2022年02月25日 06:01 リアルサウンド
昨年CDデビュー10周年を迎え、現在、約5年ぶりとなるアリーナツアー『Kis-My-Ftに逢える de Show 2022』を開催中のKis-My-Ft2。それぞれが得意な分野で活躍しながらも、ここぞというときにはチームワークを見せる、自由なようで強固なグループだ。その個性豊かな活動を軸とし、魅力をまとめてみたい。第1回は北山宏光。
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多数の著名人を輩出する堀越高校に、サッカー推薦で入学した北山。ジャニーズ事務所に入所したのは、2002年のことだ。小学生も所属するジャニーズJr.において、決して早くはない高校生からのスタートだったが、サッカーと両立しながらダンスレッスンやアクロバット教室に通って力をつけ、2004年にはキスマイの前身であるKis-My-Ft.のメンバーに選出された。
特殊な経歴だが、北山ならば「なるほど」と納得してしまう。まさにスポーツマンらしい根性派だ。キスマイといえば、若い頃にはビジュアル面で、そして今もパフォーマンス面でエッジを効かせているグループ。現在は、丸くなった自身らを笑い話にしているが、北山には今なおギラリと光るものが。自身にも他者にも、あるいは世間の評価にも、「負けたくない」という大切な思いを持ち続けているように見える。そしてそれこそが、彼の原動力の一つではないだろうか。
中堅ともなれば、若手グループを「キラキラしている」と表現し、ジョーク交じりに自身らを下げる者も少なくない。もちろんそれは後輩を立てるための愛情であり、月日を重ねたからこその醍醐味でもあるだろう。けれど北山は、あまりそうした発言をしない印象がある(バラエティの流れに乗ることはあるが)。自分自身、そしてグループにプライドを持っているのだろうし、ここ数年の活躍を見ても分かるように、北山は年々加速している。キスマイにリーダーはいないが、最年長の北山がこうした姿勢であることは、ファンにとって頼もしいものであるはず。好戦的であることは、アイドルにとって必要な資質だ。それでいて北山は、決して他者を下げはしない。相対評価ではなく絶対評価。自身として、グループとして、挑み続けたいとする姿勢が見える。
2020年には、キスマイメンバーから初めて『24時間テレビ 「愛は地球を救う」』(日本テレビ系)のメインパーソナリティーに抜擢された。5つのグループからメンバー1人ずつ選出してパーソナリティーを構成したこの年。北山は、キャリアにおいてちょうど真ん中という難しい立ち位置にあった。しかし、グループではMCを務めることも多く、番宣にあたって出演した数々の番組では、空気を読んでうまく立ち回っていた。出るところは出る、引くところは引くという、当たり前のことがきちんとできるところに、研究熱心であろう性格と経験値が表れていた。
向上心は『プレバト!!』(TBS系)でも一目瞭然。特に俳句においては、2021年秋の『金秋戦』において、唯一の特待生ながら異例の優勝を果たした。そのほか、書道や英会話を得意とする文武両道であり、本業においては作詞作曲、MV撮影・監督などマルチに挑戦を続けている。今年、初のソロ出演を果たしたカスタマイズウォッチ『Knot』の新CMでは、企画会議にも参加したというから驚きだ。
2021年は、ドラマ出演という演技のフィールドで躍進を見せた。『でっけぇ風呂場で待ってます』(日本テレビ系)、『ただ離婚してないだけ』(テレビ東京系)、『正義の天秤』(NHK総合)と、シットコムからサスペンスまで、すべてで異なる表情を見せた。役柄によってまとう空気に年齢相応の渋みや哀愁が漂う北山の芝居。年齢という縦の幅、ジャンルという横の幅、いずれにも守備範囲が広い彼の芝居には、器用さはもとよりその感受性の高さが大いに反映されている。
今年も、すでに『卒業タイムリミット』(NHK総合)、『星新一の不思議な不思議な短編ドラマ』(NHK BSプレミアム)への出演が発表されているが、くわえて9月上演予定の堂本光一主演舞台『Endless SHOCK -Eternal-』の博多座公演にライバル役として出演することも決定した。
2019年、主演映画『トラさん~僕が猫になったワケ~』の宣伝を兼ねてKinKi Kidsの冠番組に出演した際には、終始「南山」と呼ばれ、かつて北山が『SHOCK』に出演したことも「全然覚えてない」と一蹴されるなど、おなじみのKinKi Kidsの洗礼を受けた(『SHOCK』については、光一が演出を手がける以前のシリーズだったため、記憶に浅かったようだ)。しかし、今回の起用について、光一によれば「たとえば北山ってどうだろうね」と、かねてより北山の名前が挙がっていたという(※1)。制作発表にて突然、その事実を聞かされた北山が驚く場面も。理由については「なんとなく、雰囲気で」と多くは語らなかった光一だが、自身のライフワークであり、敬愛するジャニー喜多川の名を残した大切な作品の配役を、なんとなく決めるはずがない。「(同作に欠かせないライバル役を)できる人って、どの子がいるかな」と話し合ったという言葉に、見ている人は見ているのだと感じる。
何事も動かなければ始まらないし、待っているだけではチャンスは来ない。自身の芸能人生のはじまり同様、常に能動的に、あらゆる準備を怠らなかったからこそ、今の北山宏光がある。
※1:https://dogatch.jp/news/cx/fujitvview_111740/detail/
(新 亜希子)