2021年12月30日 10:21 弁護士ドットコム
長崎県の大村入国管理センター(大村入管)で、収容されている外国人の夕食時間が「15時30分ごろ」とされていることについて、難民問題などに携わる弁護士から「あまりに非常識な対応に驚きを禁じえない」という声があがっている。
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問題となっているのは、大村入管の収容者向けガイドライン。収容者の食事時間について「朝食7時頃」「昼食10時30分頃」「夕食15時30分頃」と明記されている。とくに夕食は、一般的なものよりも、かなり早い時間帯だといえる。
大村入管の担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、ガイドラインの記載内容は事実と認めたうえで、「ガイドラインに書かれているのは支給を開始する時間で、その時間に食べなければいけないというわけではない」と話した。
実は、施設側のルールでは「朝食7時30分」「昼食11時30分」「夕食16時30分」と定められている。だが、施設内の厨房から運搬して、それぞれの収容者に支給するまでの時間を考慮し、ルールに定められた時間までにすべての収容者への支給が終えられるよう、それより30分~1時間早い時間をガイドラインに記載したという。
出入国在留管理庁によると、地方出入国在留管理官署における食事時間に関する統一的なルールはなく、同庁からの通知等も出されていない。各地方官署の実情に応じて、施設側のルールなどで決められているという。
大村入管では、食堂などに集まって一斉に食事をするのではなく、収容者がそれぞれ、定められた場所まで食事を受け取りにいく方法をとっている。
支給の時間は決まっているが、必ずしもそのタイミングで食べなければいけないわけではなく、「支給してすぐに食べている方はあまり多くない」(担当者)という。
「刑務所とは違いますので、できるだけ自由にしていただくということになっています。すぐに食べていただいても構いませんし、時間を置いてから食べていただいても構いません。その点は特に決まっていません」(担当者)
食事は順次運搬されるため、支給のタイミングは定められた時間内で多少前後するが、支給後については、食べ終える時間の決まりもなく、廃棄できる容器で食事を提供しているため、収容者の好きなタイミングで食べて、食べ終わったら各人で片づければよいという。
もっとも、支給時間があまりに早ければ、収容者の多くが食べる頃には「温かいできたての食事」ではなくなってしまう懸念はある。支給時間の見直しについて、担当者は「検討中」だという。
「大村入管では施設内の厨房で食事を作っており、できるだけ温かいものを(提供する)ということで、(調理を委託している)業者にお願いしており、保温容器を用いるなどできるだけ食事が冷めないような対応もしているところです。
ただ、時間としては現状定められたとおりに提供しているところです。収容者の方や周りの支援者の方などからも意見をいただいており、時間の見直しを検討しています」(担当者)
業者との契約もあるため、現契約の中で対応可能なこと、あらためて契約をする際の条件変更などを検討しているという。現時点で具体的に何か決まったことはないが、担当者は「対応できるところについては対応していきたい」と話した。