「マンガを生み出す現場の人間が、一番面白いマンガを知っている」というコンセプトのもと、各マンガ誌編集長に2021年のイチオシマンガを紹介してもらうこの企画。最終回となる第3回も、「これはレアだ!!」「ヤバいから…」「めっちゃ共感します」「一度読んだら中毒必至!」など、目利きのプロたちが太鼓判を押す作品ばかり。
第1回、
第2回も要チェックだ。
【大きな画像をもっと見る】■ 牧野眞介(プリンセス編集長)の2021年イチオシマンガ
□ 「薔薇王の葬列」菅野文
牧野氏コメント:TVアニメ化されたことでも分かる、多くの方から熱烈な支持を受ける作品、それが「薔薇王の葬列」です。ついにクライマックスを迎え、盛り上がりも今まさに最高潮の本作は、菅野文先生の魔法の手によって、それぞれが唯一無二の輝きを放つ魅惑的なキャラクターたちを美しく耽美で、かつ、迫力のある圧倒的な画力と独創的な解釈で大胆に表現された話題の作品です。毎号、編集部内でも校了中であるにもかかわらず、仕事を忘れ「早く自分にも読ませて!」と部員たちが責了紙を回し読みする!そんな本作を皆様にもぜひ、お薦めいたします!
■ 待井寿美子(君恋編集長)の2021年イチオシマンガ
□ 「ハレルヤベイビー」仔縞楽々
待井氏コメント:「両想いって高カロリーだよな」。漫画の中で出てくる言葉通り、激甘でかわいい高校生カップルの2人を描くボーイズラブ作品です。ただし、このお話、ただただ甘いだけではないのです! 主人公は極道一家の跡取り息子・冬夏と、その幼なじみの用心棒・都。暴力反対派の冬夏に対して、冬夏を溺愛し、彼を守るためなら自分を犠牲にしてまで、何でもしてしまう都。極道の世界で起きるハードで不穏な一面も描きます。恋愛の甘々な部分と、強いけれど脆くて危うい極道としての部分、そのギャップも楽しんでもらいたいヒューマン・ラブです!
■ 松井健太(アライブ編集長)の2021年イチオシマンガ
□ 「乙女怪獣キャラメリゼ」蒼木スピカ
松井氏コメント:少女マンガの皮を被った、今もっともアライブという雑誌で熱い作品です。心がときめくと身体の一部、時には全身が怪獣になってしまう女子高生・黒絵。人を避けてきた彼女が新汰という少年と出会い、心を開き、恋を知っていく王道少女マンガ×怪獣ストーリー。なのですが、最新巻ではなんと空を飛び海を渡る怪獣との対峙へ話が進んでいきます。すれ違う恋に、男子の夢を載せた怪獣バトルの予感に、気づけば心拍数は爆上げ。ドキドキを味わいたい方は是非ご一読を!
■ 松田充生(クッキー編集長)の2021年イチオシマンガ
□ 「ローズ ローズィ ローズフル バッド」いくえみ綾
松田氏コメント:40歳、ギャグ系キャラ漫画を長く連載している神原正子さんがこの作品の主人公。でも彼女が本当に描きたいのはキラキラの少女漫画で…。なかば諦めていた正子さんの思いが、ある親子との出会いで動き始めます。胸キュンの漫画を描くために、自分の日常にはキラキラが足りない。そうだ、もう一度(大人の)恋に挑戦しよう!という物語です。発売中の1巻は(今のところ)波乱万丈ではありませんが、恋愛濃度は高めです。正子さんの踏み出した恋の一歩、そのぎこちなさが見所です。この不器用な恋の行方に共感するのか、クスリと笑うのか、あなたはどっち?
