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ガンダム、ロミオの青い空、らき☆すた…名作の記憶が歌で蘇る「声優紅白歌合戦」

2022年01月07日 12:09  コミックナタリー

コミックナタリー

「声優紅白歌合戦 2022」の模様。
「声優紅白歌合戦 2022」が、去る1月4日に東京・東京ガーデンシアターで開催された。なお本記事には勝敗結果を記述しているので、アーカイブ視聴を予定している方はご注意を。

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さまざまなキャリアを持つ声優が男女で白組・紅組に分かれて交互に歌唱を披露し、観客・視聴者の投票で勝敗を決する「声優紅白歌合戦」。発起人・中田譲治のもと2019年にスタートし、出演者自身の楽曲だけでなく、キャラクターソングやカバーなど、ここでしか見られないパフォーマンスで話題を呼んだ。2020年はコロナ禍でやむなく中止になったものの、2021年のスピンオフ企画「声優紅白サンライズ」のオンライン開催を経て、有観客では2回目の開催。新年にふさわしい晴れ着姿で登場した総合司会の森田成一、大原さやかの呼び込みで出演者がステージに揃うと、中田が「皆さん、心の準備はいいですか? 『声優紅白歌合戦 2022』、開催しちゃうぜー!」と宣言し、歌合戦の幕を開けた。

トップバッターの白組・林勇は、自身が田中龍之介役として出演した「ハイキュー!!」のオープニングテーマ「イマジネーション」を熱唱。歌い終えた後には「自分にとってターニングポイントとなった作品であり、勇気をもらった楽曲」と選曲の理由を語った。紅組・Machicoは「この素晴らしい世界に祝福を!2」のオープニングテーマ「TOMORROW」で歌い初め。弾けるような笑顔と伸びやかな歌声で会場を盛り上げた。続いて保住有哉が難易度の高いボーカロイド楽曲「ジャンキーナイトタウンオーケストラ」を見事に歌い切ると、井上喜久子は新人声優時代の忘れられない作品だという「ふしぎの海のナディア」のオープニングテーマ「ブルーウォーター」を澄んだ歌声でカバー。歌い終えた後には「ほずみん」「お姉ちゃん」とあだ名で呼び合う2人のほほえましい姿も見られた。

山本和臣が「機動戦士ガンダムAGE」のオープニングテーマ「AURORA」を歌う場面では、同作でナレーションを務めた井上和彦が「そうだ、救世主の出番だ」と勇ましい声で背中を押す。「ロミオの青い空」のオープニングテーマ「空へ…」では、笠原弘子による美しい歌声はもちろん、折笠愛演じるロミオが「アルフレド、今の僕たちがそこから見えるかい? 君との約束、忘れてないよ」と呼びかけ、ファンの胸を熱くさせた。小笠原仁は、自身がボーカルを務めるGYROAXIAの1stシングル曲をSPYAIRのUZが手がけたことから、「サムライハート(Some Like It Hot!!)」をカバー。ソリッドなロックチューンをハスキーボイスで聴かせ、ひときわ個性を見せた。続く田中理恵は「機動戦士ガンダムSEED」からキャラクターソング「静かな夜に~ReTracks」をしっとりと、けれども力強く歌い上げ、空気を一変させる。ラクス・クラインのオーディションはセリフではなく、「静かな夜に」の歌唱で行われたという当時の秘話も披露した。

ライブ中盤は「中田譲治のBarジョージ」と題した企画コーナーが展開された。まずは山口勝平が、自身の出演した舞台公演発のムード歌謡コーラスグループ“愛染終と東京ニューセレクト”として登場。こうした声優のアニメ以外での活躍が垣間見えるのも、“声優と歌”を軸にした「声優紅白歌合戦」ならではの魅力の1つだ。島本須美と笠原弘子は「魔女の宅急便」から名曲「やさしさに包まれたなら」を歌い、コーナーMCを務めた井上喜久子もこの共演に大興奮。さらに山口と関智一は「機動武闘伝Gガンダム」のオープニングテーマ「Trust You Forever」を披露し、2人の演じたドモン対サイ・サイシー戦のアフレコ秘話や、必殺技のセリフも交えた貴重なパフォーマンスが繰り広げられた。

