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磯村勇斗は“やんちゃ”なキャラクターがハマる? さらなる可能性を感じられる映画3選

2022年01月02日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

磯村勇斗『前科者』(c)2021 香川まさひと・月島冬二・小学館/映画「前科者」製作委員会

 ここ数年、破竹の勢いの活躍を見せ、多くの観客を魅了している俳優・磯村勇斗。2021年は、これにさらに拍車をかける年であった。徳川家茂役を演じた『青天を衝け』(NHK総合)で大河ドラマに初出演して好演を刻み、舞台『泥人魚』ではアングラ演劇に初挑戦。『珈琲いかがでしょう』(テレビ東京系)の三平役や、『ヤクザと家族 The Family』に『東京リベンジャーズ』など、彼の演じる“やんちゃ”なキャラクターが「推し」となる方も多かったのではないだろうか。ここでは、彼の魅力とさらなる可能性を感じられる映画3本を紹介したい。


【写真】やんちゃな磯村勇斗が推せすぎる


■『恋は雨上がりのように』(2018年)


 小松菜奈と大泉洋がダブル主演を務めた『恋は雨上がりのように』は、女子高生・橘あきらと、彼女がアルバイトをしているファミレスの店長の淡い恋模様を描いたもの。本作で磯村は、このメインの舞台となるファミレスで働く大学生・加瀬亮介に扮している。少々キザな物言いをする男だが、これを磯村は嫌味なく演じており、眉月じゅんによる原作と同様に魅力的なキャラクターに仕上げている。全10巻から成る物語が映画の尺に収められているため、出番は決して多くはない。しかし、“仮面ライダー俳優”としてその名を世に広め、朝ドラ『ひよっこ』(NHK総合)でお茶の間に笑顔をもたらした磯村が、現在のステージにたどりつく過程において重要な一作だと思う。


■『今日から俺は!!劇場版』(2020年)


 2018年に放送され人気を博した『今日から俺は!!』(日本テレビ系)の「劇場版」である本作は、コロナ禍での公開となったものの大ヒットを達成した作品とあって、すでに鑑賞している方も多いことだろう。賀来賢人を筆頭にドラマ版でお馴染みの面々がスクリーンに大集合。スケールアップした劇場版ではここに柳楽優弥らが加わり、若手世代による、まさに“全員主役級”の座組を作り上げている。磯村が演じる相良猛は、主人公・三橋(賀来賢人)らと死闘を繰り広げたドラマ版では冷酷非道な男だったが、この劇場版では男気を感じさせる人物として登場。相変わらず三橋らは“バカ全開”だが、対照的な相良たちは本作に“熱さ”を与えている。“ワル”や“やんちゃ”な役どころを得意とする磯村にとって、本作はそのイメージを見事に確立させた作品だろう。


■『ヤクザと家族 The Family』(2021年)


 磯村の代表作を思い浮かべてみたとき、しっくりくるのがこの『ヤクザと家族 The Family』である。綾野剛が主演を務めている本作は、チンピラ同然だった若者が暴力団の組長を助けたことから自身もヤクザとなり、やがて時代の流れの中で淘汰されていくさまを描いたもの。“1999年”、“2005年”、“2019年”の3つの時代が活写され、磯村演じる木村翼は“2019年”のパートにのみ登場。しかしその存在は非常に重要なもので、半グレとして街を仕切る青年を軽快に演じている。本作は「ヤクザ映画」でもあるが、タイトルにある通り、「家族映画」でもある。時代の変遷によって変容するヤクザの生き方と、家族のかたち。この映画で描かれるのはまさにこれであり、磯村は作品の主題の一部を担う役どころを務めているのだ。クライマックスの鬼気迫る演技は必見である。


 個人的にオススメな作品を3つ挙げてみたが、磯村勇斗はさまざまな作品のジャンル、キャラクターに適応してみせ、与えられた役割を貫徹することができる俳優だ。その事実をこれらから知ることができると思う。2022年は1月から映画『前科者』が公開され、その後も続々と新作の発表があるのではないだろうか。『サ道』(テレビ東京系)の続編も期待してしまうし、舞台上の磯村もまた観たいものである。


(折田侑駿)