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大友克洋全集が1月21日に刊行開始、「出し惜しみせず全てお見せいたします」

2022年01月05日 21:44  コミックナタリー

コミックナタリー

「OTOMO THE COMPLETE WORKS」メインビジュアル(c)2022 MASH・ROOM (c)1983 角川映画
大友克洋の全集「OTOMO THE COMPLETE WORKS」が、1月21日を皮切りに順次発売される。発売に先立ち、「OTOMO THE COMPLETE WORKS」プロジェクトのメインビジュアルが公開された。

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「OTOMO THE COMPLETE WORKS」は大友が自らのプロデュースのもと、自身の手がけた全作品をまとめ、時代順に刊行するプロジェクト。まずは“第1期”として、全11巻を6回にわたって刊行する。初回は日本SF大賞や星雲賞コミック部門を受賞した「童夢」、アニメ映画「AKIRA」の絵コンテ集「Animation AKIRA Storyboards 1」が発売される。

また3月予定の第2回配本では「BOOGIE WOOGIE WALTZ」と「Animation AKIRA Storyboards 2」、5月予定の第3回配本では「ハイウェイスター」と大友によるシナリオ集「Scripts 1」、7月予定の第4回配本では「さよならにっぽん」と映像ディスク付き書籍「Animation AKIRA」、9月予定の第5回配本では「Fire-Ball」と映像ディスク付き書籍「The Live Action 蟲師」、11月予定の第6回配本では「銃声」がラインナップに並んだ。巻末に大友の解説が収められたタイトルも用意されている。なお第2期以降の続巻は随時発表予定だ。

さらに「OTOMO THE COMPLETE WORKS」第1期を全巻購入した人には「大友克洋オリジナルデザイン 全集特製Tシャツ」をプレゼント。第1期に刊行される全11巻についてくる応募券を集めてハガキで応募しよう。また初版限定で、各巻ごとに異なる「大友克洋デザインステッカー」も封入されている。

刊行に際し、大友は「可能な限りにはなってしまいますが、作品は制作順に時系列で収録していきます。そうすることで、作家としてどのように変化してきたかも追えるようになるので、本当は収録したくなかった古い作品や実現しなかった作品、未完のものも、出し惜しみせず全てお見せいたします」「描き方が変わっていったりテーマが変わっていったり、試行錯誤している様子も判ります。色々な見方が出来るので、皆さんにも楽しんでいただけるのではないでしょうか」とコメントを寄せた。

■ 大友克洋コメント
長らく過去の単行本が絶版状態にあり、これまで各社から再販や選集出版のお話をいただきました。それなら自分の仕事をまとめた全集を自分の思うような形で作りたいと思い、本プロジェクトがスタートしました。自分でプロデュースするなら、自分が生きているうちにということになりますので、今のタイミングかなと。
そして、どうせ出すならコンプリートワークスということで、全部をまとめてみたいと考えました。マンガだけでなく、アニメーションや実写映画などの仕事もやっていますし、イラストも描いてますし、原作の提供やシナリオなどもあるので、それらもひとまとめにしたいなと。
これまで色々な人が全集を発表しています。例えば手塚治虫さんの場合、手塚さんはマンガ以外の仕事も多くされてるんですが、全集にはマンガしか収録されていません。それはその人の仕事の全集としては不完全なのではないかという気がしていました。もしかしたらシナリオ集なんかはあまり売れないのかもしれませんが、ひとまず形にはしてみたいなと思ってラインナップに入れています。
マンガというのは、コンテンツとして非常に広い展開をします。
アニメ化、実写化、小説化、ゲーム化やパチンコなど……。私の作品はパチンコの展開はないですが。そのように展開した部分でも、携わってきたものも全て含めた構成になる予定です。
最近はパブリックアートなども手掛けているんで、自分の仕事もさらに多様化していますね。そのためになかなかマンガが描けていません。勿論これから描く作品、撮る映画などもあります。それらをどこまで含めて〈全集〉とするのか、実は現段階ではまだ決めていません。とはいえ、どこかで確定しなくてはいけないですね。
また、可能な限りにはなってしまいますが、作品は制作順に時系列で収録していきます。
そうすることで、作家としてどのように変化してきたかも追えるようになるので、本当は収録したくなかった古い作品や実現しなかった作品、未完のものも、出し惜しみせず全てお見せいたします。
自分でも過去作品を見直すことはあまりないので、全て見るのはこの編集作業で初めてになると思います。ヘタすると忘れている作品もあるので、見直すと面白いですね。最初の頃から見ていくと、自分でも絵が上手くなっていく過程が判ります。描き方が変わっていったりテーマが変わっていったり、試行錯誤している様子も判ります。色々な見方が出来るので、皆さんにも楽しんでいただけるのではないでしょうか。

■ 講談社編集部コメント
世界的なタイトルを次々に生み出す、漫画家、イラストレーター、映像監督、シナリオライターなどのジャンルにとらわれない創作者の顔を持つ大友克洋氏。
その創作とプロデュースのすべてを、作者である大友克洋氏自身が時代順に俯瞰、総括、そしてリ=プロデュースするのが「大友克洋全集」です。
それは多様な「全仕事」を収録した「作家・大友克洋」の底本ともなります。
同時に、日本から世界中に衝撃をもたらした新しい表現方法の集積は、一人の作家のパーソナルな仕事集というだけでなく、1970年代から現代までの漫画、アニメ、映像までをも含む、現代文化の冒険を愉しめる作品集とも言えるでしょう。
時代によって何が生み出されたか。
作家は時代に何を見て、考えてきたのか。
そして作家は、次に何を試みていくのか。
――――作品から発言までを網羅することで、作家としての進化を明らかにし、次の世代の創作者へその姿勢を伝えていく。この全集は作家自身が自らを「作品化」し、手ざわりも含むモノとして記録する、まったく新しい全集となります。