2022年01月06日 18:41 弁護士ドットコム
新年の楽しみのひとつといえば「福袋」です。主に、販売店がいろいろな商品を詰め込み、実際の合計額よりも安く販売しています。あらかじめ中身を明かしておくものもありますが、中身がわからないものが主流となっています。
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そのため、充実したラインナップの商品をお得にゲットできることもあれば、その中身のあまりのひどさに落胆することもあります。
「ハズレの福袋」を意味する「鬱袋」というネットスラングがあり、ツイッターなどSNSでは、その中身の写真をアップする人が少なくありません。
この年始にも、「福袋買ったらなぜかXXLが届いたよ~。返品したい」とTシャツの写真を投稿した人や、ゲームソフト(5本中「モンスターハンター4」3本、「がんばる私の家計ダイアリー」2本)の写真をアップし、「鬱袋を買った」と報告した人がいます。
中身が気に入らず、期待に沿わなかったという理由でも、福袋の返品はできるのでしょうか。濵門俊也弁護士に聞きました。
——購入前に中身がわからないもので、「返品・交換は不可」とする福袋の返品が認められるのはどのようなケースでしょうか?
もともと、「返品・交換は不可」という前提で購入するものですから、たとえ袋の中身が「鬱袋」(ちなみに、秋葉原では年中「鬱袋」が売られています)だったとしても、法律的には、動機の錯誤にすぎず、売買契約としては有効となります。
よって、原則として、返品・交換は認められないでしょう。
もちろん、明らかに袋の表示と中身に著しい食い違いがあった場合は、例外があり得ると思います。たとえば、アパレルショップで「サイズL」として販売していた福袋の中身が「サイズS」であったとか、明らかに商品に傷があったり、設定されていた数量に満たないなど、販売側の瑕疵が認められる場合は返品できる可能性があります。
また、「◯◯円相当」として売っていた福袋の中身の合計額が満たない場合も、返品が認められると考えられるのですが、「◯◯円相当」というのが曲者です。
つまり、「◯◯円相当」という値段が、時価なのか、メーカー小売価格なのか、卸値なのか、何を物差しにしているかによるからです。当事者の合理的な意思として、どの程度の金額を想定していたかを探る必要もあるでしょう。ケースバイケースだと思います。
ただ、「鬱袋」であったとしても、あまり気に病む必要はありません。友人・知人と共同購入してトレードしあい、交流を深めたり、フリマアプリでお小遣い稼ぎもできます。変なところで運を使わなくてよかった、と前向きにとらえることもできるでしょう。
福袋の中身が何であろうと、一喜一憂せず、新たな年の出発としたほうがよいかもしれませんね。
【取材協力弁護士】
濵門 俊也(はまかど・としや)弁護士
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えている。依頼者の「義」にお応えしたい。
事務所名:東京新生法律事務所
事務所URL:http://www.hamakado-law.jp/