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予約の取れない家政婦・seaさんの納得お片づけメソッド 第8回 玄関収納を有能な「お出かけステーション」に変える整理術

2021年12月24日 10:51  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
年末の掃除・片づけ。最後はやっぱり毎日出入りする玄関をすっきりさせておきたいですよね。たくさんのご家庭で玄関の片づけをサポートしてきて思うのは「玄関収納は、モノが“化石化”する場所」だということ。次から次に出てくるんです、存在自体が忘れられたまま、時間の経過したモノが。


例えば……

・使いかけのシャボン玉セット、花火セット

・相棒のいなくなったカバー・ケース類(折りたたみ傘やレインコート、靴)

・スニーカーの中敷き

・サイズアウトした子ども靴



「わが家もそうだった」「今片づけたらわが家もきっと同じ」と感じる人も多いのではないでしょうか?



ひと目見て「要らない」と判断できるモノが多い分、葛藤なくスムーズにモノが減らせて、短時間で見た目も大きく変わります。片づけのコスパはとってもいいのですが、今の収納のしくみのままだと、いつの間にかまた“化石”を大量に生み出してしまいます。



そんなのもったいない! どうせ片づけるなら、玄関を優秀な「お出かけステーション」に変えましょう。



冬の玄関は、寒さがネック。玄関収納の整理をするときは首まわりや足元が冷えないようにしっかり着込んでくださいね。できれば電気ストーブなどの熱源も近くに置いて、片づけ作業を始めましょう。

○棚卸ししながら「忘れていたモノ」を認識する



まずいったんすべて中身を出してみましょう。出しながら、カテゴリー別に「同じモノ集まれ~! 」と、山を作っていくようにします。



<靴>今履いている靴/オフシーズンの靴/冠婚葬祭の靴

<靴関連グッズ>手入れグッズ/防水スプレー/中敷き/シューキーパー

<レイングッズ>折りたたみ傘/レインコート/ベビーカーの雨カバー

<外遊びグッズ>花火やシャボン玉のセット、ボールなど/虫取り網・バドミントン/レジャーシート

<季節のケアグッズ>虫除けスプレー/蚊取り線香/サングラス/カイロ/静電気防止スプレー/マスク

<子ども関連グッズ>ヘルメット/ベビーカーまわりのグッズ

<学校訪問グッズ>ルームシューズ/入校許可証


容量が大きいシューズクローゼットの場合、廊下だとすぐに足の踏み場もなくなってしまうかもしれませんね。その場合、リビングにもレジャーシートを敷いて、出していくエリアを広げるとよいでしょう。山が混ざって「どこが……なんだっけ? 」とならないようにします。



出したモノを山にしていくのは「カテゴリーのカタマリ感」を確認するための、大事な工程。存在を忘れて“化石化”しがちなのはたいてい、ひとつひとつが小さくて、出番の少ない靴以外のモノなので、「●●カテゴリー」というカタマリにすることで、今後も玄関収納の中で埋もれないように存在感を出していきます。



なお、冒頭に例を挙げたような、ひと目で「要らない」とわかるモノは「分ける前に即処分」として、手に取った段階で判断がつかないモノは「いったん山に分ける」でOKです。分け終わった後で山を眺めると「パンプスの中敷きは2種類出てきたから、1個は処分しよう」「使い捨てのレインコートがこんなにあるなら、何個かは防災用品に分けよう」など、新たな視点で判断ができることもありますから。

○靴の収納は「今使う」「今じゃない」でメリハリを



では、玄関収納の主役「靴」からしまっていきます。しまい方は「靴をしまうスペースをどう使いたいか」によって、真逆の2通りの方法があります。

○■たくさんの量をしまいたい場合=密度を上げる



・棚板の高さをできるだけ詰める

・靴専用のスタンドなどを使って1足あたりのスペースをできるだけ減らす

・靴の後ろにも入りそうならもう1足入れる

○■こまめにしまう習慣をつけたい場合=密度を下げる



・出し入れが窮屈にならないよう、棚板はゆったりめの高さに設定する

・靴と靴が触れないように1足ごとに多少の間隔を設ける

・靴を置くのは1段に1列のみ、奥と手前の二重使いはしない


みなさんは、この2つの方法をちゃんと使い分けていますか? わたしが現場で見かける玄関収納は、ほぼ全件でここの使い分けが曖昧になっていました。おそらく「その視点はなかった」という人が大半なんじゃないかと想像しています。



密度を上げて収納すると、たくさんしまえる代わりに出し入れがすごくめんどくさい。大量の靴をみっちり全部収めきることができても、そこがピークで、いったん出した靴が戻せずにリバウンドを起こすんですね。かと言って、ゆったりしまえればいいと頭ではわかっていても、そこまでの量に一気に断捨離するのも難しいものです。

