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オダギリジョーは朝ドラでも安定の“異質キャラ” 『カムカム』るい編の重要人物か

2021年12月24日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

オダギリジョー

 成長したるい(深津絵里)と勇(村上虹郎)のキャッチボールの場面から、NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』のるい編が本格的に始まった。母から編んでもらった赤いベストが似合っていた安子(上白石萌音)の少女時代とは異なり、喪服を着こなし、どこかクールに見える、るい。だが重苦しくなく、爽やかさを感じさせるその佇まいは、稔(松村北斗)譲りではないだろうか。


【写真】オダギリジョーの『カムカム』登場シーン


 成長したるいは、雉真家を出て一人で生活を始めたいと岡山を離れ、大都会・大阪へ。ひょんなことから、クリーニング店を営む竹村夫妻と出会い、そこで働き始めることとなった。そこで、るいは、いつもシャツに同じ汚れを付け、背広から下着まで大量の洗濯物を置いていく大月錠一郎(オダギリジョー)と出会う。


 オダギリジョーは2000年に『仮面ライダークウガ』(テレビ朝日系)の主人公・五代雄介役に大抜擢されると、映画、ドラマ、舞台などさまざまな分野で長く活躍してきた実力派俳優。しかし意外なことに朝ドラには初出演となる。今作の脚本を担当する藤本有紀が「ぜひオダギリさんに演じてもらいたい」と出演を熱望したという。※1


 オダギリジョーといえば、どこかゆるくて、穏やかなのだが、飄々としていて、実のところよくわからない役を演じることが多い。そしてなんでもなさを装いながら物語にピリッとしたスパイスを加えていくのだ。『大豆田とわ子と三人の元夫』(カンテレ・フジテレビ系)では、ゆるゆるのTシャツとビックシルエットパンツという姿でとわ子(松たか子)と出会う小鳥遊を演じている。一見無害に見える小鳥遊、実は外資系ファンドの責任者で、のちにいきなりとわ子の経営する会社を買収しようとして、視聴者を驚かせた。また、自身が脚本を書き、監督・編集も行った『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』(NHK総合)では、犬の着ぐるみを着て、鑑識課警察犬係の警察犬を演じた。文字にすると本当によくわからない役なのだが、これが不思議とオダギリジョーの魅力とマッチし、その“異質さ”がドラマに程よい刺激を与えているのだ。


 『カムカムエヴリバディ』の公式サイトで錠一郎は、すでに「つかみどころのない言動や行動」をすると紹介されている。※2 この時点でるいや周りの人々を振り回していく錠一郎の姿が想像できたのではないだろうか。また「るいの運命を動かしていく」という一文からは、安子の運命を大きく変えた稔のような役割を錠一郎が担うのかもしれない。


 朝ドラ出演が決まった際、「(脚本家から)役者冥利に尽きる言葉を頂いたからには、期待以上のお返しができるよう、全力を尽くすつもりです」と語ったオダギリジョー。今後の『カムカムエヴリバディ』のキーになること間違いなしの彼の演技に注目していきたい。


※参考
1.オダギリジョー、早乙女太一が朝ドラ初出演 『カムカムエヴリバディ』大阪編新キャスト発表
https://realsound.jp/movie/2021/07/post-815659.html
2.NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
https://www.nhk.or.jp/comecome/


(久保田ひかる)