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意外と知らない「クルマ」の豆知識 第24回 軽油は凍る? ディーゼルエンジン車は要注意!

2021年12月29日 11:01  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
今年の冬も寒さが厳しくなりそうですが、クルマの燃料も凍ることはあるのでしょうか? どうやら、ディーゼルエンジン車に乗っている人は、そのあたりに注意が必要なようですが……。モータージャーナリストの内田俊一さんに聞きました。


○地域によって売っている軽油が違う?



冬、真っただ中。この時期、都心で売られている軽油と北国や雪国で売られている軽油とは、実は種類が違うということをご存じだろうか。その主な理由は「軽油は凍る」ということだ。



ちなみに軽油はカチカチに凍るのではなく、軽油に含まれるワックスという成分が低温になると分離してしまい、シャーベット状に凝固してしまう。それが燃料フィルターなどを詰まらせ、エンジンを停止させてしまうのだ。



では、それを避けるためにはどうしたらいいのだろう。例えば都心から雪国や寒冷地に向かうのであれば、片道分の燃料で出発し、現地で満タンにすることをお勧めする。そうすることで凍結しにくい軽油を給油することができるのだ。



実は軽油には5種類あり、それぞれを季節や地域によって売り分けている。種類はJIS規格によって「特1号」「1号」「2号」「3号」「特3号」に分類されていて、数字が大きくなるほど凍結しにくくなる。日本工業規格が発表する軽油使用ガイドラインを見ると、地域や季節によってお勧めの軽油の種類が記載されている。

例えば非常に寒い2月を見ると、道南を除く北海道では「特3号」、関東でも「2号」を推奨している。一方で8月は、北海道から沖縄まで「特1号」が推奨だ。そう、実は関東においても、季節によって軽油の種類が変わっているのである。年間を通して変わらない唯一の地域は沖縄で、通年で特1号となっている。



ちなみに石油会社によると、通常のレギュラーやハイオクは日本程度の気温では凍結しないという。


これら以外に、寒冷地に向かう際には冷却液(LLC=ロングライフクーラント)やウインドウウォッシャー液などもチェックしておいた方がいい。LLCは寒冷地でも凍結しないように添加剤が含まれているが、その濃度によって凍結点は変化する。おおよその目安だが、2年をめどに交換することでその機能を保つことができるだろう。



ウインドウウォッシャー液の場合は濃度が問題。多くの場合は原液1:水1が標準だが、寒冷地に向かう場合、あるいは関東などでも冷え込む場合は、より原液の割合を増やすことで、凍結を防ぐことができるはずだ。例えば液が減っていれば、原液をそのまま入れることで濃さを調整できるので、そのやり方も有効だ。



このように、季節によってクルマに対する思いやりを持つことで、どんな時期でも安全安心のカーライフを楽しむことができるだろう。



内田俊一 うちだしゅんいち 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験をいかしてデザイン、マーケティングなどの視点を含めた新車記事を執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員。 この著者の記事一覧はこちら(内田俊一)