なので、「今使う」「今じゃない」でこの2つの収納方法を使い分けて、靴のしまい方にメリハリをつけてほしいのです。

○■「今使う靴」(オンシーズンの靴)=ゆったり



・家族それぞれの身長に合わせて出し入れしやすいエリアに

・手や靴がまわりに当たらないくらいの棚板の高さ設定で

・詰めなくても戻せる程度にゆったりと収納



子どもが毎日使うヘルメットも、子どもの靴の並びに置いておくと「自分の場所」と認識しやすくなり、使い終わったら戻す習慣づけがしやすくなります

○■「今じゃない靴」(オフシーズン・冠婚葬祭用の靴)=みっちり



・手の届きにくい棚の上の方のエリアに

・収納グッズを使って1足あたりのスペースを削り

・棚の高さも詰めて、できるだけスキマなく収納



オンシーズンだけど現在のライフスタイル的に絶対に履かないと感じる靴も、ここに分類してよいでしょう。



「たくさんしまえる」系の収納グッズを持て余している方、(この機会に処分してもいいけれど)その子たちをぜひ「今じゃない」靴に集中させてみてください。きっと大活躍してくれますよ。

○靴以外のアイテムは「見える」管理で化石化を防止



最初に分けたモノたちを、収納の残りの場所にしまっていきます。靴と同じで「よく使うモノはゆったり/そうでないモノはみっちり」がポイントですよ。

○■毎日使うモノ=カウンターの上などに出しておく



夏なら虫除けグッズ、冬ならカイロや静電気防止スプレーといった季節のケアアイテムは、シーズン中はカウンターの上に出しておいてよいでしょう。カゴなどにまとめて置き場所を決めておくとバラつきも気になりにくいはず。

○■優先度の高いモノ=扉を開ければすぐ見えるように置く



探さなくても目視で存在が確認できて、出し入れにひと手間かからないことがすごく大事。例えば、レインコートをケースにまとめるなら、ケースの上に倍くらいの高さの余白を取る。そうすると目線が奥まで通るし、ケースを引き出さなくても目当てのレインコートだけを取り出せます。

○■優先度の低いモノ=「カタマリ」が見えていればOK



オフシーズンのケアアイテムや、ベビーカーまわりのグッズは、シーズンの入れ替えまでは出番がありません。なので「ここにまとまっていますよ」というカタマリの存在感があればOK。カゴなどにまとめて、ラベリングして、収納の上の方に逃しておきましょう。

○■スペースが足りない場合



残念ながら、収納のキャパは限られます。優先順位の高い順に場所取りしていって、スペースが足りなく場合、「モノの量を減らす」か「別の場所に移動させる」、または「ゆったり入れたモノを少し詰めてスペースを捻出する」のどれかで対応するしかありません。ここはできるだけ「減らす」か「移動させる」で乗り切ってほしいところです。



子どもの靴がサイズアウトしてお下がり要員になったもの、ほとんど人を呼ばないおうちの来客用スリッパなど、「年単位で使わない/動きがない」と感じるものは、別の場所に移動させても困りにくいようなので、検討してみてください。


さて、今回は玄関収納をお出かけステーションに変える方法を解説しました。広さにもよりますが、1~2時間あれば掃除も含めて終えられるでしょう。玄関まで終わると、新年を迎える準備もいよいよ整った、というすがすがしい気持ちになりますよ。がんばりましょう!


○新刊『家じゅうの「めんどくさい」をなくす。いちばんシンプルな「片づけ」の方法』



(ダイヤモンド社刊/1,430円)散らかる原因の9割は、「めんどくさい」が放置された結果! 必要なのは、努力ではなくて「正しいしくみ」です。6000軒を片づけた“予約の取れない家政婦”が、「めんどくさい」の一番簡単ななくし方を教えます! いままで何度もリバウンドしていた人、ズボラな人にこそ向いている、一生、家事がラクになる本です。Amazonなどで発売中。

○家族の片づけコンサルタント:sea(しー)


大学卒業後に始めた家事代行サービスの仕事にどっぷりはまり、20年以上にわたって個人宅の片づけや掃除を行ってきた。いままでに片づけた家は6000軒以上。家事代行マッチングサービス 「タスカジ」では「seaさんが片づけてくれると、なぜか家族の仲までよくなる」と口コミで評判になり、「予約の取れない家政婦」と呼ばれるようになった。メディア出演や執筆、片づけ講座の企画・開発など幅広く活動を行う。(sea)