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残業220時間「うつ病」発症の元社員が勝訴、EC運営会社に2400万円支払い命令 東京地裁

2022年02月22日 18:31  弁護士ドットコム

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最長で月220時間を超える残業などでうつ病を発症したとして、40代の男性が元勤務先に対し、逸失利益など約6900万円を求めた裁判の判決が2月22日、東京地裁であった。会社側に安全配慮義務違反などがあったとして、約2400万円の支払いが命じられた。


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訴えられたのは、ネット通販などを手掛ける「ストリーム」(東証二部)。原告の男性は、倉庫内の商品管理や発送などに従事していた。



男性が2013年11月に別の物流センターに異動したところ、会社の新規事業がはじまり、扱う商品量と労働時間が急増。2014年2月にうつ病を発症し、同年12月に労災認定された。



労働基準監督署が認定した残業時間は以下の通り。発症前の4カ月間は過労死ラインを超えており、最長は223時間だった。連続勤務(13日間、19日間、16日間)もあったという。




発症前1カ月:108時間25分
発症前2カ月:81時間45分
発症前3カ月:223時間34分
発症前4カ月:145時間5分
発症前5カ月:36時間12分
発症前6カ月:13時間44分




●現在も治療中で就労困難

男性は2018年に症状固定したとして、後遺障害等級9級と認定された。現在も治療中で就労が難しい状況だという。



判決後の記者会見で、男性は「同じように苦しんでいる人に、救済の道もあるんだと伝われば」と勝訴の感想を語った。



男性側は、裁判所が過失相殺を認めなかったことなどを評価しつつ、後遺障害により労働能力が制限される「労働能力喪失期間」の認定などに主張との隔たりがあるとして、控訴するかどうか検討するという。



会社側は、弁護士ドットコムニュースの取材に「コメントは差し控えたい」と回答した。