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旧車とオイルの匂い……夢と憧れを詰め込んだ「男のドォルハウス」

2022年02月24日 09:11  おたくま経済新聞

おたくま経済新聞

旧車とオイルの匂い……夢と憧れを詰め込んだ「男のドォルハウス」

 車やバイク愛好家の夢として語られるのが、旧車をガレージでレストアすること。もちろん、現実は多くのお金と手間暇がかかり、なかなか実現するのは難しいものです。


 ガレージに入った旧車と使い込まれた工具、どこかから漂うオイルの匂い……子どもの頃に憧れた、車・バイク好きの夢を具現化したような「男のドォルハウス」。作者の杉山武司さんに、作品についてうかがいました。


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 古びたカフェのガレージに入っているのは、2ドアハードトップのハコスカGT-R(KPGC10)。


 どこにある建物だろうと思ってしまいますが、これはミニチュアのジオラマ。杉山武司さんは、ガレージやカフェのミニチュア「男のドォルハウス」を20年近く作り続けています。


 車やバイクの模型でポピュラーな1/24スケールや、ドールハウスの基本である1/12スケール、戦車などの模型で標準的な1/35スケールでミニチュアの建物を作っている杉山さん。


 かつては初代カローラレビン(TE27)を愛車にしていたそうで「旧車好きなので作品にも旧車をからめて、自分の好きな世界観を表現しています」と語ります。


 どこか懐かしさを感じさせるたたずまいですが、作品の多くは特定の建物をモデルにしているわけではなく「アメリカの田舎町とかも好きで、アメリカのような北海道のような独特な建物になっています」とのこと。


 家具や建具の素材はヒノキ。建物は建具店で育ったこともあり、ドーブチ(胴縁)やスタイロフォームといった建材も使っているそうです。


 年月を感じさせる風合いはオイルステインとアクリル絵の具で。きちんと整えられているのではなく、どこかこ埃っぽい感じがまた「秘密基地」的な印象を強くさせます。


 大きな1/12スケールの場合、ひとつの作品を作るのに3か月から半年ほどかかることも。「意外とドアや窓など、建具が時間かかるんです」細かい造作の分、寸法合わせの手間が必要なようです。


 杉山さんは自身を「モデラーではない」と語っていて、作品に合わせる車やバイクはプラモデルやミニカーをアレンジしたもの。あくまでも主役は建物であり、雰囲気を演出する小道具といったところでしょうか。


 どこかノスタルジーを感じさせつつ、いつか憧れた夢の世界を思わせる杉山さんの作品は、展示会などで見る機会があるそうです。


 2022年2月27日~3月5日に東京のJR有楽町駅前にある東京交通会館B1F、ゴールドサロンで開催される「はが いちよう(芳賀一洋)展&渋谷クラフトクラブ展」では、自動販売機のある休憩所をモチーフにしたミニチュア作品を出展予定。芳賀さんは杉山さんの師匠にあたる方なんだそうです。


 このほか「2022年は7月に地元(北海道滝川市)で、11月に札幌で作品展をする予定です」とのことなので、お近くの方は必見かもしれません。



<記事化協力>
杉山武司さん(@takejisugiyama)


(咲村珠樹)