メルセデスのルイス・ハミルトンは、劇的かつ物議を醸した状況でワールドチャンピオンを逃した2021年最終戦アブダビGPの出来事に対処するため、一歩引く必要があったと認めている。
ハミルトンはアブダビGPで首位を走行していたが、レース終盤にセーフティカーが導入されたため、ハミルトンとマックス・フェルスタッペン(レッドブル)のタイトル争いは最終周にもつれ込んだ。
しかしレースコントロールが規則とは異なる形でリスタート手順を決めたため、フェルスタッペンは大きなアドバンテージを手にし、レースに勝ってタイトルを獲得した。メルセデスは優勝とタイトルを逃したことを不服としてFIAに抗議したが、FIAはその訴えを棄却。その後この一件について詳細な調査を行うことを決めたため、メルセデスは上訴を行わないことを決定した。
メルセデスの2022年型マシン『W13』の発表会に出席したハミルトンは、「もちろん僕にとっては厳しい時期だった。一歩下がって、集中しなければならなかった」と語った。
「僕の周りには家族がいて、素晴らしい機会を作ってくれたよ」
最終戦の週末以降、ハミルトンがアブダビGPで起きたことについて公の場で話すのはこれが初めてのことだ。しかし後ろを向くのではなく、ハミルトンが前を見ていることは明らかだ。
「最終的には、トト(・ウォルフ/チーム代表)やジョージ(・ラッセル)と協力して、次のシーズンに向けてまたアタックしようと決めたんだ」
「ジョージが加入して、エネルギーをつぎ込んでいるのを見てワクワクしている。エキサイティングなシーズンになりそうだ」
「僕は自分のやっていることが大好きだ。この大きなグループの人たちと一緒に仕事ができるのは、とても光栄なことだ。家族の一員であり、チームの一員であり、共通の目標に向かって協力していると感じることほど素晴らしい感覚はない」
ハミルトンはF1の審判のあり方に幻滅し、2022年にF1には戻らないのではないかとのうわさもあった。だがハミルトンとウォルフは、たとえマイケル・マシがレースディレクターを続けていたとしても、F1を離れる可能性はなかったという。
「僕は一度もやめるなんて言っていない」とハミルトンは力強く主張した。
2月17日には、FIAのモハメド・ビン・スライエム会長がレースディレクションの体制を変更することを発表し、マシがレースディレクターを離れ、別のポジションに就くことが明らかになった。マシの後任はニールス・ヴィティヒとエドゥアルド・フレイタスで、かつてチャーリー・ホワイティングをサポートしていたハービー・ブラッシュがシニアアドバイザーとしてふたりをサポートすることになる。
ウォルフは、「行動が起こされたことは非常に心強い。よりいっそう強固な体制になり、レースディレクターをサポートする体制も整った」と述べた。
また新シーズンに向けたハミルトンの反応について、ウォルフは次のように話した。
「彼がこれほど覚悟を決めたところを見たことがない。ルイスは世界最高のドライバーだ」
「彼はこのスポーツを愛している。我々は勝利を手にするために戦う準備ができており、願わくばタイトルを獲得したい。彼は正しい考え方をしている」