後半戦は、キュアホワイトを演じたゆかなが歌う「DANZEN!ふたりはプリキュア」からスタート。伊藤昌弘は、自身がボーカルを務めるArgonavisのデビュー曲「ゴールライン」をまっすぐな目線で堂々と歌い上げる。折笠愛は思い出深い作品であるという「天地無用! 魎皇鬼」のエンディングテーマ「月のTRAGEDY」で包み込むような歌声を聴かせ、関は「史上最強の弟子ケンイチ 闇の襲撃」オープニングテーマであり、アニソンらしい熱い楽曲の「Higher Ground」で会場を盛り上げた。歌い終えた4人がステージに揃うと、メップル役を務めた関が「ほのか、きれいだったメポ!」と声をかける場面も。小野友樹は保住に続き、「ACTORS」の楽曲から「吉原ラメント」を歌唱。この日のために体重を15kg落としたという小野は、目元に赤いメイクを施しセクシーに歌い上げる。田所あずさは1月スタートの「リアデイルの大地にて」エンディングテーマである「箱庭の幸福」をライブ初披露。神秘的な雰囲気の漂う楽曲と澄んだ歌声で、観客をその世界観に引き込んだ。

歌合戦もいよいよ終盤へ。2019年に続いての出演となる日高のり子が披露したのは、「るろうに剣心」で演じた瀬田宗次郎のキャラクターソング「Journey」。「宗ちゃんを最初に演じているときは、とにかく苦しかったんです。感情のほとんどが欠落している役だったので。ですが、剣心との闘いに敗れたあと、自分を見つけにいくんだと前向きに立ったときの歌なので、どうしても歌いたかったんです」と語る口ぶりからは、今でも日高にとって大事なキャラクターであることが伝わってきた。続く山口勝平の歌唱曲は「キャッ党忍伝てやんでえ」のオープニングテーマ「おっとどっこい日本晴れ」。山口はヤッ太郎さながらに赤い鼻と猫の髭のメイクを施し、チャーミングな笑顔と歌声を客席へと振りまく。最後はプルルン役の折笠も加わり、「秘密忍者隊ニャンキー!」と名乗りも披露して会場を盛り上げた。共演作の多い日高と山口は、いつか「乱馬とあかねのバラード」を2人で歌いたいという野望も語ってみせた。

白組のトリ・井上和彦は、2021年にリメイクもされた「とんでも戦士ムテキング」のオープニングテーマである水木一郎の「ローラーヒーロー・ムテキング」を熱唱。作中でも井上が歌うバージョンが数回使われているという秘話も明かした。一方、大トリを務めた紅組・島本須美は「らき☆すた」より、泉かなたのキャラクターソングであるバラード「幸せ願う彼方から」を丁寧に歌い上げる。島本は故・武本康弘監督への思いにも触れ、涙ぐみながら「どうしても最後にこの歌を歌いたいなという気持ちで、選曲させていただきました」と真摯に語った。

最後は出演者全員がステージに勢揃い。観客・視聴者による投票を待つ間、1人ひとりからメッセージが届けられた。関は「出演者もお客さんも年齢層の幅が広くて、アニメ好き、声優好きの祭典としてとってもいいイベント。何より、好きな歌を歌っていい。なかなかないんですよ」と「声優紅白歌合戦」の醍醐味を語る。ゆかなも「右も左もわからない頃にいっぱい助けてくれたお姉ちゃん、お兄ちゃんたちが、その当時の歌を歌っていて、何度も泣きそうになって……」と喜びを口にし、出演者たちにとってもかけがえのないステージであることが感じられた。そして投票の結果、優勝を掴んだのは白組。井上にトロフィーを手渡した中田は、「僕が発起人と言われていますが、僕はTwitterでつぶやいただけで、それに皆さんが『いいね!』を押してくださったから実現しました。真の発起人は皆さんです!」と挨拶。「次回またお会いしましょう!」と呼びかけ、3時間におよぶ祭典の幕を下ろした。

「声優紅白歌合戦 2022」は1月16日23時59分までuP!!!、ニコニコ生放送、DMM.comでアーカイブ視聴が可能。チケットは同日20時まで販売中だ。またuP!!!限定で、公演を終えたばかりの出演者が2人1組でアフタートークを繰り広げる特典映像も用意されている。

■ 「声優紅白歌合戦 2022」セットリスト
林勇「イマジネーション」Machico「TOMORROW」保住有哉「ジャンキーナイトタウンオーケストラ」井上喜久子「ブルーウォーター」山本和臣「AURORA」笠原弘子「空へ…」小笠原仁「サムライハート(Some Like It Hot!!)」田中理恵「静かな夜に~ReTracks」山口勝平&遠藤純一・魚建・尾形雅宏・西村太佑「血風リトルトーキョー」島本須美&笠原弘子「やさしさに包まれたなら」山口勝平&関智一「Trust You Forever」ゆかな「DANZEN!ふたりはプリキュア」伊藤昌弘「ゴールライン」折笠愛「月のTRAGEDY」関智一「Higher Ground」小野友樹「吉原ラメント」田所あずさ「箱庭の幸福」日高のり子「Journey」山口勝平「おっとどっこい日本晴れ」井上和彦「ローラーヒーロー・ムテキング」島本須美「幸せ願う彼方から」※日高のり子の高ははしごだかが正式表記。

(c)「声優紅白歌合戦」実行委員会