■ 末永雅弘(まんがタイムきららデスク)の2021年イチオシマンガ
□ 「しあわせ鳥見んぐ」わらびもちきなこ
末永氏コメント:本作を書店で見かけたら、まず裏返してみてください。裏表紙に描かれた鳥は本格絵画のようで、その精緻さに圧倒されるでしょう。一方で「きらら」らしく女の子達もめちゃくちゃ可愛いんです!また、バードウォッチングを通じた“鳥”と“人”の交流だけでなく、“人”と“人”の交流やキャラクター達の成長もあたたかく描かれ、読めば”しあわせ”になること間違いなし! 随所に挟み込まれる珠玉の「鳥ダジャレ」も必見!身近な世界から一歩踏み出すと、知らないだけで魅力に溢れた世界がある、そんなことに気づかせてくれる作品です。
■ 松村徳行(Nemuki+編集長)の2021年イチオシマンガ
□ 「鵼の絵師」猪川朱美
松村氏コメント:時は昭和初期。肖像画家をなりわいとする菅沼英二郎は人々から“鵼の絵師”とあだ名され、うとんじられていた。それは、彼の絵のモデルとなった者は魂を奪われ、死者を描けば甦ると噂されているからなのだが……。著者の高い画力と緻密な人物描写、市井の人々の暮らしのなかの喜びや悲しみ、希望や勇気を描いた感動のヒューマンドラマは抜群の読み応え。一話読み切り形式で連載11年を超えた本作も、ついに時代は太平洋戦争への道へと突き進んでいく……。
■ 三田村優(漫画アクション編集部編集長)の2021年イチオシマンガ
□ 「島さん」川野ようぶんどう
三田村氏コメント:著者の川野ようぶんどう先生はコンビニの深夜バイト歴24年(現役)、その経験がふんだんに盛り込まれた弊誌新人賞「カミカゼ賞」への投稿作品がSNSでバズり、連載スタートとなりました。主人公の島さんはベテランのコンビニ深夜アルバイト。ちょっと頼りないけどちょっと頼りになる、ちょっとわけありのおじいさん。そんな島さんと、いろんな人たちとのふれあいを描く、読むと元気になる読切型のコンビニヒューマンドラマです。4月には最新3巻も発売予定。道を踏み外して転んでも、何度だって立ち上がれる──そういう世界でありますように。
■ 峯健司(電撃大王編集長)の2021年イチオシマンガ
□ 「真の実力はギリギリまで隠していようと思う」猫夜叉(原作)、亀小屋サト(作画)、鍋島テツヒロ(キャラクターデザイン)
峯氏コメント:タイトルがすべてを語っています。真の実力はギリギリまで隠しておくのがカッコイイのです。というわけで、見つかればビックリされること間違いない実力を持った主人公が、実力を隠しているつもりになりながらも、ちょいちょい実力を小出しにしていく爽快ファンタジーです。さらに周囲の美少女はけっこうな確率で主人公の実力を見抜いています。つまり全然隠せていません。でもそこがいいんです!さらに敵も主人公に興味津々だったり、世界にも謎がありそうで、ぐいぐい引き込まれていく感じは必読ものです!
■ 三村泰之(月刊少年マガジン編集長)の2021年イチオシマンガ
□ 「め組の大吾 救国のオレンジ」曽田正人
三村氏コメント:できれば出会いたくない災害。その現場に自ら乗り込む人たちがいる。特別救助隊──。「め組の大吾 救国のオレンジ」は、リアルな災害現場と、それに立ち向かい命を懸ける新人特別救助隊員たちの青春の物語です。主役は3人の若者たち。ページをめくるたびに、彼らの発想力行動力に驚き、思いの深さに涙がこみあげてくる。ここまで熱く切ない人間ドラマは今、他にないんじゃないかと思います。百聞は一見に如かず。前作を知ってる人も知らない人も、とにかく一度読んでみてください。ヤバいから…。
■ 宮﨑紀貴(マーガレット編集長)の2021年イチオシマンガ
□ 「はやくしたいふたり」日下あき
宮﨑氏コメント:偏差値低めの女子高に通う、見た目も言動もギャルだけどハートはピュアな女の子が、祖父も父も元首相という一族に生まれた超エリートで超堅物の男の子と付き合ったら…という、読めばいっぱい笑ってキュンとしてしまうラブコメディです。主役の二人以外の登場人物たちも、かなりブッ飛んでる人たちばかりで、実は主人公の“エアビッチ”ユーリが一番まともなんじゃないかと思えてきます。また、壮大なドタバタを細部まで描きこまれた綺麗な絵柄で表現しているのも面白さをマシマシにしている理由かも。絶対楽しめる100%ポジティブな作品です。
■ 村松(まんがホームデスク)の2021年イチオシマンガ
□ 「恋愛ラボ電子特装版」宮原るり
村松氏コメント:電子限定で配信されている超豪華特典が目白押しの特装版第1巻。単行本1~3巻までの内容を掲載するボリュームだけでも満足感はあるが、カラー原稿が大変美しい作家のカラー原稿とイラストが盛りだくさんなのはこの上ないご褒美! なにより、過去に雑誌まんがホームの目次で毎月1本連載をしていた「おはなしあやちゃん」総集編が読めるのここだけだろう。これはレアだ!! ファン垂涎の一冊、そしてファン以外の方もこれを読めばきっと宮原るり作品に目覚めること間違いなし!
