2021年シーズンにホンダF1のマネージングディレクターとして、ホンダの30年ぶりのチャンピオン獲得に大きく貢献した山本雅史氏が、1月31日でホンダを退社し、新しく設立した自らの会社『MASAコンサルティング・コミュニケーションズ』で新しいスタートを切る。
「十人十色というように人間は皆それぞれ違った特長があり、個性がある。その個性が発揮できれば、その人も幸せだし、周囲の人たちにもいい影響を与えるというのが私のマネージメントの心得です。その個性をいかに発揮させてあげられるのかは、コミュニケーションがとても大事になるので、会社にもそれを入れました。これまで同様、コミュニケーションを大事にし、多くの人たちが生き生きと仕事できる環境づくりを提供したい」(山本氏)
新会社はすでにレッドブル・パワートレインズと契約を結び、2022年はヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)とクリスチャン・ホーナー代表の指示に従ってコンサルティング業務を行い、レッドブルをサポートすることになっている。
「大きくいえば、日本との橋渡しです。ホンダはもちろん、今後ほかの日本の企業がレッドブルと一緒に仕事する際に、レッドブルに日本の文化を説明しながら、良い関係を築くお手伝いするというのが主な業務です」(山本氏)
ホンダを退社した理由のひとつにあったように、家族との時間を大切にしたいことから、2021年までのようにF1全戦に帯同することはない。「現場での仕事は海外の5戦プラス鈴鹿を合わせた合計6戦程度」(山本氏)となり、それ以外は日本をベースにするという。
山本氏はマネージングディレクターとしてホンダF1を支えてきただけでなく、ホンダの育成システムにも大きな影響を与えてきた。日本でFIA-F4を戦っていた角田裕毅をマルコに紹介し、ヨーロッパのテストへ送り込んだのは山本氏だった。日本から世界へ羽ばたきそうな若手の発掘も新会社が担うことになるだろう。
山本氏はすでにホンダの役員に、新会社がレッドブル・パワートレインズと契約を結んだことを報告しており、ホンダの役員たちからも激励されたという。ホンダは2021年限りで会社としてのF1参戦を終了したが、2022年以降は四輪のレース活動も担うことになったHRC(ホンダ・レーシング)がレッドブル・パワートレインズを支援していくことになっている。
ホンダを退社するが、レッドブルと日本の架け橋となる山本氏への期待はこれまでと変わらず大きい。