IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に新設されたGTDプロクラスに、コルベット・レーシングの4号車シボレー・コルベットC8.R GTDで参戦しているトミー・ミルナーは、1月23日に行われたデイトナ24時間・予選レースでのペースにチームが「興奮できなかった」と述べ、彼らが「困難な戦い」に直面していると表明した。
デイトナ24時間の決勝グリッドを決する予選レース前日の土曜午後になって、コルベットの2台はBoP(性能調整)の変更を受け、当初発表されていたBoPから性能向上が図られていた。その内容は、エアリストリクター径の1.5mm拡大と、燃料タンク容量の3リッター増加というもの。
しかし、これらの緩和措置にも関わらず、日曜日の予選レースで2台のコルベットC8.R GTDはクラス13台中、8位と9位に終わっていた。
100分の予選レース中、4号車コルベットでミルナーとコンビを組むマルコ・ソーレンセンがマークしたベストラップは1分47秒430。これは、クラス内のファステストラップを記録したKCMG2号車ポルシェ911 GT3 Rのパトリック・ピレから1秒以上遅いものだった。
コルベット・レーシングの声明によれば、この結果はGTE仕様をモディファイしてGTDプロに参入することが許された2021年GTLM王者にとって、「困難な戦い」であることを示したという。
GTE仕様からGTD(GT3)仕様へのコンバートには、重量の追加、パワーの削減、空力コンフィギュレーション変更によるより高いレベルのドラッグ、そしてチームが現在把握に努めているミシュランのカスタマー・タイヤへの変更などが含まれる。
GTLMではコンフィデンシャル(専用開発)仕様だったミシュランのタイヤは、GTDプロではGT3のレースで広く使われているS9Mスペックが使用される。
「僕らが自分たちの根本的なペースに興奮していないことは明白だ」とミルナーは語っている。
「タイヤに関することなど、学ぶことはまだたくさんある。それらの経験は、レースに役立つだろう」
「今日はドライバーとして、よりタイヤを知ることができたし、他のGTDとの相互関係ついても学ぶことができて良かった。この点については、たぶん予想どおりに行ったと思う」
「もちろん、当初の計画は僕らができる限り多くのことを学ぶことだった」
「僕の観点からすると、他のクルマが速い場所とそうでない場所を学んだし、また彼らがどんなレースをするのかも……それはこの24時間レースでは大きな比重を占める。(GTDプロとGTDを合わせ)35台が自分たちと同じようなペースでレースをするんだからね」
「そういう観点でいえば、今日の予選レースは収穫だった。クルマは壊れていないし、トラブルにも巻き込まれなかった。エンジニアが知恵を絞り、このコルベットをできるだけ速くするためのレースデータはたくさん手にできた」
■他チームは経験を持つカスタマータイヤ。追いつくための“テスト”
3号車コルベットをドライブするアントニオ・ガルシアは、チームがミシュランのS9Mカスタマータイヤの「ビッグテスト」として、日曜日の100分レースを有効活用したと述べている。
「タイヤのレギュレーションの面では(GTLMとは)多くの違いがあるし、ある程度プッシュして走らせることが(タイヤを把握する上では)必要だ」とガルシアは語っている。
「僕らはそれについて、多くのことを学んだよ。このタイヤでの、初めての経験だからね」
「僕は運転しながら、タイヤのパフォーマンスを最大化する方法を学んでいた」
「今日は全体的なペースがなかったけれど、ここからレースに向けては多くのことができると思う。たとえ(1セットのタイヤで)ダブル・スティントを走る方法について学べただけだったとしても、何も得られないよりはマシだ」
「他のほとんどすべてのGTDチーム(マニュファクチャラー)は、長い間このタイヤで走ってきているわけだし、僕らが追いつくためにはどんな小さなことでも必要なんだ」
「僕らにとって必要な場所にいるために、(決勝までの)数日でどれだけ強くなって戻ってくることができるか、見てみよう」
コルベットと同じく、BMW M4 GT3とフェラーリ488 GT3 Evoにも土曜日にBoPの緩和措置が採られたが、予選レースの結果には影響しなかった。
チームRLLがオペレートする2台のM4 GT3はクラス12位と13位に終わり、リシ・コンペティツィオーネが走らせる488 GT3 Evoは11位だった。
1月29~30日に行われる決勝レースに向け、IMSAはさらなるBoP変更をする権利を有しているが、追加のBoP調整が行われるかどうかは現在のところ不明だ。