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松田元太、初主演映画で見せた“人気者”としてのバランス感覚 Travis Japanの追い風に?

2022年02月23日 08:21  リアルサウンド

リアルサウンド

『君が落とした青空』(c)2022 映画『君が落とした青空』製作委員会

 バレンタインも過ぎ、春へと向けて恋の暖かさが身に沁みるこの時期にぴったりの映画が公開された。福本莉子と松田元太(Travis Japan/ジャニーズJr.)がW主演を務めた、恋と青春にSF要素が加わったタイムリープ・ラブストーリー『君が落とした青空』だ。


【写真】松田元太が制服姿で優しく微笑む


 原作の櫻いいよが執筆した同名小説は、女子中高生に大人気の小説アプリ「野いちご」で“切ない小説ランキング”第1位を獲得した。映画も同じくティーン世代からの熱い支持が期待される。そんな『君が落とした青空』では、映画初出演にして初主演となる松田元太の魅力が光った。


 女子高生の実結(福本莉子)は、彼氏の修弥(松田元太)と付き合っているのにどこか心の距離を感じていた。気まずい空気が続いていたある日、修弥が目の前で交通事故に遭ってしまう。しかし実結が次に目覚めると、修弥が事故にあったのと同じ日の朝に戻っていた。実結は修弥を救おうと同じ日を繰り返す中で、徐々に真実を知っていく。


 本作で松田は実結の彼氏・修弥を演じ、その力強い瞳の説得力と、実結への真っ直ぐな想いがひしひしと伝わる芝居で作品を盛り上げた。もともと松田は、ジャニーズJr.内のグループ「Travis Japan」のメンバーであり、歌やダンスなど芝居以外の分野で活躍してきたキャリアがある。また、松田の所属するTravis Japanがダンスの得意なジャニーズJr.を集めて結成されたこともあり、松田もまた例に漏れず凄まじい身体能力を持っているのだ。


 『君が落とした青空』では修弥がサッカーで活躍する姿を実結が窓から眺めるシーンがあるが、松田はそこで華麗なボール捌きでシュートを決める姿を披露。この一連のシーンは、修弥というキャラクターがクラスを盛り上げる存在で、みんなから好かれていることに説得力を与える。役者にとって身体能力が高いことはメリットしかない。演じる役によって求められるスキルが違う特殊な仕事がゆえ、身体表現で魅せられるという特技はどんな役にも活かされるだろう。さらにダンスと歌で磨いた表現力で、実結を想う気持ちをしっかりと観客へと届けてくれる。


 さらに松田の芝居で注目したいのが、「人気者」を演じることへのバランス感覚に長けているということだ。映画やドラマではよくある設定だが、実は簡単な芝居ではない。おどけていたり、クールであったりとステレオタイプな演技があるわけではなく、その上で周囲から一目置かれるに値する風格を作り上げていかなければならないのだ。松田はその点、スポーツができること、友人同士で盛り上がる時の表情、友人と集まって動画撮影をしているときに披露する簡単なダンスなど、いかにもクラスで慕われる人物であることを自然な演技で伝えてくる。加えて実結にとっても、すれ違いこそあるが決して彼氏として落第点をつけられるような人物ではないことも表わされている。誰もが思い描く「素敵な人」をキャッチして表現する力を感じた。


 今回、松田は『君が落とした青空』での主演に際し、まふまふが歌う主題歌「栞」につけた振り付けがSNSで話題になるなど、ダンスでも作品に貢献。公開直前イベントではこの振り付けを同じTravis Japanのメンバー・吉澤閑也が手伝ったことも明かしており、メンバーの仲の良さが垣間見えるエピソードとなった。1月には中村海人(Travis Japan/ジャニーズJr.)が、反町隆史主演の『WOWOWオリジナルドラマ 今どきの若いモンは』に出演することも発表されており、まさに追い風のTravis Japan。個々の活動にも注目が集まる中で、松田が本作への出演をきっかけに、グループ活動、個人活動ともにますますキャリアを切り拓いていくことが期待される。


(Nana Numoto)