ヒュンダイ・モータースポーツのカスタマーレーシング部門は、2022年のWTCR世界ツーリングカー・カップに向け、BRCモータースポーツのドライバーラインアップを発表。2021年限りでの引退を決めたガブリエル・タルキーニに代わり、スペイン出身のミケル・アズコナがクプラ陣営から移籍し、2019年王者ノルベルト・ミケリスのチームメイトとしてヒュンダイ・エラントラN TCRのステアリングを握ることが決まった。
国際ツーリングカー・シーンにデビューして以来、アズコナは一貫して地元マニュファクチャラーのドライバーとして戦い、2018年と2021年にはTCRヨーロッパのシリーズチャンピオンを獲得。WTCRでも3年間で通算3勝を記録してきた。
また、昨季に初年度が開催されたTCR規定ベースの電動ツーリングカー選手権『ピュアETCR』でもクプラ陣営から参戦し、僚友マティアス・エクストロームらとタイトル争いを繰り広げ、ランキング3位に入っている。
そのアズコナは「レーシングキャリアのこの変化にとても満足している。それは前向きな変化であり、僕をドライバーとして成長させるはずだ」と語り、ヒュンダイ移籍という大きな決断を下すこととなった。
「ヒュンダイ・モータースポーツからのこの新しい機会にワクワクしているし、シーズン前のテストを開始し、BRCやヒュンダイのメンバーと協力することを楽しみにしているんだ」と意欲を語ったアズコナ。
「やる気に満ち溢れていて、良い結果を得るために戦えるよう、シーズン前に多くのトレーニングを積んできた。彼らとは共通の目標を持っていると確信しているし、それこそ僕がこの変更を決断した理由なんだ」
「ヒュンダイはこの業界でリファレンス(基準)となるメーカーであり、近年は世界タイトルを目指して戦ってきた。僕はドライバーとして、モチベーションと目標を持って、良い結果と勝利を達成できると信じている」
そのミケリス起用を決めたヒュンダイ・モータースポーツの副チームディレクター、ジュリアン・モンセットは「ガブリエル・タルキーニと彼の豊富な経験を代替することは、非常に困難な作業だった」と明かした。
■「新パートナーによってチームの戦績も後押しされる」とミケリス
「だがミケル・アズコナこそ、それが実現できる数少ない適切なドライバーだと感じている。彼はTCRレース界のスターのひとりになり、ヒュンダイ・モータースポーツのカスタマーレーシング・ドライバーとして、彼のキャリアの次のステップに進むことになる」と続けたモンセット。
「チームの強さやノルベルト・ミケリスの能力、そしてクルマのパフォーマンスを知っているが、我々は皆、過去4年間を通じてWTCRの競技レベルの高さを身を持って感じてきた。だから勝利を挙げるのが当然のこととは考えていない。そのため、開幕前に両ドライバーにはあらゆる機会を活用してもらうべく、広域なテストプログラムを計画しているよ」
その重要なテストを「数週間以内に」開始する予定のアズコナは、新チームメイトのミケリスと一緒に仕事をすることも「楽しみにしている」と語った。
「BRCでノルベルト・ミケリスとパートナーを組むことも非常にうれしい。彼は僕にとって目標になるドライバーであり、ヒーローのひとりでもあるんだ。僕自身レースのキャリアを通じて彼をフォローしてきているし、個人的にも彼のパーソナリティがとても好きなんだ」
その言葉を受け、BRC在籍5年目を迎えるミケリスも「新しいパートナーによって、チームの戦績も後押しされるだろうね」と期待を込めた。
「僕としても、2022年のWTCR世界ツーリングカー・カップで引き続きBRCモータースポーツに在籍し、エラントラN TCRがドライブできることを光栄に思う」と続けたミケリス。
「いつだってオフシーズンの準備とスタートを前にした時間はエキサイティングだけど、今年はチームメイトとしてミケルを迎えることができた。おそらく彼は最高のTCRドライバーのひとりであり、WTCRに参戦して以来、トラック上でのあらゆる戦いを楽しんできたんだ。彼と一緒に仕事ができることを本当に楽しみにしているよ」
すでに2022年のWTCRに向けエングストラー・モータースポーツが陣営を離脱し、ホンダへのスイッチを表明しているが、ヒュンダイ・モータースポーツ・カスタマーレーシング部門としてそのほかのWTCRフルシーズンエントリーがあるかどうかは、まだ明らかにしていない。