先日、「あのお菓子」の名前が「33種類もあるの?」と書いた(関連記事参照)……ばかりなのだが、なんとその争いに、あのバンダイが「まんまる焼き」という新名称を引っさげて参戦したことがわかった。かねてより対立の続く「アレの名前問題」は、さらに混迷を深めている。時はまさに乱世……。(文:昼間たかし)
ついに名称が最終決着か
バンダイは2月15日から、ファミリーマートで『ウマ娘 プリティーダービー』のコラボ商品を出すと発表した。
そこに含まれていたのが、この「ウマ娘 プリティーダービー まんまる焼き」(=写真)である。キャラの焼印が入っているが、それ以外は、どこからどう見ても「アレ」。
ただ、これは、新たな名乗りというよりは無用な争いを起こさないためのネーミングとみてよいだろう。かりに「ウマ娘 プリティーダービー 今川焼き」「ウマ娘 プリティーダービー 二重焼き」なんて名称にしたら、地域によっては本気でイラつかれそうだ。
正直、筆者自身、この食べ物をなんと紹介するかいつも迷う。「丸い中にあんこの入っているアレ」ではよくわからない。報道でよく用いられているのは「今川焼き・回転焼きなどと呼ばれる……」というものだが、これも地域によってはピンとこなそうだ。
そう考えるとバンダイの生み出した形状をそのまま説明しただけの「まんまる焼き」は、これまでになかった、誰もが受け入れやすい名称といえるだろう。同社は1月に人気キャラクター「ちいかわ」の「まんまる焼き」も出していたが、もしかして今は「アレをなんて呼ぶか争い」に、新たな有力派閥が生まれた瞬間なのかもしれない。
そんな名称しらんわ
ところで、その後の調べで、前回記事でも紹介しきれなかった名称が複数見つかった。その一つが「ふーまん」だ。
これは、岡山弁協会会長の青山融さんが「まいどなニュース」に語ったところによると、NHKの連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の舞台となった岡山で用いられている名称だという。
ただ、これは岡山市内出身の筆者も知らなかった名前。周囲に聞くと、倉敷市の「夫婦饅頭」に由来する名前なのではという話もあった。このように同じ市内でも複数の名前がひしめき合っているところはある。たとえば愛媛県の松山市周辺では「太鼓まん」「大判焼き」「日切焼」という名称が拮抗しているという。
他にも、鹿児島では地域のデパート・山形屋の「金生饅頭」がメジャーだそう。自動化された機械による実演販売を行っているのが特徴だ。
この機械は、福岡県古賀市にあった城野鉄工所(廃業)で製造されていたもので、最盛期には島根と徳島を除く45都道府県で稼働し、台湾など海外にも渡った(『西日本新聞』2019年8月27日朝刊)とされている。
この製造機、あちこちで製造される饅頭に別の名称がつけられ「都まんじゅう」「ロンドン焼」など様々な名称で呼ばれたようだ。熊本市のデパート・鶴屋の「鶴屋饅頭」もそうだという。ちなみに熊本市の鶴屋百貨店本店ではどうみても「アレ」な「鶴屋饅頭」と「蜂楽饅頭(水俣市発祥)」が隣り合って出店している。
さらに付け加えると、岡山県倉敷市には「えびす饅頭」があり、青森県青森市には「浅草焼」というのもあるらしい。先日の記事の時点でも「もう覚えきれない」と書いたが、この調子だと、いったい本当はいくつあるのか、予想もできなくなってきたぞ……。