メルセデスのジョージ・ラッセルは、FIAによるF1レースコントロール体制の変更を歓迎している。変更には新たなVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)スタイルの“バーチャル・レースコントロールルーム”が加わっており、スチュワードの判定作業を支援する。
FIAは2月17日に、F1レースコントロールユニットの体制を変更することを発表した。レースディレクターだったマイケル・マシは、昨年12月のシーズン最終戦アブダビGPが物議を醸して台無しとなったことを受けて退任した。
新たにレースディレクターに就任したエドゥアルド・フレイタスとニールス・ヴィティヒは、ふたりともFIAオフィシャルとして豊富な経験を持つ。今シーズン、ふたりは交代でF1の新たなレースコントロール体制の指揮を執り、ベテランのF1オフィシャルであるハービー・ブラッシュがふたりのアドバイザーを務める。
3名のFIAスチュワードは、コース上での疑わしい動きやレーシングインシデントの判定と処分を行うが、彼らの仕事は新たにバーチャル・レースコントロールルームによって支援される。これはサッカーで使用されているVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)と同様に機能するものだ。
「サッカーのビデオ・アシスタント・レフェリーのように、VARがFIAのオフィスのひとつに設置されることになり、コース外からバックアップを行う」とF1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリはコメントした。
「FIAのF1レースディレクターとリアルタイムでつながり、競技規則を適用する際に、最先端のテクノロジーツールの助けを借りることができる」
現在GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)の理事を務めるラッセルは、新たな体制を歓迎し、F1ドライバーたちがバックアップとしてリモートレースコンロールルームの設置の案について相談を受けていたことを明かした。
「GPDAはFIAと話をしていた」とラッセルは語った。
「公平に見て、彼らはアブダビの後でより良い解決策を見つけるために非常に迅速かつ積極的に行動していた」
「“VAR”ソリューションは素晴らしいと思う。さらなる支援ツールがあることはまったく理にかなっている。その場で分析を行い、より迅速に見解や判断を下すための情報が得られるんだ」
「時代が変わり、物事は進んでいく。ドライバーがルールブックを活用する事は理解できるが、同様にFIAもそれに対抗するための取り組みがもっと必要だ。なぜならどのチームもドライバーも、常に優位に立つ方法を探しているからだ」
新たなテクノロジーによってドライバー間のレーシングインシデントがなくなることはないが、ラッセルはこの変化が“正しい方向への一歩”であると主張している。
「やり方が洗練されるまでに多少時間がかかると思うが、間違いなく正しい方向への一歩だ」
「でもそれだけでは十分ではない。必要なことは常にあるものだ。“VAR”やバーチャルでできることがさらに増えるのは有益なことだと思う」