Uber配達員をやっていてガッカリするのは、大変だった配達の報酬額が思いのほか安かった時。先日も、オンラインにしたまま帰路についた23時過ぎ、気まぐれに受けた配達先が激坂を越えた谷間の袋小路で、しかも報酬が315円だったときは泣けてきた。
2021年は、こうした1件300円ぐらいの配達、俗に「スリコ(スリーコインの略)」と言われる案件が増え、配達員の間から悲鳴が上がっていた。専業でフル稼働している配達員の場合、2020年の下半期に比べて週に2万円程度の減収になっているという話も聞いた。
馬鹿馬鹿しくてやっていられない。そんな風に感じていた配達員は僕だけではないと思う。(文:飯配達夫)
「出前館」のキャンペーン
そんな配達員たちの間で、ひさびさに出てきた明るい話題が「出前館」のキャンペーンである。ヒカキンとはじめしゃちょーのCMで有名なフーデリ(フードデリバリー)界のもう一つの雄だ。
「配達料無料」で注文数が激増しているという出前館だが、実は配達員にとっても「お得」なキャンペーンを行っている。期間限定だが、配達報酬が1件最大2,215円(新規で配達する日から2022年1月末までに限る。既に稼働している配達員は1件最大1,640円)というのだから、Uberから流れた配達員は少なくないはずだ。
Uberもこれに対抗したのか、12月20日の配達料金改定以降、目に見えて「スリコ」が減った。配達1回につき600?800円程度の案件にもちょくちょく当たる。体感では3年ほど前の水準(1件平均500円程度)に戻った気分だ。
昨年末には「今週中に登録都市で1回の配達を完了すると、1,500円の報酬が獲得できます」というアナウンスも。年末年始に向け、休眠状態にある配達員の掘り起こしを行っていたようだ。
ただ、繁忙期の年末年始と違い、例年1月下旬?3月上旬までは閑散期だ。配達回数に応じて支払われる追加ボーナス「回数インセンティブ」の金額が減っている様子も見受けられる。
これから、さらに報酬額が下がれば、配達員にとっては厳しい冬が、いっそう厳しいものになりそうだ。何か景気の良い話でもあればいいのだが……。