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「嫌だ」と言っても3年続いたセクハラ 大樹生命の女性社員が上司と会社を提訴

2021年12月24日 16:31  弁護士ドットコム

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大樹生命保険(旧社名・三井生命保険)に勤務している20代女性が、上司からセクハラを受け精神疾患を発症したとして、同社と上司に対し、慰謝料など1398万円の支払いを求めて東京地裁に提訴した。提訴は12月16日付。


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女性によると、会社に対し繰り返し相談したものの、会社側は女性と上司を直接対面させて話し合わせたり、「(女性が)関わりやすいというのもあったかもしれない」などと女性に落ち度があるかのような発言をしたりするだけで、具体的な対応策を示さなかったという。



12月24日に会見した女性は「加害者に明確に嫌だと伝えていたのにもかかわらず、セクハラをやめていただけなかったので、私が嫌だと言えなかったら、断りきれず二人でお酒を飲んでいたら、もっと嫌な思いをしていたのではないかとすごく怖くなります」と話した。



●明確に断っても執拗に迫った上司

女性は2017年8月、大樹生命保険に営業事務として採用され、小田原営業部に配属された。2018年2月以降、営業部の男性上司(30代既婚)からのセクハラが始まった。



男性は足を触ったり、2人きりの営業車内で髪を触ったりする身体接触のほか、ツーショット写真の撮影を迫ったり、体調不良で欠勤した女性の自宅玄関まで食料品を持ってきたりした。勤務時間中に「俺的には俺の○○(原告女性)って感じなんだよね」と発言することもあった。



女性はハラスメントのたびに上司に明確に断っていたものの、セクハラは3年近く執拗に繰り返された。



男性は女性が受け取りを拒んでいるにもかかわらず、高額なクリスマスプレゼントを無理やり押し付けたり、「(原告の)時間が欲しい。欲しいものは全部買ってあげる。だけど俺は見返りを求めるから休みの日に出かけよう」と執拗に迫ったりした。



2020年6月以降、女性は会社にセクハラについて相談した。しかし、会社側は男性の言動がセクハラであることを認めながらも、男性と直接対面させ話し合いをさせるなどしただけで、具体的な対応を取らなかった。



女性は2020年12月に適応障害と診断され、休職を余儀なくされた。女性は2021年10月、小田原労働基準監督署に労災申請をおこなった。



●訴訟提起「すごく大きな決断でした」

2021年1月に女性は労働組合「よこはまシティユニオン」に加入し、団体交渉で事実関係の調査を求めたが、会社は男性のハラスメント行為を認めながらも、会社の対応に落ち度はなかったとした。



女性は今回の提訴について「訴訟を起こすのは私の中ですごく大きな決断でしたが、加害者の反省が見られず、会社の対応も適切とは言い難いものだったので決断しました」と話す。



「私が起こした訴訟の影響力は高くないかもしれませんが、大樹生命だけではなく、まだまだセクハラの認識が甘い方や会社が多くあると思うので、訴訟を起こすことで嫌な思いをする方が少しでも少なくなればいいなと思います」(女性)



●会社側のコメントは

大樹生命は「訴状がまだ届いていないので、現段階でコメントが難しい」と話した。