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キャンピングカーで唯一無二の選択肢? フィアット「デュカト」が日本上陸

2022年02月10日 17:51  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
FCAジャパンはフィアット プロフェッショナル「デュカト」(DUCATO)の日本導入を決定した。欧州ではシェアNo.1の商用車だが、日本で狙うのは過熱するキャンピングカー市場。車内でゆったりくつろげる広い室内空間を武器に、キャンプブームの日本でオンリーワンの選択肢を目指す。


○大型バンの決定版!



デュカトは2020年に誕生から40周年を迎えた大型バン。欧州の商用車市場で7割のシェアを持つクルマで、RVのベース車両としても地位を確立している。



FCAジャパンはキャンピングカーのベース車両を主な用途と想定してデュカトを日本に導入する。ボディサイズは3種類で、最も小さい「L2H2」は全長5,413mm、全幅2,050mm、全高2,524mm。基本的には事業者向けに販売(BtoB)する方針で、今後はデュカト専門の販売ネットワークを構築する予定。候補は車両架装を専門とする法人(キャンピングカービルダーなど)や既存のディーラー(FCAジャパンとグループPSAジャパン)などから幅広く募集する。価格は未架装の状態で469万円からだ。


デュカトをベース車両に使ったキャンピングカーは、今も日本で売っている。そうしたクルマの多くは、欧州などのキャンピングカービルダーが作った完成車両を並行輸入したもの。スペースが広くて快適なのは間違いないのだが、例えば椅子が欧米の顧客の体格に合わせた高さになっていたり、シャワーが付いていたりして、日本のキャンピングカーユーザーのニーズにガッチリとはまっていたかといえば、そうではない部分もあったそうだ。「シャワーは付いていた方が便利なのでは?」と思ったのだが、日本のユーザーは出かけた先で温泉に入ったりするので、必ずしもマストの設備ではないのだという。



FCAジャパンが素の状態のデュカトを売るようになれば、日本のキャンピングカービルダーがそれを購入して、日本のユーザーに合わせたキャンピングカーに仕立てて売ることが容易になる。全国的なディーラー網ができればサービスも受けやすくなるし、交換したいパーツも手に入りやすくなるはずだ。



ただ、デュカトは実物を見るとかなり大きい。日本では規格外といった感じもするが、「逆に、そこを狙っていきたい」というのがFCAジャパン担当者の考えだ。国産の商用車やミニバン、あるいはバンタイプの軽自動車などでキャンピングカーライフを楽しんでいる人が、「もう少し広い室内空間が欲しい」と思ったときの選択肢として、デュカトに商機がある。昨今のキャンプブームで手軽なキャンピングカーを購入した人も多そうだから、そうしたユーザーの乗り換え需要は今後、ますます増えていきそうだ。



こうした大型バンはメルセデス・ベンツやフォード、フォルクスワーゲンなど多くのメーカーが製造しているそうで、豪州などではデュカトも含め競合が激しいそうだが、日本の道路環境には大きすぎるため、日本市場は「誰も見ていなかった」(FCAジャパン担当者)とのこと。デュカトはライバル不在の日本市場に参入し、キャンプブームを追い風に大型バン需要の取り込みを図る。



日本向けデュカトの生産開始は2022年第2四半期の予定。納車開始は同第3四半期を見込む。(藤田真吾)