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キラキラカラコンや“自分の力でお金持ち”香水などユニークアイテムが人気 2021年中国美容まとめ

2021年12月28日 18:21  Fashionsnap.com

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今年は例年にも増して、日本に多くの中国コスメが上陸した。すでにコロナから回復している中国本土では美容消費が拡大し、ユニークなアイテムや“バズワード”が続々と誕生。年間を通じて、日本にも波及するような新トレンドが生まれた。ますます目が離せない中国美容市場で2021年に登場したトピックスを振り返る。

まるで少女漫画 ユニークなカラコンがSNSで話題
 “リップの次はカラコン”といわれるほどの爆発力で、中国に広まったカラーコンタクト(カラコン)。中国・据智コンサルティングの調査によると、2015年以降の年間成長率は20%台で、市場規模は2019年に4年前のおよそ倍となる15億8800万元(約284億円)に達した。リピート率がリップなどのコスメと比較しても倍以上で、日本や韓国のブランドが人気だが、今年は地元、中国企業の参入も目立った。
 中国コスメといえば、新しい発想やカラフルなアイテムが特徴で、カラコンにもそうしたアイデアが活かされている。例えば、中国カラコンの代表格「COFANCY」は、少女マンガのような「キラキラ」をデザインしたカラコンや、上下で色が異なりハイライトのように見える“半月ハイライトカラコン”など、SNS映えする面白アイテムを多数販売。本体デザインのみならず、缶詰型のパッケージに封入された“缶シリーズ”なども話題で、パッケージでも楽しませるのは中国コスメらしい仕掛けだ。


 またアイテム名にも工夫があり、中国ブランド「moody」のカラコンは「スペースグリッターボール(宇宙光波球)」「邪魔しないで(勿打扰)」「白桃ウーロン」といったキャッチーなネーミングもSNSで話題だ。

 ただ、こうしたユニークなアイテムはSNSで”バズる”ものの、市場の8割を占めるのは、普段使いのナチュラルカラコンだ。日本のカラコンブランド「envie(アンヴィ)」は大人でも使いやすいナチュラルなデザインのカラコンが人気で、中国ECのTmallで売り上げが好調。昨年の独身の日セールはコンタクトレンズ部門で1位を獲得している。
人気はデザインやネーミングでも目を引く香水
 中国iResreachのレポート「2020年中国香水業界研究白書1.0」によると、中国の香水市場は世界の中で2.5%と小規模だが、2018年以降の年成長率は20%台で、2020年の売上は125億7000万元(約2141億円)に達した。主に人気があるのは「シャネル(CHANEL)」「ジョー マローン ロンドン(JO MALONE LONDON)」といった海外の大手ブランドで、ギフト需要などもあり、他国と比較しても客単価が高いのが特徴だ。
 海外ブランドに対し、中国ブランドは独自の世界観を打ち出すアイテムで勝負する。「三兔Scentooze」は“一夜にして富豪になる香り”と題した香水を販売し、中国の若者女性の共感を集め、人気を博した。いわゆる「玉の輿」のようなものではなく、「自分の力で大きな財をなす」というメッセージを込めた商品だ。今年は観覧車型のフレグランスギフトボックスを発売し、こちらもたちまち若者の心を掴んだ。

 他にも、ラメ入りの香水がバズを生み出した「冰希黎(Biotown)」や、“白湯の香り”のように興味を引くネーミングが多い「気味図書館(Scent Library)」など、中国には独自性が高いアイテムが豊富だ。一般的な香水以外だけでなく、練り香水、スティック型香水などはすでに定番となっている。
 ホームアイテムの需要も高まり、「Humble」のキャンドルや、「野獣派BEAST」のディフューザーなどは目を引くデザインでが若者の注目を集める。

中国のTikTok・抖音でバズったコスメ
 中国は独自のSNSが発達しており、日本でいうツイッターがウェイボー(Weibo)、インスタグラムが小紅書(RED)、そしてTikTokは中国本土限定の抖音(Douyin)がある。中国ではショートムービーが老若男女に人気があり、抖音のDAU(Daily Active User)は6億人を超える。抖音にはライブコマース機能があり、ユーザーの58%が毎日抖音ライブを視聴している。
 日本でも人気の中国コスメ「花西子」は、抖音で“オリエンタルビューティー ファンシードレスアップ(#东方美人花式変装#)”コンテストを開催。ブランドの世界観に合わせた中国古代の衣装「漢服」をまとったムービーが多数寄せられた。その多くは「花西子」の人気商品「玉女桃花 ルースパウダー」の粉が湧き上がる中から、投稿者が変身した姿で登場するというもので、大きな話題を呼んだ。
中国の人気アイドル起用で日本ブランドに注目
 今夏にテンセントビデオで配信されたオーディション番組「創造営2021」から誕生したボーイズグループ「INTO1」は、今年最も注目を集めた新人だ。ちょうど「Nizi Project」から誕生した「NiziU」のように、努力や人柄にもフォーカスされたことで熱狂的なファンが生まれ、在籍する日本人メンバーは中国でも著名な存在になっている。
 こうした人気を背景に、日本のコスメブランドがINTO1の日本人メンバーをプロモーションに起用している。「アテニア(Attenir)」はアジアアンバサダーに賛多(SANTA)を、「シトラナ(sitrana)」「セルヴォーグ(Celvoke)」には力丸が選ばれた。起用発表直後から広告ムービーに注目が集まり、コラボボックスやキャンペーンも広く拡散された。

斬新さが売りの急成長中国コスメ
 中国では日々様々な新ブランドが生まれ、急成長のトレンドも入れ替わりが激しい。一際目立ったのが、コスメブランド「SIT.E」だ。「醜い美しさ(UGLY BEAUTY)」がコンセプトで、これまではファンデーションで隠す対象だった「そばかす」を、あえて描くためのインクとブラシのセットが発売され、斬新な発想で一気にトレンドになった。

 また、中国の消費者ニーズをとらえた商品で昨年から今年にかけてヒットしたのが、2018年設立のスキンケアブランド「逐本」。アロマテラピーの要素と精油を使用したアイテムが人気で、売り上げのおよそ8割を占めるクレンジングオイルがスター製品だ。4種のクレンジングは、それぞれ肌質とメイクの濃さから選ぶことができる。「心身のバランスを呼び戻す東洋スキンケア」というコンセプトが、高度成長期を迎えた中国で仕事や勉強疲れをしている若者の心に響いたのも人気が出た要因だ。


臼井杏奈 ()  青山学院大学文学部卒業。産経新聞社サンケイスポーツ編集局記者職を経て、「WWD BEAUTY」記者として中国や欧米などの海外美容市場やビューティテック、スタートアップなどを中心に取材。2020年4月に独立し、現在は美容業界情報を中心に若者トレンドや中国市場に関する記事を執筆。