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2年ぶり帰省ラッシュ「酒気残り運転」「二日酔い運転」にご注意を!

2022年01月01日 09:31  弁護士ドットコム

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コロナ禍で迎える2回目の新年。毎日全国で3000人ほどの新規感染者が出ていた前回の年末年始と比べると、今回は感染者数も落ち着いている。オミクロン株への不安はあるものの、ワクチン接種率の高まりもあり、帰省客の数も回復傾向にあるという。


【関連記事:駐車場の車の中で寝ていただけなのに「酒気帯び運転」といわれた!どうすればいい?】



帰省客の中には久々の実家ということで、親族や友人たちと酒席を囲む機会もあるだろう。しかし、地方だと車移動も増える。特に普段車に乗りなれていない人は、気をつけないとアルコールが「残って」いて飲酒運転になってしまうかもしれない。いわゆる、「二日酔い運転」「酒気残り運転」だ。



年末年始は、交通事故を防ごうと、各都道府県警も力を入れる時期。道交法にくわしい和氣良浩弁護士に注意点を聞いた。



●「酒気帯び運転」アルコール濃度が高いと刑事罰も

「飲酒運転は、法律上、『酒気帯び運転』(道交法65条1項)や『酒酔い運転』(道交法117条の2第1号)として規制されています。



そして、『酒気帯び』とは、外観上(顔色、呼気等)酒気を帯びていると認知できる状態を指し、お屠蘇などを飲んで『酒気帯び』と評価される状態で自動車を運転すれば、法律上の飲酒運転となり得ます」



呼気1Lにつきアルコール0.15mg未満なら問題ないが、0.15mg以上で運転すると免許停止(前歴がなければ90日間)、0.25mg以上だと免許取り消しとなる。さらに刑事罰を受けることもある。



「『酒気帯び運転』のうち、程度が重いもの、すなわち、血液1mlにつき0.3mg以上、または呼気1Lにつき0.15mg以上のアルコールを保有する状態で運転をした場合には、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられることがあります(道交法117条の2の2第3号、同施行令44条の3)。



また、運転者が『酒気帯び』であることを知りながら、その運転者に対して自己の運送を依頼して同乗した者も同様に罪に問われることがあります(道交法65条4項、117条の2の2第5号)」



●アルコール濃度は関係ない「酒酔い運転」

もう一方の「酒酔い運転」は酒気帯びとどう違うのだろうか。



「酒に酔った状態で運転した場合には、『酒酔い運転』として、より重い5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられることがあります(道交法117条の2)。



『酒酔い運転』とは、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態での運転を指し、『酒酔い運転』かどうかは血中や呼気中のアルコール濃度だけでなく、言語態度に表れた特徴や運動能力の状況なども考慮して判断されます。



つまり、アルコール濃度が上記基準を下回っていても、『酒酔い運転』として処罰される可能性があります」



酒酔い運転と判断されれば、免許取り消しの行政処分も受ける。



●目安となるアルコールの分解速度

お正月は、お屠蘇(とそ)や甘酒を飲んだあとや、前日に痛飲してアルコールが「残って」いるかもしれない状況で運転することがありえる。目安としてアルコールの分解スピードを理解しておいたほうが良いだろう。



一般に体重(kg)に0.1をかけた数字が、1時間に分解できるアルコール量(g:単位の違いに注意)だと言われる。体重60kgなら6gということだ。あとはお酒の量と度数がわかれば、大体の時間がわかる。



「たとえば、体重60㎏の男性であれば、アルコール度数が15度のお屠蘇を15ml(=2.25gのアルコール)摂取した場合、アルコールの処理には20分程度かかるといわれています。



他方、甘酒はアルコール度数が1度未満のものが一般的であるため、お屠蘇と比べるとアルコール処理時間はより短くなると考えられます。



もっとも、摂取したアルコールの体内の処理スピードは、性別・年齢・体重などにより異なり個人差があります。さらにはその日の体調などによっても変化しますので、時間の経過だけで体内のアルコールが消失したと判断するのは危険であることも覚えておくべきです」




【取材協力弁護士】
和氣 良浩(わけ・よしひろ)弁護士
平成18年弁護士登録 大阪弁護士会所属 近畿地区を中心に、交通・労災事故などの損害賠償請求事案を被害者側代理人として数多く取り扱う。
事務所名:弁護士法人ブライト
事務所URL:https://law-bright.com/