シエルとセバスチャンが契約を交わす場面とともに、テノール歌手・山本耕平の力強い声による「Cena d’amore」の演奏がスタート。続いて「あくまで執事編」では「La gardenia」に合わせてファントムハイヴ家の1日が映し出された。ジャックザリッパー事件を描いた「赤執事編」では、女装したシエルが舞踏会に潜入するコミカルなシーンから次第に物々しい雰囲気へ。グレルとの戦闘を終えた後、穏やかな曲調とともにマダム・レッドの一生に幕が下りた。続く「サーカス編」では、ジョーカーがサーカスの開演を告げる映像と同時に「book of circus」の演奏が始まる。藤野由佳が演奏するアコーディオンも相まって本物のサーカスにいるかのような雰囲気が漂うも、セバスチャンとシエルが核心に近づくごとに曲調は激化していった。
第1部のMCには作曲家の岩崎琢と光田康典が登壇。TVアニメ1期から作曲を担当していた岩崎は楽曲制作時、「どうやったら黒執事に合わない曲を作れるか、を意識していました」と意外な事実を明らかに。対してTVアニメ「黒執事 Book of Circus」以降の楽曲を担当した光田は「岩崎さんと被らないような自分らしさを追求しました」と語る。また演奏を聞いていた小野は「おふたりの曲を聴くと収録当時を思い出します。最初は苦しかったですが、みんなで作っていく作品なんだと気付いてからはだんだんと面白くなっていきました」と当時を振り返った。
終盤にはTVアニメ1期OP曲であるシド「モノクロのキス」のフルオーケストラverが演奏された後、セバスチャンがナレーションで「VIP席で鑑賞していた当家の主に呼ばれてしまいましたので、私はこれにて失礼させていただきます」と執事らしい一言を告げ閉幕へ向かう。最後に「A Gleam in the Distance」でフィナーレを迎え、観客の割れんばかりの拍手とともに「黒執事」史上初のオーケストラコンサートは幕を閉じた。