2022年02月16日 06:01 リアルサウンド
自身初となる4大ドームツアー『King & Prince First DOME TOUR 2022 ~Mr.~』の開催を発表したKing & Prince。2月10日に配信された平野紫耀、神宮寺勇太によるインスタライブでは、4月13日に9枚目となるシングル『Lovin’ you / 踊るように人生を。』をリリースすることが発表されるなど、ファンにとっては嬉しいお知らせが続いている。グループでの活動はもとより、ドラマ、映画、バラエティ出演などメンバー個々の活躍もめざましい5人。とは言え、彼らのパフォーマンスを存分に感じることができるのはやはりライブではないだろうか。本稿では、King & Princeのライブパフォーマンスの魅力に注目してみたい。
(関連:【動画あり】King & Prince、ライブパフォーマンスの魅力)
■ピースフルな幸福感のライブで次なるフェーズへ
「デビュー直後でなんというクオリティの高さ!」。2018年の1stコンサート『King & Prince First Concert Tour 2018』を見た筆者の率直な感想であった。メンバー全員がゴンドラで玉座に座って登場するライブ冒頭から、その存在感とオーラを放つ姿に圧倒されたことを今でもはっきりと記憶している。ジャニーズJr.時代から人気、実力ともに申し分ないメンバーによるハイクオリティなパフォーマンスは、次世代のジャニーズライブの幕開けを感じさせた。
前回の5都市21公演からさらに規模を広げ、7都市32公演で行われた『King & Prince CONCERT TOUR 2019』では、“王子様の二面性”と“花”をテーマに構成された。髙橋海人がメンバーの誕生花にちなんだツアーロゴを手がけるなど、メンバーの個性も反映したツアーとなった。また、ステージ機構を駆使したダイナミックな演出や、花がステージに降り注ぐ幻想的な演出など、新たなアプローチを多く取り入れていたのが印象的だった。さらに終盤の「King & Prince, Queen & Princess」では会場のファンが当時休養中であった岩橋玄樹のメンバーカラーであるピンクのペンライトを灯し、ソロパートをファンが担当するというメンバーとティアラ(ファン)の絆の強さを感じる場面は大きな話題となった。
コロナ禍で全5回のオンライン公演となった『King & Prince CONCERT TOUR 2020 ~L&~』は、2ndアルバム『L&』の世界観そのままの壮大な城のセットが配されたステージで、アルバム曲やこれまでのシングル曲を披露。メンバーがプロデュースした楽曲も取り入れ、よりKing & Princeの個性に特化したステージとなった。演出を担当する神宮寺の“無観客だからこそ可能なアプローチ”も見事であった。
そして満を持して約2年ぶりに有観客で開催された『King & Prince CONCERT TOUR 2021 ~Re:Sense~』ツアー。国民的アイドルとしてトップを走り続けている彼らの誇り、自信がみなぎった堂々たる姿から、5人が新たなフェーズに踏み出したことを感じるライブでもあった。久々に見る会場を埋め尽くしたファンを愛おしそうに見つめ、5人がパワーを爆発させる魂のパフォーマンスが心に響く。髙橋が振り付けを担当した「Body Paint」は、床の水を跳ね上げるなど難易度の高いダンスであるが、ハイレベルなダンステクニックを誇る平野、髙橋を中心にメンバー全員の持つポテンシャルの高さあってこその1曲に仕上がっている。ジャニーズのライブの非日常感について、テーマパークに例えられることが多いが、King & Princeのライブがもたらすピースフルな幸福感は、5人がファンを思う気持ちの強さから生まれているように思う。
■ジャニーズイズムの継承から世界を目指すKing & Prince
ライブのセットリストから構成している神宮寺は細部に至るまでこだわり、代案も含めてメンバーに提案するという。アルバム収録曲だからといって安易にセットリストに入れることなく、ライブ全体の世界観を大切にしている。また、感染防止のために使用できないスタンドトロッコの代わりにメカアームという最新鋭の機構を採用し、できる限りファンの近くに行きたいというメンバーの希望を叶えるなど、今後他のアーティストのライブでも登場するであろう演出も取り入れている。ジャニーズの演出家と言えば松本潤が知られているが、リハーサルの際に厳しい表情でステージを見つめる神宮寺の横顔からは、どこか松本を彷彿とさせるストイックさを感じる。
ライブのMCの中心を担う永瀬廉は、毎回ファンに喜ばれるテーマをピックアップするセンスが絶妙である。バランス良くメンバーのトークを引き出していくテクニックは、常に冷静な部分を持っている永瀬ならでは。さらに会場を巡りながら、客席のうちわに応えていく細やかなサービス精神は、関西ジャニーズJr.時代に培った、ファンとの絆を大事にするスタンスであるように思う。
トークではいじられキャラになることが多い岸優太であるが、定評のある流麗な歌声と細部にまで神経を行き届かせた繊細なダンスで、ライブ全体のクオリティを高めている。誠実な人柄が滲み出た佇まいからは、カッコイイだけではなく親しみやすさを感じさせ、グループのイメージに欠かすことができない唯一無二の存在だ。
テクニックはもちろん振り付けの才能も開花させている髙橋。メンバーの個性を知り尽くしているからこそ、5人が最も映えるダンスに仕上げることができるのだろう。すでにTravis Japanの振り付けも担当しているが、King & Prince以外のグループでも、その才能を活かして今後ますます活躍のフィールドを広げていくことだろう。
そして、完璧なルックスとダンス、独特のハスキーボイスでグループを牽引する平野。トップアイドルの中のトップアイドルのオーラを滲ませながら、昨今風格すら感じる輝きを放っている。完璧なまでの資質から繰り出される独自のボキャブラリーセンスが生むギャップも平野の持ち味だ。
メンバーのソロ活動も増えたことから、それぞれが仕事を通じて得た経験をグループにフィードバックしていくことで、大きな成長に繋がっているように思う。ジャニー喜多川から受け継いだジャニーズイズムを継承し昇華させるだけでなく、King & Princeの目指す“世界”に向け着実に歩を進めていることを実感する。グループの目標の一つとして掲げていた初のドームツアーも決定し、次はどのような景色を見せてくれるのか。5人の届ける世界を楽しみに待ちたい。(北村由起)