■ 望月(月刊Gファンタジー編集長)の2021年イチオシマンガ
□ 「東京エイリアンズ」NAOE
望月氏コメント:「青春×機関銃」のNAOE先生が放つ最新作。数百年前から地球に来訪している宇宙人達。彼らの行動を管轄し、時には捕縛、強制送還も行う秘匿組織・AMO。9年前、凶暴な宇宙人・ハクギンに父を殺された主人公・郡司晃。彼と同じ高校一年生で、AMOに所属する天空橋翔。晃の父親を知る、AMO関東支局特別機動隊責任者・雨宮零士…。魅力的なキャラクターと設定、前作からさらに進化したアクション描写と画面の密度が素晴らしく、未読の方に、ぜひ読んでいただきたい作品です。自分はAMO・雨宮の圧倒的な強さと妖しさに魅了されまくっております。
■ 森田眞(デザート編集長)の2021年イチオシマンガ
□ 「ひかえめに言っても、これは愛」藤もも
森田氏コメント:「恋わずらいのエリー」がスマッシュヒットした藤ももさんの最新作です!「人生は自力」がモットーで人に頼ることができずたくさんの荷物を持ち歩く主人公の理沙。傷だらけのヤンキー男子を助けたことで超なつかれちゃって…!というお話です。僕も人に借りを作るのが苦手で、ひとりぼっちなんで理沙にめっちゃ共感します。本当は禅みたいな最強ヤンキーが”絶対の味方”になってほしい!本年度「デザート」大プッシュタイトルです!
■ 森田眞(別冊フレンド編集長)の2021年イチオシマンガ
□ 「夏秋くんは今日も告白したい」さとる
森田氏コメント:“クールな美少年”と女子から注目を集める夏秋くん。顔に出ないから分かりづらいけど、実はクラスメイトの梨子田さんに片思い中で──!恋に全力な男の子がとにかく愛おしい☆「別冊フレンド」のショートストーリー連載作です。基本的にコメディなのですが、なぜか校了のたびに泣いちゃいます。だって夏秋くん、ホントに恋に一生懸命なんですもん。嫌なことがあって心が真っ黒になっちゃったときでもキレイな心が取り戻せますよ!
■ 矢野雄一郎(ヤンマガWeb編集チーフ)の2021年イチオシマンガ
□ 「股間無双~嫌われ勇者は魔族に愛される~」ジブロー(原作)、脇道それる(漫画)
矢野氏コメント:ヤンマガWeb連載中の「股間無双」をオススメします。なんてふざけたタイトルだ!と思われた皆さまご安心ください!内容はタイトル以上にふざけています‼ あらすじをご説明すると「ヌキすぎて昇天した主人公・汗太郎は異世界に勇者として転生する。1日の平均オナニー回数が死亡時点で世界1位だった汗太郎は“精液をポーションにする”スキルを与えられる」です!冒頭からフルスロットルでおバカなのですが、汗太郎を応援したい気持ちとエッチな絵を見たい気持ちでイッキ読み間違いなしです。異世界マンガ史上最下品の作品、オススメです!
■ 山上慶直(まんがライフ編集長)の2021年イチオシマンガ
□ 「め組の大吾 救国のオレンジ」曽田正人
山上氏コメント:20年越しの続編に大感激。前作以上に息を飲むシーンとパワーワードの連続で、今いちばん続きを楽しみにしている作品です。
■ 山口崇(シリウス編集長)の2021年イチオシマンガ
□ 「戦車椅子‐TANK CHAIR-」やしろ学
山口氏コメント:すごい画力すごい設定すごい表現!"暗殺者"対"暗殺者"の常軌を逸した戦闘と、主人公兄妹の常軌を逸した愛情!このとんでもなさっぷりは私の語彙なんかは言い表せられねえんで、あとは皆さんにお任せします!完全新作マンガを限定先行配信!でおなじみの「Apple Books」で連載中&合冊版1巻発売中!とにかくヤバいから見て!濃密!
