はてな匿名ダイアリーに1月2日、「妻の年収が250万円でショック」という投稿があり注目を集めた。投稿者は都内在住で結婚2年目、子どものいない共働きの男性。自身が年収1200万円稼いでおり、生活費はすべて自分が出し、妻が稼いだ分は小遣いとして別会計にしていたため、妻の年収をよく知らなかったという。
しかし、ふるさと納税をきっかけに妻の年収が「額面250万円くらい」であることを知ると、かなり「びっくり」したそうだ。投稿者は、金額の低さに失望したわけではなく
「正社員で毎日フルタイムで出て、休日出勤もして夜遅くまで働かされて労働環境としては劣悪なのに、これだけしか貰えてないのかと可哀想になった」
と胸中を綴っていた。(文:篠原みつき)
「こんなんフルタイムでバイトする方が年収高くなるだろ」
妻はアパレル業界で働いているという。「正社員で、あんなに働かされて、これだけ?」という事実に衝撃を受けた様子だ。さらに「こんなんコストコでフルタイムでバイトする方が年収高くなるだろ。舐めてんのか経営者」と怒りすらにじませた。
そのため投稿者は妻に「自分がいかに搾取されているか」を説いたという。妻はエージェントを使って転職活動を始めたが、その後妊娠が発覚し、仕事探しを中断したそうだ。投稿者は「もう適当にパートしてくれてるだけでいいや。本人も望んでるし」と結んでいた。
夫の収入で生活できれば正社員で疲弊するより時短の非正規で働くほうがいいという判断になったのだろう。子どもが生まれれば、一旦専業主婦になるのかもしれない。
「女性が定年まで働けて年収500万円超」という仕事は限られる
この投稿にはブックマークが500近く付き、さまざまな意見が寄せられた。コメント欄には「とても良く分かる。フルタイムで時間使うのだったらせめて500万くらいは稼いでて欲しい気持ちはある。自分の配偶者が安売りされてると気分悪いわ」など共感の声が目立っていた。
「これが日本女性の現実よな。店いくとレジや販売員は9割方女性。パートなしで回らない会社も最低時給のパート9割方女性」
女性労働者の低賃金で不安定な雇用実態を嘆く声が目立つ。中には、幼い子どもがいる状態での再就職の難しさを指摘し、
「結局パート。小学校高学年までパートで我慢して次就活しても年齢とキャリア無しで不採用。死ぬまで最低賃金」
という声も。煽るような書き込みだが、それだけ日本の労働市場で女性が置かれる立場の弱さを痛感している人が多いことがうかがえる。
他方、低賃金は性別よりも「業界による」という意見も散見された。特にアパレル業界は憧れて入ってくる若者が多く、その分「やりがい搾取」されやすいと指摘する人も。確かに男性でも業種・職種よって低賃金の人は少なくない。
ただ、低賃金で不安定な業種に女性が多いことも確かだろう。内閣府の男女共同参画白書によればコロナ禍に入り男女ともに就業者人口が大幅減少したが、男女別でみると、男性では39万人の減少なのに対し、女性は70万人も減っていた。それだけ女性のほうが離職に追い込まれやすい、ということが考えられる。
今回の投稿は、夫が高収入で、妊娠したから「まあいいか」と円満解決のように終わったが、大半の労働者、特に女性は、低賃金でも働かざるを得ない人が多いだろう。反響の多さは、そんな現実が浮き彫りになり、日本で働くことの絶望感を感じた人が多かったためではないだろうか。