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最近よく見る? 白いテスラ「モデル3」が人気な理由

2022年02月28日 11:31  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
最近、街中で頻繁に見かけるようになった電気自動車(EV)といえばテスラの「モデル3」だ。ボディカラーは白が多いように思える。人気のモデル3だが、実際のところ、どのくらいの価格で購入することができるのだろうか。白が人気の理由は? 考えてみた。


○2021年は90万台超を販売! 好調なテスラ



東京都内でという限定的な印象ではあるが、米国の電気自動車(EV)テスラの「モデル3」を頻繁に見かけるようになった。複数の業界関係者と話しても、みな「白いモデル3をよく見る」と答える。ご近所にも、外装色が白のモデル3を購入した人がいる。



明確な数値を基にした話ではないが、都内で頻繁に見かけるようになる商品は、相当な数が売れているとの評価がある。新車はもちろん、アルミホイールなども、よく見かけるものがヒット商品となっている場合が多い。



テスラによれば、対前年比や販売台数の推移といった細かい業績の数値は公表していないとのことなので、売れ行きの向上を数値で証明することはできない。それでも、2021年の春に約80~150万円という大幅な値下げを行って以降、モデル3の販売は好調な様子だ。


テスラは2021年、世界で90万台を超える新車を販売した。この数字は例えば、スウェーデンのボルボ(約70万台)を大きく上回る規模だ。そのなかで、二酸化炭素(CO2)排出量規制の厳しい欧州市場で販売台数を牽引するのは、やはりモデル3であるという。



モデル3には2019年にも試乗し、記事を書いている。ただし、このときは日本市場への導入から間もないタイミングであり、乗ったのは「パフォーマンス」という最上級グレードの4輪駆動車(AWD)だった。こちらの新車価格は717.3万円である。

これに対し、最も廉価なグレードは後輪駆動車(RWD)で、価格は479万円と30%以上も安く手に入れられる。昨春の大幅値下げにより500万円を切り、値ごろ感が大いに増した。ちなみに、中間グレードの「ロングレンジ」は564万円だ。


モデル3の購入に際しては補助金を受け取ることができる。クリーンエネルギー車導入に関わる国からの金額が60万円、東京都のEV補助金は40万円で、さらに都内であれば区によって、10万円程度の補助を受けられる場合もあるそうだ。最も廉価な479万円のモデル3を都内在住の方が購入するケースであれば、区の補助を除いても100万円安い379万円で手に入れられるわけである。新車価格で400万円を切るとなると、選択肢に入ってくる方も多いのではないだろうか。EVの購入が特別なことではなくなってきた。



他社の例として、フランスのプジョーでは、2021年の日本国内におけるEV販売比率が小型車「208」(EVバージョンはe-208)で10%、小型SUV「2008」(同e-2008)で13%に達したという。国内のEV市場は乗用車全体の1%にも満たない状況(0.9%)だから、大変な売れ行きだ。EVとしての性能のみならず、クルマとしての高い完成度を含め、車両価格が400万円台前半であることが購入意欲を高めていると考えられる。補助金なしでも479万円からというモデル3の価格設定も、購入検討者には大きな魅力になっているはずだ。


ところで、多くの人々が「白いモデル3をよく見かける」との印象を抱く背景としては、白が外装色の標準となっていることがあるのではないだろうか。ほかにも色はあるが黒、シルバーメタリック、ブルーメタリックの3色だと12.6万円、赤に至っては25.1万円の追加料金がかかるため、車両価格を抑えるなら標準色の白という選択になるだろう。



そのほかに、標準装備の18インチアルミホイールを19インチにすると18.8万円が追加となる。内装は黒が標準だが、黒と白のツートーンを選ぶと12.6万円がプラスに。自動駐車や自動車線変更、スマートフォンでクルマを呼び出す「サモン」という機能などをまとめた「フルセルフドライビングケーパビリティ」を装備する場合、追加料金は78.1万円となる。


好みの色や装備の充実を考えるときりがないが、標準仕様で装備や色に納得できるなら、モデル3は500万円以下で手に入る。標準装備も魅力ある内容になっていると思うので、そのまま購入しても問題なしだと個人的には考える。



御堀直嗣 みほりなおつぐ 1955年東京都出身。玉川大学工学部機械工学科を卒業後、「FL500」「FJ1600」などのレース参戦を経て、モータージャーナリストに。自動車の技術面から社会との関わりまで、幅広く執筆している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。電気自動車の普及を考える市民団体「日本EVクラブ」副代表を務める。著書に「スバル デザイン」「マツダスカイアクティブエンジンの開発」など。 この著者の記事一覧はこちら(御堀直嗣)