ある程度の年齢になったら「終活」に取り組む人もいるが、実際のところ、何から手を付ければいいのだろうか。葬儀・供養関連の事業を手掛けるよりそうは11月、終活に関する意識調査結果を発表した。調査は10月にネット上で実施し、20代以上の男女1200人から回答を得た。
「自身の終活に取り組んでいる」(7.8%)と答えた人は1割に満たなかった。「取り組もうと思ったことはある」は40.2%。「取り組もうと思ったことはない」という人は52.0%で最多だった。
年代別にみると、「終活に取り組もうと思ったことはない」と答える人は20代で最多(68.8%)で、60代以上が最少(28.3%)。当たり前ではあるが、やはり若い人はそこまで考えていない。一方で「既に取り組んでいる」という人は、最多の60代以上でも16.3%にとどまった。
60代でも「終活中」は2割以下
終活に取り組みたい理由を聞いたところ、1位は「家族に迷惑をかけたくない・困らせたくない」(68.4%)だった。次いで「自分を取り巻く状況を整理したい」(35.7%)、「延命措置の希望を伝えておきたい」(19.0%)と続いたほか、「財産を希望通りに分割したい」(14.3%)、「お墓に関する希望を伝えておきたい」(13.3%)という声もあった。
一方、終活に取り組まない理由としては「まだ取り組むべき年齢ではない」(32.4%)と3人に1人が回答。さらに「どこから考えればいいのかわからない」(20.8%)、「特に問題なく取り組むことができる」(20.5%)などと考える人がみられた。
「何歳ごろから終活に取り組むのが適切だと思うか」と聞くと、最多は「年齢に関係なく、思い立ったら」(26.8%)。以降は「60代になったら」(23.2%)、「70代以上になったら」(22.3%)、「取り組む必要はない」(9.9%)、「50代になったら」(6.9%)と続いた。
20代でも65.0%が「終活は必要だと思う」
また、終活に取り組む動機を婚姻状況別で比較したところ、既婚者の「家族に迷惑をかけたくない・困らせたくない」(78.3%)という回答率が未婚者に比べて20ポイント以上高かった。一方で「終活するつもりはない」(8.6%)と答えた既婚者は、未婚者よりも9ポイント以上低かった。
終活の情報を伝えたい間柄については、1位が「配偶者」(57.2%)。次いで「子ども」(50.4%)、「両親」(22.8%)と続いた。男女別にみると、男性では「配偶者」(55.8%)と回答した人が最多だった一方、女性では「子ども」(59.2%)と答える人が多かった。
自分が明日亡くなると仮定した時に家族が困ることを想像してもらうと、トップは「ID・パスワードなどの個人情報」(53.6%)といったデジタル遺品だった。次いで多かったのは「銀行口座や生命保険などの情報」(53.3%)、「お葬式の参列者」(24.5%)などと続いた。
終活に欠かせないと思うことを聞くと、「銀行口座や生命保険などの情報」(71.4%)が1位に。「ID・パスワードなどの個人情報」(58.3%)、「死期が迫った際の治療方針」(39.0%)が次いで多かった。特に60代以上に限定すると「銀行口座や生命保険などの情報」と答えた人は8割を超えていた。
また、自身の終活が「必要だと思う」と回答した人は74.6%。20代に限定しても65.0%が終活の必要性を感じていた。
調査を実施したよりそうの広報担当者は
「今回の調査では、SNSアカウントやwebサービスのログイン情報など、いわゆる『デジタル遺品』への関心が高いことも分かりました。(中略)デジタル終活市場は形成途上であり、サービス数も決して多くありません。また、SNSやwebサービスといったサービス提供側のデジタル終活対策も始まったばかりです。デジタル資産を網羅的に管理できるデジタル終活サービス開発の開発は急務と言えそうです」
とまとめている。