昨今、政府はさまざまな子育て支援策を整備しているが、所得制限でそれを受けられない家庭もある。それが多子世帯の場合、子育て費用の負担は大きくなる一方だ。
「子ども3人、所得制限で医療費も自己負担。首都圏・持ち家35年ローンで一見裕福に見えますが、日々金銭的不安に襲われています」
こう語るのは、神奈川県に住む40代前半の女性(サービス系/正社員)。共働きで世帯年収1200万円だ。
「買い物中は値引きシールを探しに行っているようなもの」
女性は現在の資産状況について「株少々。貯金は家の修繕費用程度で新車を買うほどはない」と口火を切ると、子育てにかかるお金の負担感を次のように語った。
「中学生を筆頭に3人子どもがいるので、塾費用プラス1人1つの習い事で手一杯。少しでもたくさん食べてほしいので、買い物はスーパーに行けば値引きシールのものがカゴの大半を占めるし、買い物中は値引きシールを探しに行っているようなものです。外食はもちろんファミレスでクーポン使いまくります」
所得制限で学費補助を受給できないため、女性は「子どもには私立の選択肢を与えてあげたいけれど、公立で頑張ってほしいとお願いしています。共働きで情けない限りです」と嘆く。
「(子どもたちは)日頃、自分でいろいろやっているし、塾にはいつも2駅分自転車で頑張って通っていてくれる。その分、進路の選択肢を多くしてあげたいものの、貯金もほとんどできていないのでそうもいきません」
「また将来のために英会話スクールも行かせてあげたいけれど、ネットのオンライン教室で3人とも頑張ってくれています。結局、補助金を受けられる人との教育格差の逆転が起きているように思いますが、これってどうでしょうか?政府の視野の狭さにほとほと呆れます」
自身の現状を踏まえたうえで、女性は子どもたちの将来に思いを馳せる。
「『子どもたちには3人の子育てを勧められない』とどなたかが言っていましたが、同感です。子宝に恵まれることはとても幸せですが、私と同じく、将来への不安や子どもたちへ我慢させる辛さは経験してほしくないので」
ファイナンシャルプランナーの大野翠氏(芙蓉宅建FPオフィス代表)は次のように解説する。
<お子さんも含めて家族そろって協力しあっている様子は、現在同じ境遇で頑張っている高所得の子育て世帯の人たちの励みになるのではないでしょうか。今できることを最大限実践している様子がうかがえます。
子育て期間中の出費についてですが、3人のお子さんが何年後にいくらかかりそうなのかを、ざっとで構いませんので書き出してみることをお勧めします。中学生を筆頭に3人のお子さんということですので、これから何年か置きに高校や大学の入学費等の大きな出費が予想されます。それに向けて第一子から第三子までの成長に応じて時系列で出費の把握をしてみましょう。もちろん習い事など現状の継続的な出費もありますが、入学費用などさらに大きなまとまった出費に向けてあらかじめ把握し、早めに対策を練ることは効果があります。出費を可視化することは、目標を定めるための第一歩です。是非試してみてください。
また、夫婦共働きで世帯年収1200万円ということですので、十分な老齢厚生年金が見込まれます。勤務先によってはまとまった退職金もあります。このため、ひとまず現状としてはお子さんの教育費が落ち着くまで「子ども関連費」を優先して家計を考えていっても良いでしょう。>
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