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市営バス運転手、休憩中に車内で妻とケンタ食べて減給…何が問題だったのか?

2021年12月24日 17:31  弁護士ドットコム

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「バスに偶然乗っていた妻と休憩時間中に車内で飲食 横浜市交通局が運転手を減給処分」。そんな記事を神奈川新聞のサイト「カナロコ」が報じ、Twitterのトレンドに「妻と休憩時間中」が入るなど話題となっている。


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タイトルだけを読み、クリスマスシーズンならではのラブストーリーと受け止められたのだろうか、ネットでは「妻と食事なんて素敵じゃない。」「減給までしなくても」など同情の声も寄せられた。



しかし、横浜市交通局に取材すると「妻との飲食を理由にした処分ではない」という。一体この日、バス車内で何が起き、何が問題となったのか。



●ケンタッキーで軽食とドリンクを購入

以下、12月23日に公表された懲戒処分と交通局に聞いた話をもとに、事の経緯をまとめていく。



問題の事件は、緊急事態宣言下の今年8月16日に起きた。この日、40代運転手が走らせていた107系統洋光台駅前17時52分発の洋光台駅前循環線に偶然、運転手の妻が客として乗り合わせた。



いつ2人が互いを認識したかは定かでないが、運転手は「(1)自身の妻を終点で降車させず、道路上にバスを移動させた」。具体的には、洋光台駅前のバスロータリーを右折し、JR根岸線の上の橋方面に向かった。



そして、問題となったのが「(2)その際にシートベルトを着用していなかった」ことだ。シートベルトをせずに公道を走行することは、紛れもなく道交法違反であり、「地方公務員ですので、処分理由となった」(交通局)という。



洋光台駅のバスロータリーには待機所があり、そこが空いていなければハザードランプをつけて近くに待機することは認められるそうだ。この日、待機所には空きがあり「本来そこで待機するべきだったのだが、停めたのは公道だった」(同)。



さらに道交法だけでなく、この運転手は(1)に加えて「(3)停留所でないにもかかわらず妻を一旦降車させ、購入してきた商品をバス車内で飲食」した後、「(4)妻をバスに乗せたまま再度降車場まで移動し、降車させた」行為が問題視されたという。



なお、一度バスから降車した妻は近くの「ケンタッキーフライドチキン」の店舗で軽食とドリンクを購入し、2人は路上に停めたバス車内で換気のためか、ドアを開けっ放しにしてマスクを外して夫婦の時間を過ごしたようだ。



しかし折しも、緊急事態宣言下であり、混み合う平日の帰宅時間ということもあって、2人の姿を目ざとい市民は見逃さなかった。翌日、翌々日に交通局にメールが届いて、市の知るところになってしまった。



「カナロコ」の記事がYahooニュースに配信されると、コメント欄に「当事者の運転手です。たくさんの温かいコメントに心底救われております。本件での自身の認識の甘さは痛感しており反省もしております」という投稿があった。



交通局によれば、当の運転手はコメントを書いたのを認めたという。