isutaでは今週も、SUGARさんが贈る週間占いを配信。
まーささんによる「上半期の恋愛占い」、星乃せいこさんによる「2022年の運勢グラフ」も配信しているので、こちらもぜひチェックしてくださいね♡
「上半期恋愛占い」「年間運勢グラフ」はこちら 今週のおひつじ座の運勢illustration by ニシイズミユカ
わが世界観の楔
今週のおひつじ座は、神様からの加護を全力で求めていくような星回り。
今や竈(かまど)で火を焚くような家庭はごく一部の例外を除いてほとんどなくなってしまい、年明けに最初に竈に火を入れる「初竈」や「焚初」という季語も自然と使わなくなってしまいましたし、元日の朝に水を汲むことを指す「若水」も家に井戸がなくなるにつれ死語となってしまいました。
しかし、そうした世の中の移り変わりにも関わらず、人間が人間である限り、火と水なしに生きていくことはできません。もちろん、いにしえの人々にとっては生存と直結していたためにより切実ではありましたが、現代社会でもそれは基本的には変わらないはず。
その意味で、「火も水も迸(ほとばし)り年新たなり」(小野恵美子)は新年の火と水を詠うことを通じて、人間が生きることの原点を指し示しているのだと言えるでしょう。今のあなたにとって自分を生かしてくれる「火と水」にあたるものとは何なのか。あなたは、自分なりの世界観の楔となっているものを再確認していくことがテーマとなっていきそうです。
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画竜点睛(がりょうてんせい)をおもう
今週のおうし座は、自分の手で埋めても埋めても埋めつくせない何ものかの訪れに、みずからの行方を託していこうとするような星回り。
前もって手を打つ。綿密に計画する。完璧な準備をする。そういうことも大事なことではありますが、どれだけ抜かりなくあらゆる手を打ったつもりでも、ことが始まった瞬間に、ハッと忘れていたことに気付くということがあるのです。
というよりむしろ、忘れてみないと絶対に分からないことというのがあって、それは日常生活を根底から崩したりするような大げさなものではない代わりに、ちょっとした影響によって私たちを何かからそらしてしまったり、逆に必要なものをすっと引き寄せてくれたりする、そんなことが起きていると思うのです。
例えば、正月には歳神が家の中に入ってきて、人間は山のシンボルの松飾りを作ってそれを促す訳ですが、節分には再び山へと帰っていく。その際、里のシンボルである豆とかを持って帰っていく。また、歳神は節分には鬼の姿になっていますが、実はこれは成長した「魂」であり、これが外来魂としての日本の神のサイクルなんです。あなたもまた、自分が生きている現実を支えている小さく、微かで、普段なら見過ごしがちなピースにこそ注目すべし。
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毒と笑いの底光り
今週のふたご座は、人生の裏とでも言えるところにどっしりと腰を落ちつけていくような星回り。
「初笑ひして反り返る僧仏師」の作者・山口燕青は、仏師としての生活を詠って名をあげた異色の存在。この世では、どこまでいっても生老病死の苦しみがついて回り、そこから逃れ出る術はないのだから、いっそ身をもって受け止めた上で、それを笑い飛ばしてしまおうといった、鍛錬された大らかさが漂っています。
身が反り返るほどの大笑いをしておいて、その底にはどこかぬーっとした人間がこちらを覗いているのである。おそらくは、普通の人ならとても笑えないような出来事を前に、作者は「初笑い」をしたのだろう。こちらを飲み込まんと迫ってくる怖れに打ち勝つ象徴的行為として笑い、それがやがて腹のあたりで爆発したのだろう。
あなたもまた、怒りや怖れなど負の感情に振り回されて当然なときほど、笑ってそれに打ち勝つことを大切にしていきたいところ。
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相互貫入の深まり
今週のかに座は、これまで遠くに感じていたものがグッと近くに引き寄せられていくこと。
情報学者のドミニク・チェン氏は『未来をつくる言葉 わかりあえなさをつなぐために』という本の中で、自身がモンゴルで結婚式を挙げたときに贈与された馬の話を書いています。それは即興の結婚式で、滞在先の家長が父親役を演じ、馬に乗って娘を娶る許可を取りに行くという儀式を行ったのだそうです。
その際、父親役だった男性の兄から、「馬をあげよう」と申し出を受け、戸惑っていると、「あげる」というのは「(物理的に)持って帰れ」という意味ではなく、「この馬はここにいて、自分たちが世話をするけれど、君たちがまたここを訪れたときはいつでも乗っていい」という意味なのだと教わったのだとか。
チェン氏はこれを、文化人類学者の木村大治のいう「共在感覚」と結びつけつつ、この馬がチェン氏の分身となって、自分とモンゴルの人々や景色とを、物理的な距離を超えてつなげてくれたことで、日本にいてもそれらを思い出すことで「共に在る」ことが可能になったのだと語っていました。あなたも、自分から離れてしまったと感じていた相手や場所に対し、改めて「すぐそこにいる」という想像力を取り戻していくことがテーマとなっていきそうです。
