2022年02月11日 06:01 リアルサウンド
冠番組『King & Princeる。』(日本テレビ系)のレギュラー放送がスタートし、2022年も早々に勢いに乗るKing & Prince。彼らの魅力について、三者三様の個性をふまえつつまとめてみたい。第4回は、リーダー・岸優太。
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ある占い師によれば、2023年、“岸の時代”が来るらしい(※1)。占いは信じない主義だったのだがーー価値観を覆すほどの波が、もうそこまで来ているのを感じる。
ダンス、歌、芝居……バラエティ力やビジュアル、愛嬌を加えてもいい。そうした、アイドルとしての必須項目を数値で可視化することができたら、岸の場合、大きくきれいで、極めて円に近いレーダーチャートを描くだろう。アイドルとして、表現者として、高い平均値と安定感を誇るのが岸優太だ。最年長だからというだけではなく、「安定して高い技術を提供できる」という意味でも、リーダーに相応しい人物ではないだろうか。そしてリーダーが愛され、故にいじられ、根底でリスペクトされるグループは往々にして強い。
天賦のスター性を持つ者、前へ前へとアグレッシブに出る者……そうした人材がひしめき合い、選ばれし者が中央でスポットライトを浴びる。それがジャニーズJr.の世界だ。もちろん岸も、当時から人気メンバーのひとり。ドラマ『お兄ちゃん、ガチャ』(日本テレビ系)主演(鈴木梨央とのW主演)、堂本光一主演舞台『Endless SHOCK』キャストへの抜擢など、人気と実力を見込まれての活躍も見せている。しかし、どちらかといえばステージのサイドをがっちりと固める“縁の下の力持ち”タイプ。本当の意味で岸が花開いたのは、デビュー以降であるといえよう。無垢なキャラクターに注目が集まり、まず愛され、瞬く間に活動の幅が広がった。その高いスキルが認められ、求められ始めたのは、ここ最近のことだ。
2年連続、帝国劇場にて舞台『DREAM BOYS』の主演を果たし、ドラマ『ナイト・ドクター』(フジテレビ系)での好演は、第1話放送後すぐに話題に。2020年の『24時間テレビ』(日本テレビ系)にて市川海老蔵に弟子入りした際には、集中力の高さやカンの良さ、芸事に向き合う心といった表現者としての顔が、世間に知られる機会にもなった。何事にも全力で取り組む岸の姿勢に、好感を抱く声も多い。
そしていよいよ、2022年秋に初主演映画『Gメン』の公開が決定した。お茶の間よりも少しだけ早く、あるいは深く岸を知っている者から見れば、「いつか来るだろう」と予想し、遅かったくらいの岸の時代。「いつか来る日のために」準備を怠らず、日々研鑽を積んできた岸。その成果は年々、大きな実となり花となっている。
お茶の間はもちろん、バラエティ番組のホストや共演者、ジャニーズの先輩までもが彼を「岸くん」と呼ぶ。“くん付け”文化を持つジャニーズにおいても、先輩が後輩に、というのは珍しい形だ。いつの間にか「岸くん」は、彼の愛称になった。
バラエティでは周知の通り、毎回爪痕を残しており、彼はもはや「岸優太」というポジションを確立した。よくある質問やトークテーマも、岸が話せば途端にオリジナル。どこに転がるか、飛んでいくかは分からないが、まず妥当な展開にはならない。そうした“岸くん力”を信頼し、ボールを投げてヒットを託す演者も少なくないように思う。
とはいえ岸は、責任感の強い男。自らの打率の高さから「必ずホームランを打たなければ」と、プレッシャーを感じていないだろうかとも思うのだが、今のところ心配はなさそうだ。最近では「意外に短気」だという素顔も隠さず、発言として飛び出す。
しかし不思議と誰も不快にさせないのが、岸の岸たる所以。「純度が高い」ーー例えば海老蔵が岸をそう評したように、彼の言動には嘘や濁りがない。こうも素直に生き、喜怒哀楽をさらけ出しながらもなお「純度」を感じられる人とは、そうそう出会えるものではない。
近しい先輩である菊池風磨(Sexy Zone)が「アイツ(岸)嫌いっていう人、見たことない」と発言していたが(※2)、その言葉が視聴者にとっても想像に難くないのは、裏表のない岸の、ナチュラルなふるまい故だろう。
指先や爪先にも神経が行き届いたしなやかなダンス、一転してアッパーチューンで見せる挑発的な大人の表情、一音一音を丁寧にすくい上げ、“言葉”として届ける歌声、光も影も宿す、まっすぐで曇りのない瞳。ポテンシャルの上に重ねてきた努力が、果たして2023年にどう爆発するのだろうか。岸のことだから、占いさえも予想外の方向に裏切り、間もなく起爆するような気がしないでもないが。
※1:2021年5月19日放送『突然ですが占ってもいいですか?』(フジテレビ系)
※2:https://youtu.be/IhyEe4DSPhE
(新 亜希子)