日本全国、どこにでもあるパチンコホール。通常ホール内には、パチンコとパチスロが設置されている。興味がない人に向けて双方の違いを簡単に書くと、パチンコはハンドルで玉を弾く遊技。パチスロは自分でメダルを筐体に入れてからレバーを叩いてリールを回転させる遊びである。
その共通点は、たくさん玉(メダル)が出れば景品に交換できること。そしてその景品を、たまたま近所に存在する買取所に持ち込むと、何と魔訶不思議なことにお金と交換できる点である。
そうなると当然、より玉が出やすい機種。つまり爆発力のある当たりが見込める機種に人気が集中する。2022年2月現在、その人気が集中しているのが、パチンコのミドルスペックと呼ばれるタイプだ。
今回のコラムはパチスロに焦点を置くのでそのミドルなんとかの話はここで手じまいにするが、ざっくばらんに言えば一瞬で10万円ぐらい出ちゃう可能性がある機種もある。一方でパチスロはどうか。これが大変な苦境にある。(文:松本ミゾレ)
パチンコよりパチスロが人気だった時代もあったが……
パチンコホールの中には、数こそ少ないがパチスロ機だけを設置したパチスロ専門店がある。少し前にパチスロ人気が非常に高く、ユーザーが熱狂した時代があったからだ。
4号機の『パチスロ北斗の拳』とか『吉宗』辺りの頃は特に人気も加熱し、北斗しか設置していない北斗専門店なんてのもあったほど。パチンコよりもパチスロの方が熱かった時代には、こういう形態も全然アリだったのである。
そんな時代も過ぎ去って、今は6号機パチスロの時代。6号機パチスロもかつてのパチスロと同じく色んなメーカーが創意工夫をして市場に送り出している。
ただし、有利区間と呼ばれる縛りが設けられ、こちらでも何度も書いたが一撃で5万円分に達しない段階で必ず大当たりの連チャンが途切れてしまう。最近はその区間についても出来る限り試行錯誤するメーカーもあるが、それでもものの30分で数万円分の玉が出る今のパチンコと比べると分が悪い。
現在、僕が住んでいる地域にはパチスロ専門店が1店舗もない。数年前は存在したが、今はドンキになっている。射幸性が徐々に低下していき、ユーザーが離反したことで閉店を余儀なくされたのか、あるいは近隣の競合店に客を吸われてしまったのか。どのみち今のコロナ禍では営業もままならなかっただろうから、早くに店じまいをして正解だったようにも思える。
また、パチスロをやる知り合いから、神田にある有名なパチスロ専門店が休業するという話を聞いたのもつい最近のこと。かなり知名度のある店ではあったが、6号機しかない現状では仕方がない判断だろう。
パチンコを導入して再起を図るホールも
先日も2ちゃんねるに「お前らが知ってるスロ専の店どうなった?」というスレッドが立っていた。ここにもユーザーが目にしたパチスロ専門店の現状が赤裸々に書き込まれている。ちょっといくつか引用させていただきたい。
「知ってるところはパチンコを店の半分位導入してた」
「禁煙化のときに畳んだな。会社帰りに5スロのジャグ打つのが楽しみだったのに」
「2店舗共一月に閉店したよ」
「1/31で閉店。隣合う2駅で10軒近くあったパチ屋やスロ屋も最後の一軒が残るのみになった」
と、このような塩梅。パチンコホールもその他の商業施設の例に漏れず現在は禁煙となっているが、その際に閉店したホールもあったという。それからパチスロ専門店でなく、パチンコも導入して再起を図っているという事例もあるようだ。
パチスロ5号機の設置期限が全国的に(一部例外を除いて)1月末だったので、その日の前後に閉店したというような書き込みもある。実際今年の1月は多くのパチンコホールが閉店してしまったが、やはりパチスロ専門店も例に漏れずと言ったところだったようだ。
今後も、まだまだ6号機時代は続く。メーカーも必死でいい機械を開発中だとは思うし、パチスロライターや動画の演者たちも「6号機意外に面白いよ」みたいなポジティブなメッセージを発信している。ただ、いちユーザーからしてみれば「面白くないわ出玉に制限があるわ、なんでそんなものを打つ必要があるんだ」という気持ちでいっぱいだ。
ホールとしても全然稼働しない新台を入れても虚無感著しいに違いない。設定を入れようと入れまいと、一部のパチプロ・スロプロを除いての大半のユーザーは一撃10万、20万の夢も見れないパチスロになんか向き合う気持ちにはなれない。
ホールにはどうしようもできない領域に6号機パチスロ最大の弱点があるのだから、現存するパチスロ専門店のホール関係者は本当に今しんどいんだろうなぁ。