トップへ

King & Princeメンバー分析 第5回:神宮寺勇太、グループ随一の人格者 ジャニーズJr.時代から一貫した懐の深さ

2022年02月18日 06:01  リアルサウンド

リアルサウンド

King & Prince

 4月13日に9thシングル『Lovin’ you / 踊るように人生を。』のリリースを控えるKing & Prince。グループ初となるドームツアーの開催も決定し、2022年も躍進を続ける彼らの魅力について、三者三様の個性をふまえつつまとめてみたい。第5回は、4月期ドラマ『受付のジョー』(日本テレビ系)にて単独初主演が決定した神宮寺勇太。


(関連:【写真あり】キンプリ神宮寺、インスタに平野が撮影した特別な1枚を投稿


 King & Princeのインタビューやバラエティを見ていると、メンバーから“ジン”こと神宮寺の名前がよく挙がる。一般視聴者からすると、グループ内における神宮寺の知名度はまだ高いとは言えないかもしれない。しかしKing & Princeがグループとして成り立つ上で、神宮寺は欠かせない人物であると思う。


 バランサー、潤滑油ーーそうした役割としての存在意義ではない。メンバーがみなそれぞれ、もはや無意識下で彼の存在を必要としているように思うのだ。神宮寺は、受け入れる優しさを持つ人である。だからこそメンバーは、神宮寺とともにいることで安らぎ、ありのままでいられるのではないだろうか。King & Princeがこれほどまでに猪突猛進できるのは、信頼できる後衛・神宮寺がいるから。とはいえ彼もまた、言うまでもなくフォワードだ。他の4人とは違う方向から、着実かつ堅実に歩みを進めている。


 グループでは、ライブ演出を担当している神宮寺。昨年の『第72回NHK紅白歌合戦』囲み取材でもそのことが話題にのぼった。平野紫耀によれば、神宮寺はスタッフのみで行う打ち合わせにも参加し、リハーサルでは客席から全体を見るのだという。神宮寺がそうしてくれることがありがたかったと、思いを明かしていた。神宮寺もまた、演出を通し何度もメンバーの姿を見るなかで「みんな(King & Princeメンバー)カッコよかった」と、ファンの気持ちが分かったという。ファンのこともグループのことも、たくさん考えた1年だったと振り返った神宮寺。持ち前の視野の広さと、対人における想像力。演出はまさに、彼の資質を活かす適任であるように思う。


 中・高生時代には、チャラチャラとしたキャラクターをセルフプロデュースしていた時期もあったが、真面目で漢気のある素顔は隠せない。ジャニーズJr.時代には、仲間をまとめるリーダー的な存在でもあった。たとえば、チームリーダーを務めた2014年の『ガムシャラSexy夏祭り‼︎』の練習風景。当時放送された『ガムシャラ!』(テレビ朝日系)では、体調不良のメンバーに「休むのが仕事」だと言葉をかけていた。また、ひとりで練習している仲間をいち早く見つけては、気を遣わせないよう冗談を言いながらともに練習するなど、細やかな気配りとおおらかな優しさを何度も見かけたものだ。誰かの嬉し涙や悔し涙にも、神宮寺は何も言わずに寄り添った。その優しさは温かく深いにも関わらず、彼の表現はとてもさっぱりとした気持ちの良いもの。当たり前のように人に優しくできるところも、「国民的彼氏」と呼ばれる理由のひとつだろう。


 多くの視聴者にとって、長らく「神宮寺勇太」が未知数であったように、起用する側にとっても未知数だったのではと推察する。神宮寺の魅力やキャラクターは、一見しただけでは伝わりづらい(だからこそ、目が離せなくなるファンが多いのかもしれない)。しかし神宮寺は、一つひとつの仕事において自分の力で「神宮寺勇太」を示し、信頼を得て、仕事を繋いできた。


 自身がMCを務める『名所から一番近い家』(テレビ朝日系)もそのひとつ。一見しっかりしているように見えて、彼もやはりKing & Princeメンバー。意外にも天然な一面が大いに発揮されている。とはいえ懸命に取り組む姿は、共演者や制作陣も応援したくなるのだろう。神宮寺を立てつつも、支えようとする温かな空気感が伝わる番組だ。2020年から不定期に放送されている本番組だが、5回目の放送からはゴールデンタイムに進出し、2022年1月17日の放送で6回目を迎えた。回を重ねるごとに成長が見えつつも、変わらずフレッシュな姿勢に好感を抱く視聴者も多いのではないだろうか。


 また、2021年には舞台「『葵上』『弱法師』-「近代能楽集」より-」にて単独初主演を果たした。中山美穂ら豪華共演陣のなか、初挑戦となったストレートプレイを座長として引っ張り、後半には5分間にわたるひとり語りも見せた。スラっとしたスタイルは、舞台上の所作もキマる。演出・宮田慶子氏の「掘れば掘るほどいろんなものが出てくる」という神宮寺評(※1)に深く頷けるのは、彼がこれまで見せてきた変化、その説得力ゆえだろう。


 2019年の舞台『DREAM BOYS』の頃からだろうか、舞台や歌唱における発声も変化し、またひとつレベルアップしたように思う。神宮寺は決して遅れてきたヒーローではないし、グループの最終兵器という捉え方もまた、違うような気もする。ただ、冒頭で示したように、メンバーからの信頼が厚い。非凡な集団・King & Princeの“芯”であるという意味では、周囲が神宮寺を「ラスボス」と呼称するのは、言い得て妙だと思う。


※1:https://enterstage.jp/news/2021/11/99017.html


(新 亜希子)