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JR四国キハ185系改造「伊予灘ものがたり」新車両を公開、3両編成に

2022年02月21日 16:01  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
JR四国は21日、観光列車「伊予灘ものがたり」の新車両完成に伴う報道公開を実施した。2代目となる新車両は同社の特急形気動車キハ185系を改造した3両編成。松山~伊予大洲・八幡浜間にて、4月2日から運転開始する予定となっている。


「伊予灘ものがたり」は2014年7月、同社初の本格的な観光列車としてデビュー。既存のキハ47形を改造したキロ47形2両編成が初代車両として使用された。沿線地域の応援もあって人気の観光列車に成長し、デビューから約7年半で14万人以上が乗車したという。



初代車両は昨年12月の運行をもって引退し、今春から車両を一新した2代目「伊予灘ものがたり」が登場する。初代車両のデザインを継承しつつ、3両編成となってグリーン個室を新設するなど、設備面でブラッシュアップを図った車両となる。



2代目となる新車両のエクステリアデザインは、1号車(八幡浜方先頭車)から2号車にかけて茜色、2号車から3号車(松山方先頭車)にかけて黄金色を基調としたカラーリングとし、伊予灘の夕景をモチーフとしたシンボルマーク、車体側面に大きく描いた和デザインのヱ雲(えぐも)といった初代車両の特徴を引き継いだ外装に。新車両では全面にメタリック塗装を施し、より夕日の光に映えるデザインとしている。


1・2号車の愛称と室内イメージは初代車両のデザインを踏襲。新車両の1号車「茜の章」(グリーン座席、定員27名)は海側に4人掛けボックスシートと海向き展望シートを備え、2号車「黄金の章」(グリーン座席、定員23名)は海向き展望シートの一部をペアシートタイプとし、さまざまなシチュエーションの2人旅で利用できるようにしている。1・2号車ともに山側は2人掛けのシートを配置。各号車とも洋風のいすとテーブルを初代車両からサイズアップし、より快適な時間を過ごせるようにインテリアを改良している。

3号車は「陽華(はるか)の章」、新設のグリーン個室は「Fiore Suite(フィオーレスイート)」と命名され、8名まで利用可能な車両貸切のラグジュアリールームに。海向きの2人掛けソファーシートを4席設置した。海向きの鏡面テーブルに空のきらめきが映り込み、伊予灘の海へと続く視覚効果を生み、車内空間と車外の景観がつながるかのように感じられる演出になっているという。インテリアはレトロモダンの上質なテイストを基調とした気品あるものとしつつ、陽の光や花のデザインを散りばめ、ぬくもりや安らぎを感じられる個室空間に。3号車の車内にサービスギャレーも配置した。



車内照明にもこだわり、各車両の電球型照明はみかんをモチーフにデザイン。みかんがたわわに実った様子を演出する。各号車の障子に模した照明と、1・2号車の天井間接照明、3号車のテーブル照明はいずれも夕日をイメージしたオレンジの明かりに切替え可能。夕景に合わせた照明の演出も考えているという。1・2号車の天井間接照明と3号車のテーブル照明はフルカラーにも対応している。


その他の車内設備として、座席ごとにコンセントを設置し、フリーWi-Fiも搭載。車内Wi-Fiサービスを利用し、手持ちのスマートフォンで前面展望ライブ映像なども楽しめる。観光映像や前面展望ライブ映像を配信できるモニターも各車両に設置。トイレは2号車に多機能トイレ1カ所、3号車に洋式トイレ2カ所(うち1カ所は女性専用)、計3カ所設置した。愛媛県の伝統工芸品である砥部焼を車内の各所で活用しており、伝統工芸品ディスプレイコーナーに作品を展示するほか、コーヒーカップやティーカップなどにも砥部焼の食器を使用する。車内で提供する各編の食事は、これまで「伊予灘ものがたり」の食事を担当した店舗が引き続き提供するとのこと。



新車両では自動換気システムを導入し、車内全体で抗菌・抗ウイルスコートを施工。シート間隔を拡大してソーシャルディスタンスを保持するなど、新型コロナウイルス感染症対策も徹底し、安心安全に旅行を楽しめる空間を提供する。



「伊予灘ものがたり」は土日祝日と金曜日を中心に、1日2往復(上下計4本)を運転。松山駅8時26分頃発・伊予大洲駅10時28分頃着の「大洲編」、伊予大洲駅10時57分頃発・松山駅13時1分頃着の「双海編」、松山駅13時28分頃発・八幡浜駅15時51分頃着の「八幡浜編」、八幡浜駅16時14分頃発・松山駅18時17分頃着の「道後編」を設定し、各便とも途中の下灘駅で約10分間停車する。新車両による運転は4月2日の「大洲編」からスタートし、同日は特別ツアーで運転予定。2022年度上半期は計83日間の運転を予定している。



車両リニューアルにともない特急料金が適用され、新たに特急グリーン料金とグリーン個室料金も設定した。グリーン車指定席の1・2号車を利用する場合、運賃・料金の合計は松山~伊予大洲間3,670円(運賃970円、特急料金1,200円、グリーン料金1,500円)、松山~八幡浜間4,000円(運賃1,300円、特急料金1,200円、グリーン料金1,500円)となる予定。3号車は2名以上から乗車でき、利用人数分の運賃料金のほか、グリーン個室1室料金2万8,000円が必要となる。(MN 鉄道ニュース編集部)