2022年03月02日 12:11 弁護士ドットコム
ロシア軍の侵攻に抵抗するため、ウクライナ政府が募集する外国人の「義勇兵」に、およそ70人の日本人が志願していると報じられている。
【関連記事:「父から犯されているんですけど」妻の連れ子に性的暴行、父親の身勝手な動機とは】
毎日新聞(3月1日)によると、3月1日夜までに約70人が志願を申し出て、このうち約50人が元自衛官だったという。同日夜放映のTV番組「BSフジ LIVE プライムニュース」に出演したコルスンスキー駐日ウクライナ大使も、約70人の日本人志願者がいることを認めた。
義勇兵の募集をめぐっては、ウクライナのゼレンスキー大統領が2月27日、志願者による外国人部隊の編成を表明。在日ウクライナ大使館が同日、ツイッター上で、「ボランティアとしてウクライナ兵と共にロシア軍に対して戦いたい」場合は同大使館に問い合わせることができると発信していた。
これに対し、林芳正外務大臣は、3月1日に開かれた記者会見で、「在日ウクライナ大使館がそうした呼びかけをしていることは承知しているが、現在外務省としてウクライナ全土に退避勧告を発している。目的のいかんを問わず、同国への渡航をやめていただきたい」と呼びかけた。
今後、義勇兵として参加しようと海外渡航する人が現れる可能性も考えられるが、義勇兵の募集に応じた場合、刑法上の私戦予備・陰謀罪に問われるおそれがある。2014年に過激派組織「イスラム国」(IS)に参加するために海外渡航の準備をしたとして、男子学生ら5人が、私戦予備・陰謀の疑いで書類送検されたケースがある。
なお、私戦予備・陰謀罪(刑法第93条)の刑は、3月以上5年以下の禁錮刑。自首して準備や陰謀の内容を明かすなど、捜査に協力した場合には刑が免除される。
私戦予備・陰謀罪が念頭にあるのか、コルスンスキー大使はTV番組で、「(義勇兵の募集に応じることが、日本の)国内法に違反するものであってはならない」とも述べていた。
志願者の海外渡航への対応について、外務省の広報担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「現時点で回答できることはない」と話した。在日ウクライナ大使館は、「多忙で取材対応ができない」とした。