2022年01月01日 09:21 弁護士ドットコム
本格的な受験シーズンを迎え、神様の力を借りたい受験生やその親も多いだろう。例年、合格祈願に訪れる人があとをたたない神社には、そんな受験生たちの切実な願いを書き連ねた絵馬が奉納されている。絵馬の前で写真撮影し、SNSにアップする人もいるが、法的には問題ないのだろうか。
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12月下旬、中学受験生の子どもに代わって、都内有数の神社で絵馬を奉納した会社員の男性(40代)。妻にその写真を送ると「ほかの受験生やその親御さんが書いた絵馬から、名前や志望校すべて見えるけど、プライバシーは大丈夫なの」と尋ねられて、困惑したという。
SNSでは、悪意はないのだろうが、絵馬の前で写真を撮った人たちの投稿写真を拡大してみると、背景に名前や志望校、住所などがはっきり映ったものもある。
どこの誰が、願いごとをしているのか神様に伝えるためにも絵馬に個人情報を書く必要があるとされるが、最近ではその部分にシールを貼るなど個人情報に配慮した神社も出てきている。
ついやってしまいがちなSNSアップだが、法的にはどう考えられるのだろうか。濵門俊也弁護士に聞いた。
ーー絵馬のSNSアップは、プライバシー侵害と評価されうるのでしょうか
故意(わざとしたもの)・過失(うっかりによるもの)を問わず、プライバシー権侵害による民法上の不法行為責任(民法709条、710条)を追及されるおそれがあります。
公共の場に置かれているからといって、かならずしもプライバシー権の侵害がなくなるとはいえません。絵馬は実際に神社に行かなければ見られないものです。SNS上で不特定多数の人に拡散することを想定していません。
ーーこのほか、絵馬に関して注意が必要な点があればご指摘ください
「プライバシー気にするようなら絵馬なんか書くな」という意見はあるのかもしれません。しかし、絵馬は神様宛に書くものであり、第三者に知らしめる類のものではありません。
このくらい大丈夫だろうということはもはや通用しない時代となりました。SNS利用のリテラシーを持つべきでしょう。
【取材協力弁護士】
濵門 俊也(はまかど・としや)弁護士
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えている。依頼者の「義」にお応えしたい。
事務所名:東京新生法律事務所
事務所URL:http://www.hamakado-law.jp/