やしろ学「戦車椅子‐TANK CHAIR-」 | Apple Books■ 吉田円(週刊漫画TIMES編集長)の2021年イチオシマンガ
□ 「ぼっちの僕に強制彼女がやってきた」栗ののか
吉田氏コメント:マンガサイト「コミック トレイル」で昨年の新人賞(ハリ丸賞)を受賞した作家さんのデビュー作です。中学時代から“ぼっち”な主人公の24歳の誕生日に、自宅に見知らぬ女性が現れて交際を迫られるというラブコメ展開ですが、その理由にも主人公の家庭環境が反映されていたりと、読み進めるうちにテーマが見えてくる作品になっています。また、ぼっちな主人公の心情に共感を抱いて頂く読者様も多くいらっしゃり、展開的には漫画的ながらも、どこか親近感を持って読んで頂ける作品でもあります。
■ 吉田守芳(少年マガジンエッジ編集長)の2021年イチオシマンガ
□ 「ケイ×ヤク -あぶない相棒-」薫原好江
吉田氏コメント:堅物で融通の利かない公安捜査官と男娼のヤクザがバディを組んで事件を追う──。謎解きのサスペンスを軸に、アクションや心理戦など様々な要素が盛りだくさん。また、好みも性格も真逆な2人が同じ屋根の下で過ごし、徐々に仲を深めていくブロマンス的な要素が絡んでくるのも見所です。2022年1月からドラマ化もされ、ますます目が離せない作品です。
■ 吉本美雅子(COMICメテオ・ポラリス編集長)の2021年イチオシマンガ
□ 「『きみを愛する気はない』と言った次期公爵様がなぜか溺愛してきます」三沢ケイ(原作)、水埜なつ(漫画)
吉本氏コメント:超エリート貴族・ユリウスから突然、求婚された没落貴族の令嬢・エルサ。不思議に思いつつも結婚を決めたエルサだが、挙式後、優しく穏やかだったユリウスが豹変!「今後、きみを愛するつもりは一切ない」と冷たい声で告げてきて!? という冒頭から始まる契約結婚×溺愛ラブストーリー。クールなユリウスが初恋に戸惑う姿、そしてエルサの純真さに、癒やされる、キュンキュンすると夢中になる読者が続出。先行配信の電子書籍ストア「ブックライブ」で、2021年間ランキング「少女マンガ・女性マンガ 第1位」を受賞した大人気作品です。
■ 米村昌幸(BE LOVE編集長)の2021年イチオシマンガ
□ 「星降る王国のニナ」リカチ
米村氏コメント:なんといっても主人公のニナが魅力的☆ どんなに大変なことが起きても明るくまっすぐにグイグイ向かっていくニナには、周りのだれもが虜になってしまいます。特に見てもらいたいのはニナの表情!喜んだり怒ったり笑ったり…とにかく1話のなかで同じ表情はないというくらいコロコロと変わっていくニナの表情を見ているだけで、どんどん物語の中に惹き込まれます。またリカチさんが描く2人のイケメン、アズールとセトも必見!戦いあり、恋あり、王道ファンタジーの楽しさが詰まった一作です。
■ 若林天馬(ASUKA編集長)の2021年イチオシマンガ
□ 「月華国奇医伝」ひむか透留
若林氏コメント:中華系ファンタジーという様式は、女性漫画界では普遍的な主題として人気を得てきました。ですが、本作はその様式には付き物である煌びやかな恋愛要素と宮廷描写というものは、まだ殆ど描かれていません。今のところ、主人公の少女が医術の探求と筋肉春宮画の収集に忙しい身ですので。まだ注射針の無い世界で試行錯誤しながら注射針を作ったり、人間の体を切るなど言語道断の世界で、あの手この手を使って開腹手術を断行したりと、私達が生きるこの世界の医術と物作りも歩んだであろう道をオマージュしていく、そんな物語とも言えます。
■ 和田恵理子(まんがライフオリジナル編集長)の2021年イチオシマンガ
□ 「しょうもないのうりょく」高野雀
和田氏コメント:ウソの割合がわかる、目当てのカードがすぐ出せる、猫に好かれる…一見普通に見えるこの世界では誰もがちょっと特別な才能”異能”を持っていた!という一風変わったオフィスコメディです。主人公星野は書類を崩さず積める異能と、もう一つ、人には言えない異能を持っています。それは他人の異能が分かる異能。そしてしょっちゅう風邪を引いている同僚の藤原に、超レアな不老不死の異能があると分かり…。思わず「あったらいいな」とか「わたしにもこんな異能があるかも?」と想像してしまうことうけあい。あなたの超しょうもない能力は?
■ 渡邊慎之介(ゼノン統括編集長)の2021年イチオシマンガ
□ 「マザーパラサイト」佐藤洋寿
渡邊氏コメント:一見優等生な少年が、“完璧な母親”を求めて取っ替え引っ替え母親に寄生していく──。というショッキングな内容で電子コミックを中心に大ブレイク中の本作。主人公・涼太の猟奇的な行動からも目が離せませんが、“母親の愛”という名の狂気に毎話震撼させられます。ジャンル分け不可! 類似作のない唯一無二の世界。一度読んだら中毒必至!是非足を踏み入れてみてください。
■ 和田裕樹(マンガワン編集長)の2021年イチオシマンガ
□ 「アフターゴッド」江野朱美
和田氏コメント:日本を消滅させる大災害と言われる「神」が住み、危険区域となった東京。その「神」を殺すためにきた少女・和花の物語。この壮大な世界観を描ける画力にまず圧倒されました。一読して迷いなく即連載決定した本作。マンガワンならでは、の名作になること間違いないです。
※記事初出時、「恋愛ラボ電子特装版」1巻の出版社名に誤りがありました。お詫びして訂正します。