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わが高慢は沈めよ涙に
今週のしし座は、自分自身に寄り添い、ケアしていこうとするような星回り。
それはまるで、「枯れ木立光の方へ歩きなさい」(藺草慶子)という句のよう。「光の方へ歩きなさい」という力強いセリフは、かえってその背景に厳しい冬の寒さですっかり縮こまってしまった生命力の弱まりや、闇へと沈んで道を踏み外してしまった暴走や逸脱や痕跡を感じさせます。
とはいえ「枯木立(かれこだち)」は葉をすっかり落とした木立のことで、日の光をさえぎるものがなくなるため、そこには思いのほか明るい光景が広がっていくはず。つまり、作者が語りかけている対象は、光と闇のはざまの危うい領域にあるのではないでしょうか。
そうなると例えば、能の主役は「シテ」、つまりすでにこの世の人間ではない亡霊でありながら、未練を残すがために祈りをとなえながら舞を舞い、ふたたびかの世に消えてゆくように、掲句もどこか生と死を行きつ戻りつしながら、そのあわいに佇んでいる存在に向けて捧げられたものであるようにも感じられます。あなたも、他の誰よりも寄り添えるような自分であれるようになることがテーマとなっていくでしょう。
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魅惑と没頭
今週のおとめ座は、よく分からないものをどうにか分かりたいという気持ちが、再燃していくような星回り。
猫のしっぽは猫の感情の動きに応じて、さまざまな位置形状や動きを示しますが、しっぽのない人間には猫のしっぽの気持ちを即座に察知することはなかなか難しいことです。しっぽの振り心地や曲げ心地について、共感することさえできないようにできている。
われわれ人間にできることは、せいぜい猫のしっぽの動きと気持ちの相関関係について観察し、仮説を立て、推測し、検証するか、誰かの書いたものを参照することだけな訳で、これは自分の体験を超えた死や死後のことや人間の運命についてとり扱う宗教や占いに関しても同じことが言えるでしょう。
ただ、宗教の研究をしていますと言えばそれらしく聞こえる一方で、「猫のしっぽについて研究しています」などと言っても奇妙がられるのが関の山であるのが大きな違いですが、どちらも共通しているのは、いったん魅入られると時間を忘れてその研究に没頭してしまい、そこに利益などは求めないところ。あなたも、そうした研究をしている身になったつもりで、何かにやむにやまれず没頭していく時間を確保してみるといいでしょう。
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振り出しに戻ろう
今週のてんびん座は、いのちの洗濯をしていくような星回り。
「湯気立てて来世のやうに二人をり」(櫂未知子)で詠まれているのは、どこかの温泉にでもいった時の光景なのか。現実の景色であるはずなのに、湯気を隔てた向こう側に背格好だけがおぼろげに醸し出されるかたちで2つの人影を目にしたとき、おもわず作者の脳裏に「来世のよう」という比喩が浮かんできたのでしょう。
三途の川の向こう側には現世の疲れを癒す、こんな天然の露天風呂があるのかも知れません。そこでは見た目や肩書きや特筆すべき個性などによってさかしらに品評されることもなく、同じくいのちの尽きかけた身として互いの労をねぎらい、来し方行く末についてほんの二言三言の言葉をかわす。
そこからまたもとの世界に戻るのもいれば、湯気の向こう側へと消えていくのもいる訳ですが、きっとそんな両者を分けるのは、あの世の風呂では流しきれなかったほんの些細な思いの有り無しで、大げさな思想信条や主義主張などではないはず。あなたもまた、慌ただしく何かを新しく始めてしまう前に、改めてこれまでのことを水に流す機会を設けてみるべし。
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野蛮人あらわる
今週のさそり座は、言葉にできない思いをより一層募らせていくような星回り。
『ドラえもん』における出木杉くんは、勉強ができて先生への受け答えも完璧、スポーツも得意な上、ルックスもいい。ただそれにも関わらず、登場回数が圧倒的に少ないのは、視聴者として見ていても、友達として一緒にいてもさして楽しくないからでしょう。
彼は分かりやすい欠点や過剰さがないがゆえに、結果的にいつも自分ひとりだけがスマートな位置に立っていて、それがとにかくつまらないのです。その点、のび太にドラえもん、ジャイアン、スネ夫などは、よいところとダメなところのデコボコ具合が見事であり、それゆえに見ていて楽しく絡みがいもあり、一周まわって出木杉くん的スマートさを突き抜けた人間味が際立っているのだと言えるのではないでしょうか。
その意味で、今週のさそり座もまた、出木杉くん的なスマートさからどれだけ脱け出していけるかが、少なからず浮き彫りとなっていくでしょう。
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ユーモアと遊び心
