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名車のエッセンスが満載! シトロエンの新車「C4/E-C4」に試乗

2022年01月26日 11:02  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
シトロエンの新型車である「C4」と「E-C4」は、同社のヘリテージと最新の技術を絶妙にミックスした個性的なクルマに仕上がっている。デザインのみならず、乗り心地からも名車たちのエッセンスが感じられる面白い存在だ。一足早く試乗できたので、印象をお伝えしたい。


○日本で嬉しいサイズ感



1月7日に発表となった新型C4/E-C4はC4としては3代目になるが、それとともに、筆者が所有してきた「GS」や「BX」「C4カクタス」など、独創的なクルマづくりで一世を風靡してきたミドルサイズ・シトロエンの伝統を受け継ぐ存在でもある。



C4とE-C4のプラットフォームやボディは基本的に共通だ。C4は1.2リッター直列3気筒ガソリンターボおよび1.5リッター直列4気筒ディーゼルターボのエンジンを積み、E-C4はEVとなる。ひとつのボディで3つのパワートレインが選べるわけだ。



スタイリングは今のシトロエン・デザインの源流を作ったC4カクタスの流れをくむクロスオーバー的なボディに、戦後初めてゼロから設計したミドルサイズGSのキャビンを組み合わせたような感じ。伝統とトレンドをうまく融合させている。


ボディサイズは全長4,375mm、全幅1,800mm、全高1,530mmで、高さを除けば日本車ではトヨタ「カローラスポーツ」とほぼ同じ。幅が1.8mに収まっていることは日本の道ではありがたい。リアウインドーを強く傾けたファストバックでありながら、長さも抑えられている。



しかも、シトロエンの伝統でホイールベースが長い。具体的には2,665mmで、カローラスポーツを25mm、ゴルフを45mm上回る。おかげでシトロエンらしいプロポーションが実現できている。


○見た目も中身もシトロエンらしさが満載



インテリアを見ると、小ぶりなデジタルメーターと大きなセンターディスプレイという配置はC4カクタス、レバーを前後させる形のシフトレバーはBXの後継車「エグザンティア」の車高調整レバーに似ていて、こちらも随所にシトロエンらしさを見つけることができる。

シートはシトロエン車で展開が進んでいる「アドバンストコンフォートシート」を採用。生地裏のフォームが従来の2mmから15mmへと大幅にアップしたおかげで、GSやBXを思わせるふっかりとした着座感だ。


ロングホイールベースのおかげもあって、後席はCセグメントのハッチバックとしては余裕がある。特筆すべきはE-C4でも床の高さがエンジン車と同じであること。駆動用電池を前後席下とセンタートンネルに要領よく収めたためだ。


筆者が乗ったのはディーゼルとEVだった。最初にドライブしたディーゼルの車両重量は1,380kg。「マツダ3」ファストバックのディーゼル車より軽いので、力はかなり余裕がある。吹け上がりもディーゼルとは思えないほど滑らかだ。


8速ATが状況に合わせてひんぱんに変速し、低回転だけを使って走っていけるので、エンジン音はほとんど気にならないし、いつ変速したかわからないほどスムーズでもある。サそしてスペンションには、シトロエンのSUV「C5エアクロス」で定評のある「プログレッシブ・ハイドローリック・クッション」が組み込まれている。



ダンパー内のシリンダーは2つ(通常は1つ)に増やし、第2のシリンダーは大きな入力のときに初めて働くようにした。それにより本来のシリンダーは減衰力を低く抑えられるので、きわめてソフトでスムーズな乗り心地が味わえる。その感触は、GSやBXなどが装備していたハイドロニューマチックの現代版という表現がふさわしい。特に、うねりを通過したあとのゆったりとした動きがそっくりだ。



高速道路ではアクティブクルーズコントロールをはじめとする先進運転支援システムが加わり、安楽なクルージングを味わわせてくれた。



C4ディーゼルは日本のWLTCモード燃費でリッター22.6km。E-C4の満充電での航続距離は405kmで、電費(電力量消費率)は140km/kWと日産自動車「リーフ」よりも優秀である。ガソリン車では300万円を切り、E-C4でも465万円と輸入車EVとしては安い価格にも注目だ。



森口将之 1962年東京都出身。早稲田大学教育学部を卒業後、出版社編集部を経て、1993年にフリーランス・ジャーナリストとして独立。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員を務める。著書に『これから始まる自動運転 社会はどうなる!?』『MaaS入門 まちづくりのためのスマートモビリティ戦略』など。 この著者の記事一覧はこちら(森口将之)