年目となる2022年シーズンに向けた意気込みを聞いた。

 昨年の大久保のレースを見ているとシーズン序盤は、トップグループにつけていても終盤にポジションを落としてしまうことが多かった。

「特にシーズン前半戦が、そうゆうレースが多かったですね。初めての挑戦っていうこともあり、日本人というかアジア人もいないなか、データがほとんどないところからのスタートだったので、正直、難しかったという思いは、ありましたね」

「ただ、シーズン終盤のオーストリアとミサノでは、5位、6位に入ることができたので、遅くなりましたけれど電動バイクの乗り方を理解できてきたので、いい方向に行っていると実感しています」

 電動バイクの特性を理解しながら、レース終盤までのタイヤのもたせ方やライディングのアジャストなど、前半戦を戦い終えた大久保は、日本に戻り、何が足りなかったのかを徹底的に考え、MotoEに乗るために必要なトレーニングを行った。

「前半戦が6月で終わって7月に全日本ロードJSB1000クラスにトリックスターから出場させてもらったのですが、そこでもMotoEに向けての対策を考えながら走ったり、電動ミニバイクで八の字を走ったりして、なぜレース終盤にタイムが落ちるかを理解できたんです。それが後半戦の成績につながったと思います」

 電動バイクの特性というものは、具体的にどんなものなのかを説明してもらった。

「動力が電気なので全然違いましたし、とにかく重いです。今まで乗ってきたバイクの中で最も車重があるので、この2点が想像以上に違いましたね。260kgありますからね。ハンドリングも重いです。JSB1000マシンが、すごく軽く感じたくらいですから(笑)」

「電気は開け始めのパワーがすごいあるんですよ。JSB1000に乗ったときに物足りないくらいに。一気にピークに達してしまうので、いつでも2ストロークでいうパワーバンドに入ったところで走っている感じです」

「だからアクセルの開け方というよりは、そのときにバイクを立てて荷重をうまくかけて加速する体制に入っていられるかがポイントですね。それができていないと、すぐにタイヤが減ってしまうんです。一応、スロットルの調整で“フルパワー”と“セーフティ”があるのですが“セーフティ”だとタイムが出ないんですよ(笑)」

「エンジンブレーキの調整が4段階あって、エンジンブレーキボタンがあるのですが、普通の4ストロークに比べればないに等しいですね。サスセットは、フロント、ロアともにソフト、ミディアム、ハードとあります」

 ミシュランのワンメイクだが、そのタイヤは、再生タイヤで60%がプラスティックゴミなどからできているそうだ。その扱いは難しく車重があることも拍車をかけてライフも短いという。

「ワンメイクのレースなので自信はあったのですが、ライダーのレベル的に足りないところを痛感しました。その足りなかった部分を反省して補うことを、このシーズンオフにトレーニングしているので、今シーズンは、開幕戦からいいスタートが切れると思っています」

 マシンは来シーズンからドゥカティ製となることが発表されているが、今シーズンは、イタリアのEnergica(エネルジカ)製と昨年と変わらないため何としても結果を残したいところだ。

「もちろん最終目標はチャンピオンですね。そのためにも、まずは1勝を挙げて、優勝を積み重ねていきたいですね。“ビッグボス”新庄さんの言葉にもあったように、積み重ねていった結果、チャンピオンがあるので、しっかり、そこを目指していきたいですね」

 4年目を迎えるMotoEの開幕戦は、4月30日・5月1日のスペイン、ヘレス・サーキットと、まだ少し先となるが、まもなくオフィシャルテストが始まる。大久保の開幕ダッシュに期待したいところだ。