今週のいて座は、血の通ったユーモアで、冷たい現実を包み込んでいこうとするような星回り。
「富士山も一吹出物冬日和」の作者・高野ムツオは、宮城県の出身。3.11以降は積極的に震災詠を作ってきたことでも知られていますが、考えてみれば地中深くのプレート同士の衝突によって地盤が隆起し、富士山のような山が出来上がりもすれば、プレートのひずみによって大地震が起こりもし、われわれ人間はそれに太古の昔から科学技術の発達した現代にいたってなお翻弄され続けている訳です。
その意味で、掲句の吹き出物の喩えはそうした科学さえも突き抜けた先にある、さまざまな事実や真実を包み込む神話的なるものの大らかなユーモアに他ならないように思います。
日本を代表する活火山である富士山がいったん噴火すれば、多くの犠牲者が出るのに不謹慎なと言うなかれ。こうしたユーモアというのは、通り一遍の慰霊やお悔みなどより、ずっと親身で人の血が通ったものなのではないでしょうか。今週は、常識的な価値判断や善悪を突き抜けたところで、自分に与えられた経験の豊かさや深みに気が付いていきやすいタイミングと言えるでしょう。
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霊感の宿る余地
今週のやぎ座は、勇気を出して人から離れ、自分と向き合っていくような星回り。
28歳から耳がほとんど聞こえなくなっていたベートーヴェンは、そのことを誰かに打ち明けることができませんでした。彼が残した手紙には、「もっと大きい声で話してください。叫んでください!私は耳が聞こえないのですから。私にはどうしても、そんなことをいうことができなかった」とあり、5年間にわたってなるべく人と会わないように暮らした結果、「世間嫌い、人嫌いのベートーヴェン」と噂を立てられ、さらに深く落ち込んでしまったのです。
ひとりきりの生活のなかで、怒りを自分自身に向けるようになりますが、孤独と絶望の中、ベートーヴェンはギリギリのところで「自分は音楽という芸術を作り出すまで、この世を見捨ててはならない」と気付き、これまで以上に作曲に打ち込み、交響曲第九番やミサ・ソレムニスといった後世に残る名曲の数々を生みだしていきました。
今週は、もし今自分にできることややりたいことを見出し、それをやり遂げたいと思うなら、思い切って孤独の中に入って、そこに浸り切ってみるといいでしょう。
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無になる修行
今週のみずがめ座は、無になれる作業を通じて、何か新しいものの萌芽を見出していくような星回り。
「初空を絞りしやうな乳搾る」(鈴木牛後)の「初空(はつそら)」とは、元旦の空のこと。その空の下で、毎日牛という生き物と向かい合ってきた作者は、元旦から乳を搾っているわけです。酪農家にとっては当然のことかも知れませんが、「初空を絞る」という、どこか清らかでスケールの大きな飛躍的表現は常人からはまず出てこない着眼ないし発想でしょう。
その日が雪空だったのか青空だったのかは分かりませんが、あえてそこには触れず、作業中にふと感じられたことをそのまま言葉にしたことで、詩としての確固とした強度や鮮度が結晶化しているのです。
今の時代は、あの手この手で他の人からは出てこない唯一無二のアイデアを個性をひねり出してやろうとみなが血眼になっているようなところがありますが、むしろ自分というものがなくなっていく瞬間や習慣のあるところから、本当の意味で価値があり、それでいて新しい表現というのは出てくるのかも知れません。あなたも、淡々と着実におのれを消していく作業に打ち込んでいきたいところです。
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大いなる養生
今週のうお座は、日常の惰性から離れた「美しい行動」をとることが要求されていくような星回り。
多くの伝統社会において、狩猟というのは、日常の延長では絶対に不可能な非常に危険な領域。もし狩人が動物を仕留めたとしても、いきなり無造作に解体したり運搬したりすることは厳禁であり、ほとんど決められた作法に従って、きわめて儀礼的な身振りで、注意深く行われたものでした。例えば、北アメリカ大陸の北西海岸内陸部の高原地帯に暮らすトンプソン・インディアンと呼ばれる人々は、狩人が守るべき作法を(山羊の立場からの語りにおいて)次のように定めています。
「人間たちは山羊の解体をはじめる前に、顔を黒く塗るようにしなさい。舌と肺と心臓の上には聖別した羽毛をかけなさい。そして残りの体は、家の火の上にかけて、乾かしなさい。それが私たち山羊にはよく療法となります。骨と臓物は注意深く集めて、水に沈めなさい……山羊の頭を調理するときには、顔の部分を赤く塗り、羽毛をかけて、鼻を火のほうに向けて置きなさい……頭の部分を焼いているときには、人間は完全な沈黙を守らなければなりません。」(レヴィ=ストロース『山猫の物語』)
あなたもまた、最大級の敬意と誠実さをもって他者と分け合う、何かしらの話題や題材を取り扱っていくことが求められていくでしょう。
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