トップへ

BTS、無音のライブCCTV映像と『7FATES: CHAKHO』の関係は? 長期休暇中もARMYを楽しませる様々な仕掛け

2021年12月26日 10:01  リアルサウンド

リアルサウンド

BTS「Permission to Dance」

 BTSは公式長期休暇中ながらも、ARMY(ファン)を楽しませる仕掛けを投下してくれている。12月20日、公式YouTubeチャンネルにライブCCTV映像がアップされた。34分間の映像は全くの無音で、概要欄には「Where did everyone go?」というメッセージが添えられている意味深っぷり。


(関連:BTS、LA公演で見せた音楽好きな7人の初心 ARMYから送られる熱量がエネルギーに


 さらに、再生を続けていくとメンバー7人が順に姿を現しては魔法のように消え、バネルやフロア、ミラーなどに、謎の数字や言葉が残るという展開に。これは、2022年よりスタートすることが予告されているプロジェクト『7FATES: CHAKHO』につながるヒントなのではないかと、ARMYの知的好奇心を刺激する仕上がりだ。


 まずプロジェクト『7FATES: CHAKHO』とは何か……だが、11月4日にBTSが所属する事務所HYBEの会社説明会動画「2021 HYBE BRIEFING」にて発表されたオリジナルストーリーのWebマンガ&Web小説。朝鮮時代の虎を捕獲した実在の部隊「捉虎甲士」をモチーフに、神話の中の熊と虎のストーリーや伝統的な虎の説話からインスピレーションを受け、HYBEによる新しい解釈で誕生させたオリジナルアーバンファンタジーだという。


 物語は腐敗した未来都市「新市」を舞台に、人間を狩るためにボムという怪物たちがやってくるところから始まる。その怪物たちを捕らえるために集まったボムハンター“CHAKHO”に扮するのが、BTSの7人だ。RMの「自分の悲劇的な運命に対する真実を知るために大切な人を失ってしまい、復習するために集まったボムハンター1人ひとりのストーリーにも注目してください」という言葉にも期待が高まる。


 おそらく「神話の中の熊と虎のストーリー」は、韓国では誰もが知る『檀君神話』のことだろう。これは日本のイザナギとイザナミの物語のように、どのようにして国が生まれたのかを神話にしたもの。天の神の息子・桓雄から「100日間ヨモギとニンニクを食べ、日光を見なければ人間になれる」と教えられた虎と熊。虎は途中で諦めたが、熊はその修行のような日々に耐えて美しい娘となり、桓雄と結ばれて檀君王倹を生む。そして檀君は平壌に都を定めて国を建て、その名を朝鮮とした……というのが、大まかなあらすじだ。(※1)


 また、韓国ではかつて人里にも頻繁に虎が出没し、人々を襲っていたという歴史がある。伝統的な説話もそうした虎と人との戦いの日々があって生まれたもの。虎を捕獲する捉虎甲士は現代の公務員のような名誉ある職だったとされている。それほど恐ろしい存在を克服したという誇りから韓国は「虎をあやつる君子の国」とも呼ばれ、虎に関わる祭事が執り行われたり、美術品のモチーフとしても多用されてきた。


 彼らの演技を楽しんだり、単なる架空のファンタジーだけにとどまらず、新しい知識への扉を開き、韓国の歴史や文化について理解を深めるきっかけをくれるという意味でも、BTSらしさを感じる今回のプロジェクトだ。


 過去にもBTSは『花様年華』にて、MVやショートフィルム、THE NOTESやWebtoonなど様々なメディアを駆使して物語を創り上げた実績がある。そこには、ヘルマン・ヘッセの小説などの文学、ギリシャ神話や絵画などのエッセンスを感じられる作りになっていたのを思い出す。普段触れることのない知識に触れることにより、深く楽しむことができるBTSのコンテンツは、長くその余韻を楽しむ喜びもARMYに供給してくれるのだ。1月15日よりWebtoonのグローバルプラットフォーム(日本では「LINEマンガ」)にて公開が予定されている『7FATES: CHAKHO』のプロジェクトも、きっとそんな作品になってくれるに違いない。


 そして『CCTV LIVE』映像で示されたいくつかのキーワードに戻ると、「20220101」は“2022年1月1日“を意味すると思われる日付。「COEX」の文字は、「37.50949631746894/127.06222570516427」の座標、そして韓国の郵便番号「06164」と合わせると、韓国にあるCOEXコンベンションセンターを指していると考えられる。


 COEXコンベンションセンターには世界最大級のLEDビジョンがあり、その湾曲した独特なスケールで表現された巨大水槽のような鮮明な波の映像で話題になったことも。もしかしたら、来る2022年1月1日にこのLEDビジョンでまた何か新しい仕掛けが投じられるのかもしれない。長期休暇中にも関わらず、年明けからワクワクさせてくれるBTS。2022年も彼らの勢いはさらに増していきそうだ。


※1:https://older.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/main/korea/01(佐藤結衣)