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雪降る新潟を思う。米粉の雪だるまクッキー

2021年12月29日 10:01  オズモール

オズモール

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◆ほろほろと優しい口溶け。雪国・新潟生まれの雪だるまクッキー/ガトウ専科の 「白銀サンタ」

画像/白銀サンタ(8個入箱)1000円
OZmagazine TRIPで好評連載中の「さて、おやつにしますか」は、文筆家・甲斐みのりさんが教える、旅の目的になるおやつの話。第14回目は新潟県・長岡市にある「ガトウ専科」で販売中の「白銀サンタ」をご紹介します。



おうちの形の箱に入った、コロンとまるい雪だるまクッキー
「あと数分で、向こうの空に花火が上がるよ。お客さんみておいで」。新潟県長岡市駅前の食堂で、高齢の店主が声をかけてくれた。長岡は昭和20年の長岡空襲で亡くなられた方々への慰霊と復興を願い始まった花火大会で知られるまち。その日は悪疫退散を祈願して全国各地で花火が打ち上げられることになっていた。店の外へ出てみたものの、慣れない土地で花火を見つけられず、音だけ聞いて肩を落として店に戻ると、おまけだと言って店主が雪だるまのお菓子を手渡してくれた。今度は8月の花火大会に来ますと約束した後、ホテルの部屋で味わい、翌日には、店主に教えてもらった長岡駅の「ガトウ専科」で、同じものをおみやげに買って帰った。

新潟県産の米粉を使って焼き上げられたほろほろのクッキーは、雪のように優しい口溶け。生地にデコレーションされたホワイトチョコと、中身のフランボワーズソースが、ふわっと甘酸っぱい余韻を残す。雪国の人の優しさとおもてなし、困難にさいなまれても前を向いて進むたくましさに触れたあの夜を思い出すおやつを、雪降る冬の長岡を思いながら再び味わった。

取材・文/甲斐みのり 撮影/鍵岡龍門